3話 Story of beginning (3)
「おい、お前らこここを通りたくば、一人当たり銀貨10枚を払え!払えなければ、荷物をすべて置いて行ってもらおうか!」
「・・・」
盗賊というのはどうして皆、一様に同じことを言うのだろうか…
「無理だと言ったらどうする?」
御者が問う。
「無理だというなら、その命、置いていくことだ!」
そう言って、自らの獲物取り出し、身構える盗賊たち。
「・・・殿下、ちょっと頑張ってきますが、危なそうだったら助けてもらえますか?」
「・・・どうする、ネーヴェ」
「私は君をそんな軟には鍛えていないが、危なかったら呼んでくれれば手を貸そう。そんな軟には鍛えてないけどね」
「ぅ・・・そんなこと言わないでくださいよ、ネーヴェ様」
ちょっと泣きそうな顔をして、御者台から降りる御者。
「リック、私は君が一人で盗賊全員倒せると心から信じているぞ?」
にっこり笑ってそう言うネーヴェに本気で泣きそうになりながら、リックと呼ばれた御者は剣を抜く。
抜いた瞬間、盗賊の何人かは襲い掛かってくる。周りにはまだ何人かが様子を見ている。
「はっ!一人でこの人数を相手できると思ってるのか!」
「うるさい、やらなきゃ俺が殺られるんだよ!!」
リックは迫りくる盗賊を、一人、また一人と確実に倒していく。優雅とは言えないが、決して必死というわけでもない動きで倒すリックを馬車の中から周りを警戒しつつ窺うオルガとネーヴェ。
「リックのやつ、また腕を上げたんじゃないか?稽古をつけてるのか?」
「私じゃなくて、他の人でしょ?忙しくてかまってあげられなかったし」
「ふーん・・・」
興味があるのか無いのかわからない返事をしながらオルガは様子を見ていた。盗賊たちの動きには統率がある。どこかで指示を出している人間がいるのだ。
「・・・あそこの茂みの中、あの辺に誰かいそうだな」
道から外れた茂みのある部分を指さしてオルガが言った。
「なんか投げる?」
緊張感のかけらもない様子でネーヴェが確認する。リック一人でもなんとかなると思っている。
「ん~・・・リック、気づくかな?」
やはり緊張感のかけらもなくオルガが返答する。
「どうかなー。あ、でも周りを気にしながら動いてるから、そのうち気づくかも」
特に気にすることもなく、勿論緊張感もなく、首謀者はどこだと話している。
「っ・・・そこかぁ!」
近くにいる最後の一人を切り付けて、リックは道から外れた茂みにナイフを投げつけた。
ガサっと音がすると、何かが逃げる音がする
「リック、追わなくていいぞ」
「ぇ・・・いいんですか?」
思わず聞き返すリック。
「先を急ごう。どうせ、追ってくるだろう」
「・・・わかりました。あー、疲れた!」
そういいながら、御者台に戻って剣に付いた血を拭き、軽く手入れをすると、「出発しますね」と一言宣言し、馬車を動かし先を進む。
リックにも緊張感はない。リックが緊張したのは、ネーヴェにできると信じているといわれた時だけだった。
「毎日くるかな?」
「どうだろうね」
毎日こんな感じだったら面倒くさいだろうな、とオルガとネーヴェは思ったのだった。
「・・・」
盗賊というのはどうして皆、一様に同じことを言うのだろうか…
「無理だと言ったらどうする?」
御者が問う。
「無理だというなら、その命、置いていくことだ!」
そう言って、自らの獲物取り出し、身構える盗賊たち。
「・・・殿下、ちょっと頑張ってきますが、危なそうだったら助けてもらえますか?」
「・・・どうする、ネーヴェ」
「私は君をそんな軟には鍛えていないが、危なかったら呼んでくれれば手を貸そう。そんな軟には鍛えてないけどね」
「ぅ・・・そんなこと言わないでくださいよ、ネーヴェ様」
ちょっと泣きそうな顔をして、御者台から降りる御者。
「リック、私は君が一人で盗賊全員倒せると心から信じているぞ?」
にっこり笑ってそう言うネーヴェに本気で泣きそうになりながら、リックと呼ばれた御者は剣を抜く。
抜いた瞬間、盗賊の何人かは襲い掛かってくる。周りにはまだ何人かが様子を見ている。
「はっ!一人でこの人数を相手できると思ってるのか!」
「うるさい、やらなきゃ俺が殺られるんだよ!!」
リックは迫りくる盗賊を、一人、また一人と確実に倒していく。優雅とは言えないが、決して必死というわけでもない動きで倒すリックを馬車の中から周りを警戒しつつ窺うオルガとネーヴェ。
「リックのやつ、また腕を上げたんじゃないか?稽古をつけてるのか?」
「私じゃなくて、他の人でしょ?忙しくてかまってあげられなかったし」
「ふーん・・・」
興味があるのか無いのかわからない返事をしながらオルガは様子を見ていた。盗賊たちの動きには統率がある。どこかで指示を出している人間がいるのだ。
「・・・あそこの茂みの中、あの辺に誰かいそうだな」
道から外れた茂みのある部分を指さしてオルガが言った。
「なんか投げる?」
緊張感のかけらもない様子でネーヴェが確認する。リック一人でもなんとかなると思っている。
「ん~・・・リック、気づくかな?」
やはり緊張感のかけらもなくオルガが返答する。
「どうかなー。あ、でも周りを気にしながら動いてるから、そのうち気づくかも」
特に気にすることもなく、勿論緊張感もなく、首謀者はどこだと話している。
「っ・・・そこかぁ!」
近くにいる最後の一人を切り付けて、リックは道から外れた茂みにナイフを投げつけた。
ガサっと音がすると、何かが逃げる音がする
「リック、追わなくていいぞ」
「ぇ・・・いいんですか?」
思わず聞き返すリック。
「先を急ごう。どうせ、追ってくるだろう」
「・・・わかりました。あー、疲れた!」
そういいながら、御者台に戻って剣に付いた血を拭き、軽く手入れをすると、「出発しますね」と一言宣言し、馬車を動かし先を進む。
リックにも緊張感はない。リックが緊張したのは、ネーヴェにできると信じているといわれた時だけだった。
「毎日くるかな?」
「どうだろうね」
毎日こんな感じだったら面倒くさいだろうな、とオルガとネーヴェは思ったのだった。