0.5話 Stories of happening.
「そんなの反対に決まってる!!!!!俺だってブライアンは嫌いじゃないけど、それとこれとは話が違う!!!!」
机をバンッと思い切り叩き立ち上がる青年は、はぁはぁと肩で息を切らしていた。
「アレックス、もう決まったことだ。」
フィルが冷静に言い放つ
「そうよアレックス、落ち着いて。貴方にはもう婚約者がいるのに、ネーヴェにいちゃいけないなんておかしいでしょう?
そもそもあなたの場合、15の時にはいたじゃない。自分はよくて相手はだめだなんてそんな子供じみたこと言っちゃいけないわ」
「それは…でも…」
母であるアイリスの言葉に言いよどむアレックスは力なく椅子に座った。
「お兄様、当事者である私にも拒否権がないので諦めてください」
すべてを諦めたのかネーヴェが冷静に畳み掛けた。
「・・・シュニはなにか言いたいことはある?」
アイリスがひとりうつむいていた息子シュニに向かってニッコリと笑顔で、だが有無を言わせぬ雰囲気をまといながら声をかける。
「「「(シュニ、歯向かったら殺されるぞ…)」」」
「・・・いえ・・・ただ、ちょっと淋しくなるな、と」
ポツリと呟くその姿に全員がなぜかホッとしていた。
「シュニはネーヴェと双子のように育ったものね…。でも大丈夫。たかが婚約でしょう?それにそのうちシュニも婚約者見つけなきゃですしね?」
「・・・たかが」
思わず耳を疑うネーヴェだったが、何事もなかったように夕食が始まった。
「でも・・・」
食事が始まりしばらくして、アレックスが口を開いた。
「なんでこのタイミングでブライアンにお願いしたんだ?父上」
「このタイミングって……入学前だしちょうど良くないか?」
息子の質問に、逆に質問で返すフィル。
「だって、これからブライアンは父上たちと一緒に遠征に行くんだろ?何かあったら…」
「ばっーーー今その話はっ!」
「・・・遠征って、なんの話かしら?フィル。私は何も聞いてませんが?」
アレックスの言葉に食いつくアイリス。青ざめるフィル
「これには理由(わけ)が!明日話そうと思っていてだな!抑この話は明日正式に決定されるから、まだ本当は何も言っちゃいけないんだよ!!アレックスが知っているのは、騎士団の連中が話してたのを聞いたって話だし…その、だから…」
「アレックス?本当なの?」
「は、はい・・・先日、ブライアンのところに用事があって行った際に、庭で騎士団の人達が来月にでも遠征になるって言っていて…。」
「・・・はぁ。アレックス、この場で言ってしまっては重大な規則違反になりますよ。その前に騎士団の方々が話していたこと自体が問題ですが」
アイリスは大きな溜息をつき気持ちを落ち着かせて正論を口にする。
「フィルは決まり次第、どの辺りにどの位の期間遠征に行くのか教えてくださいね!?」
「ゎ、分かっている。真っ先にお前たちに教えるよ」
アイリスが聞いたのは心配しているだけではない。それは子供たちが母に逆らえない理由ともつながっていた。
「ところで…」
ネーヴェが口を挟んだ
「婚約が決まったとしたら、私は何かしないといけないのでは?」
「ん〜、身内みたいなもんだし、ブライアン・・・イシュメリア卿には何もしなくて良いとは言っておいたが…流石に最低限はなぁ…」
「ブライアンは、 お義父さん、娘さんを僕にください
とか言うのかな?」
「誰がやるか、ネーヴェは俺のもんだ!」
シュニの呟きに父の代わりに叫んだのはアレックスだった
「もう決まってるんだから、兄様がどうこう言っても覆らないと思うけどなぁ…」
やはりシュニは呟く
「なにか必要なものがあれば言ってください、お父様、お母様。私はよくわからないので…」
ネーヴェは全く気にする様子もなく続けた
「そうねぇ…。まぁ、ご挨拶に行くくらいは必要よね…」
「あー、じゃあブライアンに言っとくよ。向こうから婚約願いと招待状をもらうのが礼儀だからな。ネーヴェはそれ用のドレスが必要になるから、探すか作るかが必要だな」
「…めんどくさ」
ボソリと呟いた本音が両親の耳に届いた。
本人もそうだが、両家とも形式的なものだけだということ、相手と両親が勝手に話を進めていることもあり、どこか他人事だ。
本当に、婚約=男除けと考えている節があるようだった。
机をバンッと思い切り叩き立ち上がる青年は、はぁはぁと肩で息を切らしていた。
「アレックス、もう決まったことだ。」
フィルが冷静に言い放つ
「そうよアレックス、落ち着いて。貴方にはもう婚約者がいるのに、ネーヴェにいちゃいけないなんておかしいでしょう?
