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『親愛なる妹へ』
2021.16号本誌 No.306ネタバレ有り
殴り書きなので読みにくいと思います。
それでも良い方は↓へ
「親愛なる妹へ」
そう書かれた2つ折りの手紙がポストに入っていた。
私はそれを引っ掴んで部屋に飛び込んだ。心臓が信じられないくらい早く動いた。
「大好きな 僕の可愛い妹 泉
今まで隠していた僕の秘密を教えるね。
僕の力はオールマイトから授かった特別なものなんだ。今まで隠していてごめんね。今までは必要なことだったんだ。でも、そうじゃなくなった。死柄木とオール・フォー・ワンは僕を狙っている。だから僕はもう雄英にいられない。
君の側にもいてやれない。世の中が混沌としているときに不甲斐ない兄でごめんね。お母さんを頼んだよ。よろしくね」
「ばか…お兄ちゃんのバカ」
私は涙をぼろぼろ溢しながら先を読み進める。家族に心配かけないように頑張るって言ったじゃん。嘘ばっかり。
「こんな混沌の中でも、君はきっとヒーローになるんだと言うんだろうね。絶対に諦めないんだろうね。太陽みたいな笑顔でみんなを助けるんだろうね。…僕も見たかったな、君のヒーロー姿。ヒーローネームはもう決めた?スーツはどんなのにするの?多分スーツは僕と似てるやつでしょ。君はいつも僕の真似っこをするよね。そんなところをいつも可愛いって思ってたよ」
字が滲んでいた。
私のことばっかり書いてさ。
「泉。僕の妹。可愛い妹。いつも元気で明るくて、笑顔が似合う。そして、僕のことが大好きで、僕も君が大好き。色々頑張るんだよ。僕の好きな君の笑顔で君が沢山笑顔でいられるような世界を僕は守る」
そこで手紙は終わっていた。
知ってるよ、お兄ちゃんは私のこと大好きだもんね。自慢の妹だもんね。私も大好きだよ。自慢のお兄ちゃんだよ。
私は手紙を握りしめたまま、外へ飛び出した。
ねぇ、お兄ちゃん。どこへ行けば、お兄ちゃんに会えるの?
ねぇ、お兄ちゃん。泉って呼んでよ。
ねぇ、お兄ちゃん。会いたいよ。
その時スマホが震え出した。電話だ。
お母さんが心配してかけてきたのだろうと思いながら、画面を確認する。公衆電話だった。
お兄ちゃんかもしれない。そう思って電話に出てみる。
「…もしもし?」
電話の向こうの人は答えない。耳を澄ますと微かに呼吸音だけが聞こえた。
「お兄ちゃんなの?」
それでも答えなかった。
「お兄ちゃん、どこにいるの?泉に会ってくれないの?手紙に沢山君って書いてたこと許してあげるから、声聞かせてよ」
鼻を啜る音が聞こえた。
やっぱりお兄ちゃんだ。
「泉ね、お兄ちゃんが大好きだよ。ヒーロー目指して頑張って努力してるお兄ちゃんが大好き。お兄ちゃんのその力はオールマイトから授かった特別なものなんかじゃなくて、お兄ちゃんが手に入れたお兄ちゃんの力だよ。でも、なんでお兄ちゃんがそんな大変な目に遭うんだろうね」
涙が止まらなかった。
「お母さんのことは泉に任せて。大丈夫、お兄ちゃんが戻ってきたときに泉に任せて良かったって言ってもらえるように頑張るよ。だから、絶対また帰ってきてね。そうしないとヒーローネームもコスチュームも教えてあげられないよ。だってまだ考えてないんだもん」
「…うん」
お兄ちゃんが一言でも、返事をくれた。本当はそんなこと思ってないでしょ。お兄ちゃんすぐ自分を犠牲にするんだから。泣いてるお兄ちゃんを抱きしめてあげたかった。
「お兄ちゃん…大好き」
その言葉を聞くとお兄ちゃんは電話を切った。
「お兄ちゃん…!」
電話口に呼びかけても聞こえてくるのは一定のリズムで刻まれた、ツーツーという音だけだ。
私はその場で声をあげて泣いた。
どれくらい泣いただろうか、まだ止まらない涙を我慢しながら家まで帰った。
家の前で立ち止まり、涙を上着の袖口でゴシゴシ拭いた。
「…ただいま、お母さん」
