恋人編
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おまけ・切島くんが式場に乗り込むに至るまでの話
『切島くんの苦悩』
「あら…切島さん」
八百万は街でばったり会った切島さんに声をかけた。
「おー八百万」
「あの…!」
言い淀む八百万に切島は不思議そうな顔をした。
「どうしたんだ?」
「私、何日か前にたまたまお会いした光さんから、エンゲージリングを作るようお願いされたのですが、その…私が作ったもので良かったのでしょうか…?購入をお勧めしたのですが、いいから頼むすぐ必要なんだの一点張りで…」
「え⁉俺しばらく連絡取れないって言われてて…何も聞いてない」
「そ、それは…!失礼いたしました…!」
「ちょっと待った。その話詳しく聞かせてほしい」
「…ですが…」
「頼む…!」
困惑した表情で八百万は話し始めた。
「お、クリエティ」
「あら光さん。お帰りですか?」
「いや、探し物を…あ!そうだ。悪りぃんだけど、結婚指輪作ってくれねぇか。すぐ必要でさ、困ってんだ」
「結婚指輪を⁉大事なものですから、お買いになった方がよろしいかと思いますわ」
「いいから頼む。すぐ必要なんだよ。礼は必ずするから」
両手を合わせて頭を下げる光の姿に、八百万は拒否できなかった。
「分かりました、今回だけですよ」
「助かった!ありがとな、クリエティ」
光は嬉しそうに笑いながら、左手を差し出した。
「あたしの中指サイズと薬指サイズの2つ作ってくれ。羽の模様と赤い石が付いてるデザインで、材質はなんでも良い」
八百万は光の差し出した手を触った。そしてすぐに2つの指輪を作り出した。
「あたしのイメージぴったりだ!すげぇ。…気に入るかなぁ。助かった、本当にありがとな!」
光は仲良しの幼なじみのように嬉しそうに笑った。去っていく後ろ姿を八百万は呆気に取られたまま見送った。
「…嬉しそうに笑う姿は見たことがありませ…」
八百万は言いかけて、考え込んだ。
「どうした?」
「思い出しましたわ!そうですわ。あの、嬉しそうな顔!泉さんのことになるといつもされていましたわ」
「ヤオモモ!」
呼ばれて振り返ると耳郎が手を振っていた。
「耳郎さん。お待ちしていましたわ」
「待ち合わせしてたのか!よっ、耳郎元気か?」
「元気だよ。そう言えばおめでとう」
「え?」
「あれ?結婚するんじゃないの?ヤオモモから指輪の話聞いたのもあるけど。さっき光と泉が楽しそうにウェディングドレスの衣装屋?に入って行くのみたんだけど…え、違った?」
「プロポーズすらしてねぇ、ってか今しばらく連絡取れないって言われてる」
「あーじゃあうちの見間違いかも。ごめん」
「それってどこだ⁉」
「すぐそこ曲がったとこだけど…」
「ありがとな!ちょっと行ってみる!」
「え!?」
そう言って切島は走って行ってしまった。
一方、泉と光は耳郎の目撃した通りウェディングドレスを選びに来ていた。
2人はドレスを取っ替え引っ換えしながら、楽しそうに選んでいた。
仕事終わりに合流した爆豪は何着も試着する妹たちに「似合わねぇ」を連発していた。
「これはどうなってんだ…!?」
「なんでてめぇが居んだ、切島」
爆豪は振り返らずに舌打ちをした。
「や、さっき八百万と耳郎に会ってさ、光と泉ちゃんの話を聞いてさ…」
「えーじろ?なんでいるんだ?」
ウェディングドレス姿の光が切島に気がついた。細身のドレス姿の光に見惚れてしまって答えが出てこなかった。
「ま、いいや。そんなことより、ちょっと見てくれよ」
聞いたものの答えにあまり興味がないのか、光は泉を連れてきて自慢げに言った。
「泉のドレス姿可愛いだろ?さすがあたしの嫁。可愛い」
光は楽しそうに笑っている。泉を「嫁」と呼んだことに切島は驚いた。
「肩出しは論外だ。それに泉に細身のドレスは似合わねぇよ」
「かっちゃんさっきからそんなんばっかり言う!」
ぶーぶー文句を言いながらも楽しそうにする2人は、お揃いの指輪を左手にはめていた。
泉が轟のことをとても愛していて、「私は一生この人を愛するんです」とはにかみながら言っていたのをよく覚えてる。その泉が轟ではなく光をパートナーに選んだ…?
