3話 Story of beginning (3)
ガタゴトと馬車は何事もなく進んでいく。
見た目質素な普通の馬車の内装は、見た目こそシンプルだが、機能は皇家を背負うだけある最新の技術が使われ、それはもう居心地の良いものに仕上がっている。
オルガもネーヴェも仕事を持ってきているので、お互いに書類に目を通し、必要なものにはサインを、必要な時には相談をしながら時間をつぶしていた。
「この道、ブライアンと通ったことある道だ」
ふと、外の景色に目を遣り、見覚えがあったらしいネーヴェが口を開いた。
「?・・・ブライアンとこの道を、ってことは、隣の国に行ったのか?」
隣国に旅行の話をしたことなど聞いたことのなかったオルガが、思った疑問を口にした。
「・・・覚えてない。この道を通ったんだけど、なんで通ったか覚えてない」
「は?」
話を振っておいてそれか、とオルガは思ったが口には出さず、目で訴えた。
「だって・・・ブライアンと隣国に行ったことも、隣国を通るようなことをした覚えもないんだよ。でもこの道を通ったことがあるのは覚えてる。でも、最近じゃないな・・・子供のころだった気がする」
子供のころ、というくらいには昔らしく、記憶が定かではないらしい。ただし、通ったことを覚えているのだから、何かあったのだとネーヴェは思った。
「魔獣でも出たのかな。小さいころにこの道通って、ブライアンがその場に居た事を覚えてるくらいには何か事件があったんだろうけど…」
うーんと考え込み、仕事の手を止めるネーヴェ。どうでもいいことであればいいが、重要なことだった気がしなくもない、とネーヴェは思う。
「盗賊かなんかがこの辺いたようなーー・・・」
気がする、と言葉を続けようとしたネーヴェだったが、急にガタンと大きく馬車が揺れ、止まった事に、驚きと共に警戒の意味で言葉を止める。そしてその瞬間に、オルガとネーヴェは自分の腰に差していた剣へと手を伸ばし様子を見る。
「・・・どうした?」
オルガが御者に声をかけた。声を掛けつつも、どうしたもこうしたも足止めするようなナニかがあったのだろうと思う。
動物なら特に問題ない、魔獣は物による、一番面倒なのは盗賊だ。そう思いながらオルガは御者の言葉を待つ。
「すみません…その、盗賊らしき人物が行く手を阻んでおります。取り囲まれているような…」
「自分で何とかできそうか?」
御者といえど、素人ではない。皇室の馬車を運転するのだ。ただのヒトなわけがない。
「ちょっと人数が多いですね。相手の出方次第だと思います」
御者が答える。様子を見ていると、行く手を阻む数人のうちの一人が近づいてきた。
見た目質素な普通の馬車の内装は、見た目こそシンプルだが、機能は皇家を背負うだけある最新の技術が使われ、それはもう居心地の良いものに仕上がっている。
オルガもネーヴェも仕事を持ってきているので、お互いに書類に目を通し、必要なものにはサインを、必要な時には相談をしながら時間をつぶしていた。
「この道、ブライアンと通ったことある道だ」
ふと、外の景色に目を遣り、見覚えがあったらしいネーヴェが口を開いた。
「?・・・ブライアンとこの道を、ってことは、隣の国に行ったのか?」
隣国に旅行の話をしたことなど聞いたことのなかったオルガが、思った疑問を口にした。
「・・・覚えてない。この道を通ったんだけど、なんで通ったか覚えてない」
「は?」
話を振っておいてそれか、とオルガは思ったが口には出さず、目で訴えた。
「だって・・・ブライアンと隣国に行ったことも、隣国を通るようなことをした覚えもないんだよ。でもこの道を通ったことがあるのは覚えてる。でも、最近じゃないな・・・子供のころだった気がする」
子供のころ、というくらいには昔らしく、記憶が定かではないらしい。ただし、通ったことを覚えているのだから、何かあったのだとネーヴェは思った。
「魔獣でも出たのかな。小さいころにこの道通って、ブライアンがその場に居た事を覚えてるくらいには何か事件があったんだろうけど…」
うーんと考え込み、仕事の手を止めるネーヴェ。どうでもいいことであればいいが、重要なことだった気がしなくもない、とネーヴェは思う。
「盗賊かなんかがこの辺いたようなーー・・・」
気がする、と言葉を続けようとしたネーヴェだったが、急にガタンと大きく馬車が揺れ、止まった事に、驚きと共に警戒の意味で言葉を止める。そしてその瞬間に、オルガとネーヴェは自分の腰に差していた剣へと手を伸ばし様子を見る。
「・・・どうした?」
オルガが御者に声をかけた。声を掛けつつも、どうしたもこうしたも足止めするようなナニかがあったのだろうと思う。
動物なら特に問題ない、魔獣は物による、一番面倒なのは盗賊だ。そう思いながらオルガは御者の言葉を待つ。
「すみません…その、盗賊らしき人物が行く手を阻んでおります。取り囲まれているような…」
「自分で何とかできそうか?」
御者といえど、素人ではない。皇室の馬車を運転するのだ。ただのヒトなわけがない。
「ちょっと人数が多いですね。相手の出方次第だと思います」
御者が答える。様子を見ていると、行く手を阻む数人のうちの一人が近づいてきた。