「泉っ…!どこ行ってた……」
お母さんは途中で言葉をやめた。涙でぐしょぐしょの私の顔を見て、お母さんも泣き出してしまった。
「ごめん、お母さんを泣かすつもりはなくて…」
「分かってるよ。泉は出久が大好きだもんね」
「うん。お兄ちゃんばかやろーだよね。家族に心配かけないって言ったのにさ。ばかやろー…」
私はお母さんと抱きしめ合ってまたわんわん泣いてしまった。
「でもね、大丈夫だよ。だってお兄ちゃんだもん」
私は涙を乱暴に拭って、引き攣る顔で精一杯笑った。
今日から泉はもう泣かない。
---------
本当に絶望すると涙とか言葉とかなくて、ただ感情が無になるんだなって思いました。半日経ってやっとこれを書きながら泣きました。このあと29巻も読むつもりです。
うちの子の話が全部夢になってしまった。夢小説だから夢は夢なんだけど、原作のどこかに存在する夢じゃなくて、原作のどこにも存在しない、夢になってしまった。お兄ちゃんは2-Aにはいない。雄英は学校として機能してないと思うから、この子は入学しない。ラブ&ヒーローの世界はうちの子の夢になってしまった。
私が絶望しているのとは反対に、うちの子は立ち上がりました。涙を乱暴にゴシゴシ拭って、ぐいっと口角を上げて、泣きそうになるのを我慢しながら精一杯笑いました。
「大丈夫だよ。だってお兄ちゃんだもん」
先週号、私はただ呆然としているだけで、うちの子は「お兄ちゃんをこれ以上苦しめないでよ!お兄ちゃんの肩にそんな重たいものを乗せないでよ!純粋にヒーローを目指させてあげてよ」と泣いて喚いて大暴れしていたのに。
だから私も。書き続ける自信がないと思ってしまったのですが、原作と共に走り抜けたいと思います。この子の物語はまだ沢山あります。この子のためにも書いて書いて書きまくります。
原作も辛いことがいっぱいあるだろうけど、お兄ちゃんの行く末を見守りたいと思います。
…どんな感情で5期アニアカを観ればいいのか、原画展で泣かない自信がないです…
2021.03.22
2021.16号本誌 No.306ネタバレ有り
殴り書きなので読みにくいと思います。
それでも良い方は↓へ
「親愛なる妹へ」
そう書かれた2つ折りの手紙がポストに入っていた。
私はそれを引っ掴んで部屋に飛び込んだ。心臓が信じられないくらい早く動いた。
「大好きな 僕の可愛い妹 泉
今まで隠していた僕の秘密を教えるね。
僕の力はオールマイトから授かった特別なものなんだ。今まで隠していてごめんね。今までは必要なことだったんだ。でも、そうじゃなくなった。死柄木とオール・フォー・ワンは僕を狙っている。だから僕はもう雄英にいられない。
君の側にもいてやれない。世の中が混沌としているときに不甲斐ない兄でごめんね。お母さんを頼んだよ。よろしくね」
「ばか…お兄ちゃんのバカ」
私は涙をぼろぼろ溢しながら先を読み進める。家族に心配かけないように頑張るって言ったじゃん。嘘ばっかり。
「こんな混沌の中でも、君はきっとヒーローになるんだと言うんだろうね。絶対に諦めないんだろうね。太陽みたいな笑顔でみんなを助けるんだろうね。…僕も見たかったな、君のヒーロー姿。ヒーローネームはもう決めた?スーツはどんなのにするの?多分スーツは僕と似てるやつでしょ。君はいつも僕の真似っこをするよね。そんなところをいつも可愛いって思ってたよ」
字が滲んでいた。
私のことばっかり書いてさ。
「泉。僕の妹。可愛い妹。いつも元気で明るくて、笑顔が似合う。そして、僕のことが大好きで、僕も君が大好き。色々頑張るんだよ。僕の好きな君の笑顔で君が沢山笑顔でいられるような世界を僕は守る」
そこで手紙は終わっていた。
知ってるよ、お兄ちゃんは私のこと大好きだもんね。自慢の妹だもんね。私も大好きだよ。自慢のお兄ちゃんだよ。
私は手紙を握りしめたまま、外へ飛び出した。
ねぇ、お兄ちゃん。どこへ行けば、お兄ちゃんに会えるの?
