2話 Story of beginning (2)
「さて、どうするか…」
この国の一番の権威者、皇帝が口を開く
「まさか…隣国に行かせるわけないですよね?」
皇帝の言葉に反応したのは、第二皇子のオルガだった。
「父上のかわいい甥っ子のかわいい嫁兼第二皇子の秘書ですよ⁉何かあったら、騎士団が黙ってないですし…
そもそも、隣国に行かせるって、何を理由に行かせるというんですか?」
「・・・お前?」
ニコニコと笑顔で首を45度に傾げ、オルガを見る皇帝。
美少女がやればきっとキュンとくるしぐさであろうそれは、初老の…それも威厳のある皇帝がやれば、もはや恐怖でしかない。
「父上!」
いい加減にしろ、とでも言いたげにオルガが声を荒げる
「今、お前が言ったじゃないか。第二皇子の秘書だって。お前が行けば、秘書も一緒に行くことになるだろ。
お前が心配だ、心配だというから一人で行かせるわけじゃない。これで何も起こらなければ、私のかわいい甥っ子だけが狙われていた十いう事がわかるし、彼女が狙われればイシュメリア公爵家を狙っていることになる。
あ、でもお前が狙われたら、この国全体狙ってることになるかぁ・・・とにかく狙われたらやり返せるいい口実ができるという事だ」
はははと軽く笑う初老の皇帝に、その場にいた全員が内心ため息を漏らす。
オルガだけが、口に出して盛大にため息を吐いた。
考えていないようで考えている。考えているようで考えていない。臣下からは大体こんな感じの評価の皇帝だが、
その実、対局は見極めており、適材適所に進化を配置する人を見る目はある。
「父上…いや、皇帝陛下。頼みますから、わかる説明をしていただき、勅命を下してください。
隣国の王子とはそこそこ仲がいいですけど、理由もなく遊びに行くわけにもいきません。
護衛を連れて行くのは、私が行けば名目は立ちますが、遊びに行くのにわざわざ喪中の秘書を連れていくのは不自然です。かわいがっているの、バレバレですし…」
通常、かわいがっている人間の夫が亡くなり、喪も明けないまま、家を長期間明けさせるような任務は下さない。
そう思われるほどには、皇帝から…いや、皇室からネーヴェが可愛がられている事は国民たちの間で周知であった。
仕事ができ、剣の腕も騎士団長と同等、女性で皆に平等、その要旨から周りから忌み嫌われていた幼少時代があったにも関わらず、腐らずに努力とその人間性で周囲を認めさせた。
そう認識されているのが、ネーヴェである。
そんな彼女を、贔屓目無しにかわいがっているのが皇帝と后妃だ。自身に娘がいないから余計かもしれない。
通常であれば、黒い感情を抱かせるであろうそんな状況も、上記のように本人が周りを認めさせているため、今のところ問題はなかった。
この国の一番の権威者、皇帝が口を開く
「まさか…隣国に行かせるわけないですよね?」
皇帝の言葉に反応したのは、第二皇子のオルガだった。
「父上のかわいい甥っ子のかわいい嫁兼第二皇子の秘書ですよ⁉何かあったら、騎士団が黙ってないですし…
そもそも、隣国に行かせるって、何を理由に行かせるというんですか?」
「・・・お前?」
ニコニコと笑顔で首を45度に傾げ、オルガを見る皇帝。
美少女がやればきっとキュンとくるしぐさであろうそれは、初老の…それも威厳のある皇帝がやれば、もはや恐怖でしかない。
「父上!」
いい加減にしろ、とでも言いたげにオルガが声を荒げる
「今、お前が言ったじゃないか。第二皇子の秘書だって。お前が行けば、秘書も一緒に行くことになるだろ。
お前が心配だ、心配だというから一人で行かせるわけじゃない。これで何も起こらなければ、私のかわいい甥っ子だけが狙われていた十いう事がわかるし、彼女が狙われればイシュメリア公爵家を狙っていることになる。
あ、でもお前が狙われたら、この国全体狙ってることになるかぁ・・・とにかく狙われたらやり返せるいい口実ができるという事だ」
はははと軽く笑う初老の皇帝に、その場にいた全員が内心ため息を漏らす。
オルガだけが、口に出して盛大にため息を吐いた。
考えていないようで考えている。考えているようで考えていない。臣下からは大体こんな感じの評価の皇帝だが、
その実、対局は見極めており、適材適所に進化を配置する人を見る目はある。
「父上…いや、皇帝陛下。頼みますから、わかる説明をしていただき、勅命を下してください。
隣国の王子とはそこそこ仲がいいですけど、理由もなく遊びに行くわけにもいきません。
護衛を連れて行くのは、私が行けば名目は立ちますが、遊びに行くのにわざわざ喪中の秘書を連れていくのは不自然です。かわいがっているの、バレバレですし…」
通常、かわいがっている人間の夫が亡くなり、喪も明けないまま、家を長期間明けさせるような任務は下さない。
そう思われるほどには、皇帝から…いや、皇室からネーヴェが可愛がられている事は国民たちの間で周知であった。
仕事ができ、剣の腕も騎士団長と同等、女性で皆に平等、その要旨から周りから忌み嫌われていた幼少時代があったにも関わらず、腐らずに努力とその人間性で周囲を認めさせた。
そう認識されているのが、ネーヴェである。
そんな彼女を、贔屓目無しにかわいがっているのが皇帝と后妃だ。自身に娘がいないから余計かもしれない。
通常であれば、黒い感情を抱かせるであろうそんな状況も、上記のように本人が周りを認めさせているため、今のところ問題はなかった。