3話 Story of beginning (3)
特に襲撃もなく穏やかに数日が過ぎたある日、馬車がとうとう隣の国の領地に足を踏み入れた。
馬車が通る道の両国のお互い側、この道の数キロは、違う色の石で舗装がしてある。ここからが我が国だ、と分かるようにしているのだ。
「やっと着いた、、、もう、平穏そのもので仕事がはかどるはかどる、、、」
「ネーヴェ、仕事とかいうな、悲しくなる、、、」
平穏そのもの、という割には顔色が悪い二人。
理由は、襲撃もなくやる事もないので、持ってきていた仕事に手を付け始めたからだ。
普通であれば、簡単な仕事を持ってくるのであろうが、見たくない一心で後回しにしていた面倒なものを持ってきていただけに、
書類の数は少ないものの、1件1件に頭を悩ませ、対策を立て、相談をし、、、と繰り返さなければならず、二人は快適なはずの馬車の旅を疲れ切った顔で終えることになった。
「どうして、こう、、、ニンゲンというものは、問題を起こすのですか、第2皇子様」
「だって、ニンゲンだもの、、、察しろ、ネーヴェ」
深い深いため息をお互いに吐いて、国境を越えた。
馬車はそのまま歩を進め、ほどなくして大きな門の前で止まる。
「身分がわかるものはありますか?それからー・・・」
この辺の手続きは、御者のリックが手慣れた様子で処理をしてく。
少しの会話と書類手続きですぐに通門となった。
通常であれば、皇家の紋章が馬車に装飾されているため、検問なんていうものは顔パスなのだが、何分今回はお忍びという事で、馬車に紋章もなく、また本人たちは適当なただの貴族らしい格好をしているため、検問所で通常の手続きを踏むことになった。
「さすがにここで足止めを食らうことは無いだろうが、後いくつか町を超えてから王都だからな。王都に入る前に宿を取った方がよさそうだ」
「経費削減ですか?皇子さま」
「余計な金は掛けないけど、それなりの宿取ってやるから安心しろ。情報収集も兼ねれるから別にいいだろ?」
「そういえば、最近この辺の事聞かないもんね。でも。。。」
窓から町の様子をうかがうネーヴェにつられ、オルガも外に目を遣る。
「この感じからして、平和そうではあるね。宿っとったら、治安悪いところにはいくけど、そこまで酷く変わった感じはないかな。
相変わらず嗜好品店も多いし、平民も潤ってるかな」
「そうだな、、、この国の産業を考えると、金がないわけじゃない。というか、今まであんな裕福だったのに、ここにきて傾いたら、問題が発生した証拠だな」
隣国であるアウルムの産業は、鉱石である。アウルムはどこかの言葉で金という意味だ。そして、この国は鉱石や宝石を輸出している。
鉱石には魔石も含まれ、魔法使いが多い国や魔道具が普及している裕福層に重宝されている。
「魔石産業がまた大きくなってきたって話も聞いてる。魔石にばかり頼ってもいけないし、考えなきゃいけないことは多いけど、魔道具は便利だしねぇ。」
「俺たちもガッツリ使ってるしな・・・。鉱山から算出する量が多すぎると、山崩れや自然破壊にもつながるから難しいところだが・・・
まぁ、今のところ、この国のお偉方もちゃんと考えているのか、産出量なんかもちゃんと調整してるみたいだし、大丈夫じゃないかとは思ってる」
「という事は、うちもまた購入するの?」
「しょうがないだろ、何もしないわけにもいかないし。原始的だとか言われたら、イラっとするし、、、」
言われたことを思い出したのか、言いながらオルガは眉間にしわを寄せて、厳しい顔をした。
「あまり楽をすると、仕事もなくなるしな。雇用が減るのだけは避けないと」
「政を考えている人の発言するね。まるで皇子さまみたい!」
「皇子だし」
おどけてみせるネーヴェに、オルガが仕方ないというように一言返す。
馬車が通る道の両国のお互い側、この道の数キロは、違う色の石で舗装がしてある。ここからが我が国だ、と分かるようにしているのだ。
「やっと着いた、、、もう、平穏そのもので仕事がはかどるはかどる、、、」
「ネーヴェ、仕事とかいうな、悲しくなる、、、」
平穏そのもの、という割には顔色が悪い二人。
理由は、襲撃もなくやる事もないので、持ってきていた仕事に手を付け始めたからだ。
普通であれば、簡単な仕事を持ってくるのであろうが、見たくない一心で後回しにしていた面倒なものを持ってきていただけに、
書類の数は少ないものの、1件1件に頭を悩ませ、対策を立て、相談をし、、、と繰り返さなければならず、二人は快適なはずの馬車の旅を疲れ切った顔で終えることになった。
「どうして、こう、、、ニンゲンというものは、問題を起こすのですか、第2皇子様」
「だって、ニンゲンだもの、、、察しろ、ネーヴェ」
深い深いため息をお互いに吐いて、国境を越えた。
馬車はそのまま歩を進め、ほどなくして大きな門の前で止まる。
「身分がわかるものはありますか?それからー・・・」
この辺の手続きは、御者のリックが手慣れた様子で処理をしてく。
少しの会話と書類手続きですぐに通門となった。
通常であれば、皇家の紋章が馬車に装飾されているため、検問なんていうものは顔パスなのだが、何分今回はお忍びという事で、馬車に紋章もなく、また本人たちは適当なただの貴族らしい格好をしているため、検問所で通常の手続きを踏むことになった。
「さすがにここで足止めを食らうことは無いだろうが、後いくつか町を超えてから王都だからな。王都に入る前に宿を取った方がよさそうだ」
「経費削減ですか?皇子さま」
「余計な金は掛けないけど、それなりの宿取ってやるから安心しろ。情報収集も兼ねれるから別にいいだろ?」
「そういえば、最近この辺の事聞かないもんね。でも。。。」
窓から町の様子をうかがうネーヴェにつられ、オルガも外に目を遣る。
「この感じからして、平和そうではあるね。宿っとったら、治安悪いところにはいくけど、そこまで酷く変わった感じはないかな。
相変わらず嗜好品店も多いし、平民も潤ってるかな」
「そうだな、、、この国の産業を考えると、金がないわけじゃない。というか、今まであんな裕福だったのに、ここにきて傾いたら、問題が発生した証拠だな」
隣国であるアウルムの産業は、鉱石である。アウルムはどこかの言葉で金という意味だ。そして、この国は鉱石や宝石を輸出している。
鉱石には魔石も含まれ、魔法使いが多い国や魔道具が普及している裕福層に重宝されている。
「魔石産業がまた大きくなってきたって話も聞いてる。魔石にばかり頼ってもいけないし、考えなきゃいけないことは多いけど、魔道具は便利だしねぇ。」
「俺たちもガッツリ使ってるしな・・・。鉱山から算出する量が多すぎると、山崩れや自然破壊にもつながるから難しいところだが・・・
まぁ、今のところ、この国のお偉方もちゃんと考えているのか、産出量なんかもちゃんと調整してるみたいだし、大丈夫じゃないかとは思ってる」
「という事は、うちもまた購入するの?」
「しょうがないだろ、何もしないわけにもいかないし。原始的だとか言われたら、イラっとするし、、、」
言われたことを思い出したのか、言いながらオルガは眉間にしわを寄せて、厳しい顔をした。
「あまり楽をすると、仕事もなくなるしな。雇用が減るのだけは避けないと」
「政を考えている人の発言するね。まるで皇子さまみたい!」
「皇子だし」
おどけてみせるネーヴェに、オルガが仕方ないというように一言返す。