どうして光と泉が揃いの指輪をはめていて、ウェディングドレスを選んでいるのか。切島は混乱していた。
「切島さん、すみません。光ったら張り切っちゃって」
「泉!こっちの着てみて」
「ちょっと待ってー!」
「光と結婚するのか?轟は?」
「えっ?聞いてないんですか⁉ねぇ!光ー!」
「なんだよ、時間あんまりねぇんだから急いで決めないと」
「切島さんに今回のこと言ってないんでしょ!協力してくれるのは嬉しいけど、言っておかないといけないんじゃないの?」
「あー…あたし泉と結婚すんだ、悪りぃな」
驚いて切島は開いた口が塞がらなかった。
「光!嘘言わないの!演技でしょ」
「嘘じゃないだろ。明日結婚式なんだから。お前は来んなよ」
「切島さん?」
泉が声をかけるが、切島は固まって動かない。
「俺が選んでやるから先行ってろ」
爆豪が2人に先に行くように促すと、切島が項垂れて呟いた。
「泉ちゃん相手じゃ敵う気がしねぇわ…」
「…俺と結婚するんだろ位言えねぇなら、てめぇにはやらねぇわアホ」
「は⁉」
「うるせぇ、もうどっか行けや。てめぇの相手してる暇はねぇんだよ」
そういうと爆豪は立ち上がって、ドレスを選ぶ妹たちの方へ歩いていってしまった。
ふらふらと家に帰った切島は、もう一度泉と光の会話を思い出す。
「ん?ちょっと待てよ…泉ちゃんは演技って言ってなかったか⁉」
「そうか、演技か…!良かった…。あ、いや良くねぇ!爆豪にあぁ言われたらプロポーズしないと漢らしくねぇよな…」
としばらく悩んだ末、結婚式当日に光を泉から取り返すつもりで乗り込むことを決意したのである…。
光の「来んなよ」という言葉は完全に切島に届いていなかったのである。
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『切島くんの苦悩』
「あら…切島さん」
八百万は街でばったり会った切島さんに声をかけた。
「おー八百万」
「あの…!」
言い淀む八百万に切島は不思議そうな顔をした。
「どうしたんだ?」
「私、何日か前にたまたまお会いした光さんから、エンゲージリングを作るようお願いされたのですが、その…私が作ったもので良かったのでしょうか…?購入をお勧めしたのですが、いいから頼むすぐ必要なんだの一点張りで…」
「え⁉俺しばらく連絡取れないって言われてて…何も聞いてない」
「そ、それは…!失礼いたしました…!」
「ちょっと待った。その話詳しく聞かせてほしい」
「…ですが…」
「頼む…!」
困惑した表情で八百万は話し始めた。
「お、クリエティ」
「あら光さん。お帰りですか?」
「いや、探し物を…あ!そうだ。悪りぃんだけど、結婚指輪作ってくれねぇか。すぐ必要でさ、困ってんだ」
「結婚指輪を⁉大事なものですから、お買いになった方がよろしいかと思いますわ」
「いいから頼む。すぐ必要なんだよ。礼は必ずするから」
両手を合わせて頭を下げる光の姿に、八百万は拒否できなかった。
「分かりました、今回だけですよ」
「助かった!ありがとな、クリエティ」
光は嬉しそうに笑いながら、左手を差し出した。
「あたしの中指サイズと薬指サイズの2つ作ってくれ。羽の模様と赤い石が付いてるデザインで、材質はなんでも良い」
八百万は光の差し出した手を触った。そしてすぐに2つの指輪を作り出した。
「あたしのイメージぴったりだ!すげぇ。…気に入るかなぁ。助かった、本当にありがとな!」
光は仲良しの幼なじみのように嬉しそうに笑った。去っていく後ろ姿を八百万は呆気に取られたまま見送った。
