夫婦編
名前変更
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「…焦凍さん」
私は出勤するために準備を整えて、寝ていた夫に声をかけた。
「…ん?」
焦凍さんは返事はしたものの、瞼を閉じたままだ。
「…起こしてしまってごめんなさい」
「休みだし…大丈夫だ」
眠たそうにボソボソと返事をした。私は深呼吸をして、口を開いた。
「あの今夜なんですけど…明日お休みなので…その、夜どうでしょうか…」
頑張って最後まで言うと、焦凍さんはうっすらと目を開けた。
「…待ってる」
焦凍さんが笑うので、私は噴火しそうだった。
「わ、あ、じゃ、仕事…行ってきます…」
挙動不審になる私を焦凍さんはくすくす笑った。
「泉から言ったくせに」
焦凍さんは私の腕を掴むと起き上がった。
「待て」
まだ眠たそうな顔で私にキスをしてくれた。
「気をつけてな」
顔に熱が集まる。今の私は真っ赤なトマトみたいだと思う。熱い。
「…何固まってんだ」
焦凍さんはやっぱり可笑しそうに笑う。
「誘ったのはお前だろ」
恥ずかしくて口を開けずにいると、焦凍さんは再びキスをした。何度もキスをしてくれるので、私は何も考えられなくなっていく。このまま、溺れてしまいたいと思っていると、焦凍さんが上着の中に手を入れようとしてきたので、流石に驚いて両手で強く押して離れた。
「まだっ…朝、です…っ!私、これから仕事なんですから…!」
焦凍さんは面白そうににやりと笑った。
「そんな赤い顔して、説得力ねぇな」
「もう!仕事行きます!」
立ち上がると、焦凍さんが再び手を掴んだ。どうするのかと見ていると、自分の元に引き寄せて、指先にキスをした。自分がお姫さまにでもなった気分だ。
「気をつけて頑張れよ。待ってる」
その姿にまた全身が熱くなる。反対の手で顔を押さえた。
「…んん゛っ…すき…」
「そうか」
焦凍さんは楽しそうだ。
「ただいま帰りました」
運悪く今日は夕方のパトロールで、派手に暴れ回っていたヴィランの捕獲をしていたため、帰りが遅くなった。
疲れ切って弱々しく家の中に呼びかけると、焦凍さんが出迎えてくれた。
「…焦凍さんだ…」
全身から緊張が解けて力が抜けた。
「おかえり」
前に倒れ込むと、焦凍さんが抱き止めてくれた。逞しい筋肉だ、なんて思った。
「ニュース見た。疲れただろ。先風呂入るか?ご飯食べるか?」
優しく問いかけてくれる焦凍さんに、私は首を振って答えた。
「泉」
呼ばれて顔を上げるとキスをされた。優しいキスをたくさん。疲れているせいか、判断が鈍っていてされるがままだった。何度かキスをした後、焦凍さんは唇を離した。
離れたくない。お風呂に入って汗を流したいのに。お腹がぐるぐる鳴るくらい、空腹なのに。今はただ焦凍さんが欲しくてたまらなかった。焦凍さんのシャツを掴んでじっと見上げた。
「焦凍さんが先じゃだめですか?」
焦凍さんは深くため息をつくと、答えるように私を抱きかかえた。私は焦凍さんにしがみつき、嬉しくなって頬にキスをした。
「…どうなってもしらねぇぞ」
「明日お休みですもん」
「お前はな」
「妻が可愛くおねだりしてるんですよ…?」
「……」
焦凍さんはまたため息をついた。
今晩の目的を達成してからうとうとしていると、お腹がきゅるきゅる鳴り出した。
「夕飯、食べるか?」
隣で寝ていた焦凍さんが口を開いた。
「…あのぅ…大変心苦しいのですが、カップ麺が食べたいです」
「なんで心苦しいんだ?」
「だって焦凍さんが用意してくれたご飯あるじゃないですか…」
「明日食べればいいだろ。今日は疲れてんだから、自分の好きなようにしたらいい」
「ありがとうございます!」
「ちなみに今日は何を作ったんですか…?」
「生姜焼き」
「生姜焼き…!」
「疲れてんだろうと思って」
「やっぱりそっち食べます!急いでお風呂入ってきます」
「俺も行く」
「だ、ダメです!」
「なんでだ」
「焦凍さんが一緒だと、お風呂どころじゃなくなっちゃうじゃないですか!」
「…いいだろ、別に。俺だって腹が減ってんだ」
「私じゃお腹は満たされませんけれども!」
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何が書きたかったんでしょうね、私は…。
2020.08.29