ねぇ、お兄ちゃん。泉って呼んでよ。
ねぇ、お兄ちゃん。会いたいよ。
その時スマホが震え出した。電話だ。
お母さんが心配してかけてきたのだろうと思いながら、画面を確認する。公衆電話だった。
お兄ちゃんかもしれない。そう思って電話に出てみる。
「…もしもし?」
電話の向こうの人は答えない。耳を澄ますと微かに呼吸音だけが聞こえた。
「お兄ちゃんなの?」
それでも答えなかった。
「お兄ちゃん、どこにいるの?泉に会ってくれないの?手紙に沢山君って書いてたこと許してあげるから、声聞かせてよ」
鼻を啜る音が聞こえた。
やっぱりお兄ちゃんだ。
「泉ね、お兄ちゃんが大好きだよ。ヒーロー目指して頑張って努力してるお兄ちゃんが大好き。お兄ちゃんのその力はオールマイトから授かった特別なものなんかじゃなくて、お兄ちゃんが手に入れたお兄ちゃんの力だよ。でも、なんでお兄ちゃんがそんな大変な目に遭うんだろうね」
涙が止まらなかった。
「お母さんのことは泉に任せて。大丈夫、お兄ちゃんが戻ってきたときに泉に任せて良かったって言ってもらえるように頑張るよ。だから、絶対また帰ってきてね。そうしないとヒーローネームもコスチュームも教えてあげられないよ。だってまだ考えてないんだもん」
「…うん」
お兄ちゃんが一言でも、返事をくれた。本当はそんなこと思ってないでしょ。お兄ちゃんすぐ自分を犠牲にするんだから。泣いてるお兄ちゃんを抱きしめてあげたかった。
「お兄ちゃん…大好き」
その言葉を聞くとお兄ちゃんは電話を切った。
「お兄ちゃん…!」
電話口に呼びかけても聞こえてくるのは一定のリズムで刻まれた、ツーツーという音だけだ。
私はその場で声をあげて泣いた。
どれくらい泣いただろうか、まだ止まらない涙を我慢しながら家まで帰った。
家の前で立ち止まり、涙を上着の袖口でゴシゴシ拭いた。
「…ただいま、お母さん」
「泉っ…!どこ行ってた……」
お母さんは途中で言葉をやめた。涙でぐしょぐしょの私の顔を見て、お母さんも泣き出してしまった。
「ごめん、お母さんを泣かすつもりはなくて…」
「分かってるよ。泉は出久が大好きだもんね」
「うん。お兄ちゃんばかやろーだよね。家族に心配かけないって言ったのにさ。ばかやろー…」
私はお母さんと抱きしめ合ってまたわんわん泣いてしまった。
「でもね、大丈夫だよ。だってお兄ちゃんだもん」
私は涙を乱暴に拭って、引き攣る顔で精一杯笑った。
今日から泉はもう泣かない。
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本当に絶望すると涙とか言葉とかなくて、ただ感情が無になるんだなって思いました。半日経ってやっとこれを書きながら泣きました。このあと29巻も読むつもりです。
うちの子の話が全部夢になってしまった。夢小説だから夢は夢なんだけど、原作のどこかに存在する夢じゃなくて、原作のどこにも存在しない、夢になってしまった。お兄ちゃんは2-Aにはいない。雄英は学校として機能してないと思うから、この子は入学しない。ラブ&ヒーローの世界はうちの子の夢になってしまった。
私が絶望しているのとは反対に、うちの子は立ち上がりました。涙を乱暴にゴシゴシ拭って、ぐいっと口角を上げて、泣きそうになるのを我慢しながら精一杯笑いました。
「大丈夫だよ。だってお兄ちゃんだもん」
先週号、私はただ呆然としているだけで、うちの子は「お兄ちゃんをこれ以上苦しめないでよ!お兄ちゃんの肩にそんな重たいものを乗せないでよ!純粋にヒーローを目指させてあげてよ」と泣いて喚いて大暴れしていたのに。
だから私も。書き続ける自信がないと思ってしまったのですが、原作と共に走り抜けたいと思います。この子の物語はまだ沢山あります。この子のためにも書いて書いて書きまくります。
原作も辛いことがいっぱいあるだろうけど、お兄ちゃんの行く末を見守りたいと思います。
…どんな感情で5期アニアカを観ればいいのか、原画展で泣かない自信がないです…
2021.03.22
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