そもそもあなたの場合、15の時にはいたじゃない。自分はよくて相手はだめだなんてそんな子供じみたこと言っちゃいけないわ」
「それは…でも…」
母であるアイリスの言葉に言いよどむアレックスは力なく椅子に座った。
「お兄様、当事者である私にも拒否権がないので諦めてください」
すべてを諦めたのかネーヴェが冷静に畳み掛けた。
「・・・シュニはなにか言いたいことはある?」
アイリスがひとりうつむいていた息子シュニに向かってニッコリと笑顔で、だが有無を言わせぬ雰囲気をまといながら声をかける。
「「「(シュニ、歯向かったら殺されるぞ…)」」」
「・・・いえ・・・ただ、ちょっと淋しくなるな、と」
ポツリと呟くその姿に全員がなぜかホッとしていた。
「シュニはネーヴェと双子のように育ったものね…。でも大丈夫。たかが婚約でしょう?それにそのうちシュニも婚約者見つけなきゃですしね?」
「・・・たかが」
思わず耳を疑うネーヴェだったが、何事もなかったように夕食が始まった。
「でも・・・」
食事が始まりしばらくして、アレックスが口を開いた。
「なんでこのタイミングでブライアンにお願いしたんだ?父上」
「このタイミングって……入学前だしちょうど良くないか?」
息子の質問に、逆に質問で返すフィル。
「だって、これからブライアンは父上たちと一緒に遠征に行くんだろ?何かあったら…」
「ばっーーー今その話はっ!」
「・・・遠征って、なんの話かしら?フィル。私は何も聞いてませんが?」
アレックスの言葉に食いつくアイリス。青ざめるフィル
「これには理由(わけ)が!明日話そうと思っていてだな!抑この話は明日正式に決定されるから、まだ本当は何も言っちゃいけないんだよ!!アレックスが知っているのは、騎士団の連中が話してたのを聞いたって話だし…その、だから…」
「アレックス?本当なの?」
「は、はい・・・先日、ブライアンのところに用事があって行った際に、庭で騎士団の人達が来月にでも遠征になるって言っていて…。」
「・・・はぁ。アレックス、この場で言ってしまっては重大な規則違反になりますよ。その前に騎士団の方々が話していたこと自体が問題ですが」
アイリスは大きな溜息をつき気持ちを落ち着かせて正論を口にする。
「フィルは決まり次第、どの辺りにどの位の期間遠征に行くのか教えてくださいね!?」
「ゎ、分かっている。真っ先にお前たちに教えるよ」
アイリスが聞いたのは心配しているだけではない。それは子供たちが母に逆らえない理由ともつながっていた。
「ところで…」
ネーヴェが口を挟んだ
「婚約が決まったとしたら、私は何かしないといけないのでは?」
「ん〜、身内みたいなもんだし、ブライアン・・・イシュメリア卿には何もしなくて良いとは言っておいたが…流石に最低限はなぁ…」
「ブライアンは、 お義父さん、娘さんを僕にください
とか言うのかな?」
「誰がやるか、ネーヴェは俺のもんだ!」
シュニの呟きに父の代わりに叫んだのはアレックスだった
「もう決まってるんだから、兄様がどうこう言っても覆らないと思うけどなぁ…」
やはりシュニは呟く
「なにか必要なものがあれば言ってください、お父様、お母様。私はよくわからないので…」
ネーヴェは全く気にする様子もなく続けた
「そうねぇ…。まぁ、ご挨拶に行くくらいは必要よね…」
「あー、じゃあブライアンに言っとくよ。向こうから婚約願いと招待状をもらうのが礼儀だからな。ネーヴェはそれ用のドレスが必要になるから、探すか作るかが必要だな」
「…めんどくさ」
ボソリと呟いた本音が両親の耳に届いた。
本人もそうだが、両家とも形式的なものだけだということ、相手と両親が勝手に話を進めていることもあり、どこか他人事だ。
本当に、婚約=男除けと考えている節があるようだった。