「…嬉しそうに笑う姿は見たことがありませ…」
八百万は言いかけて、考え込んだ。
「どうした?」
「思い出しましたわ!そうですわ。あの、嬉しそうな顔!泉さんのことになるといつもされていましたわ」
「ヤオモモ!」
呼ばれて振り返ると耳郎が手を振っていた。
「耳郎さん。お待ちしていましたわ」
「待ち合わせしてたのか!よっ、耳郎元気か?」
「元気だよ。そう言えばおめでとう」
「え?」
「あれ?結婚するんじゃないの?ヤオモモから指輪の話聞いたのもあるけど。さっき光と泉が楽しそうにウェディングドレスの衣装屋?に入って行くのみたんだけど…え、違った?」
「プロポーズすらしてねぇ、ってか今しばらく連絡取れないって言われてる」
「あーじゃあうちの見間違いかも。ごめん」
「それってどこだ⁉」
「すぐそこ曲がったとこだけど…」
「ありがとな!ちょっと行ってみる!」
「え!?」
そう言って切島は走って行ってしまった。
一方、泉と光は耳郎の目撃した通りウェディングドレスを選びに来ていた。
2人はドレスを取っ替え引っ換えしながら、楽しそうに選んでいた。
仕事終わりに合流した爆豪は何着も試着する妹たちに「似合わねぇ」を連発していた。
「これはどうなってんだ…!?」
「なんでてめぇが居んだ、切島」
爆豪は振り返らずに舌打ちをした。
「や、さっき八百万と耳郎に会ってさ、光と泉ちゃんの話を聞いてさ…」
「えーじろ?なんでいるんだ?」
ウェディングドレス姿の光が切島に気がついた。細身のドレス姿の光に見惚れてしまって答えが出てこなかった。
「ま、いいや。そんなことより、ちょっと見てくれよ」
聞いたものの答えにあまり興味がないのか、光は泉を連れてきて自慢げに言った。
「泉のドレス姿可愛いだろ?さすがあたしの嫁。可愛い」
光は楽しそうに笑っている。泉を「嫁」と呼んだことに切島は驚いた。
「肩出しは論外だ。それに泉に細身のドレスは似合わねぇよ」
「かっちゃんさっきからそんなんばっかり言う!」
ぶーぶー文句を言いながらも楽しそうにする2人は、お揃いの指輪を左手にはめていた。
泉が轟のことをとても愛していて、「私は一生この人を愛するんです」とはにかみながら言っていたのをよく覚えてる。その泉が轟ではなく光をパートナーに選んだ…?
どうして光と泉が揃いの指輪をはめていて、ウェディングドレスを選んでいるのか。切島は混乱していた。
「切島さん、すみません。光ったら張り切っちゃって」
「泉!こっちの着てみて」
「ちょっと待ってー!」
「光と結婚するのか?轟は?」
「えっ?聞いてないんですか⁉ねぇ!光ー!」
「なんだよ、時間あんまりねぇんだから急いで決めないと」
「切島さんに今回のこと言ってないんでしょ!協力してくれるのは嬉しいけど、言っておかないといけないんじゃないの?」
「あー…あたし泉と結婚すんだ、悪りぃな」
驚いて切島は開いた口が塞がらなかった。
「光!嘘言わないの!演技でしょ」
「嘘じゃないだろ。明日結婚式なんだから。お前は来んなよ」
「切島さん?」
泉が声をかけるが、切島は固まって動かない。
「俺が選んでやるから先行ってろ」
爆豪が2人に先に行くように促すと、切島が項垂れて呟いた。
「泉ちゃん相手じゃ敵う気がしねぇわ…」
「…俺と結婚するんだろ位言えねぇなら、てめぇにはやらねぇわアホ」
「は⁉」
「うるせぇ、もうどっか行けや。てめぇの相手してる暇はねぇんだよ」
そういうと爆豪は立ち上がって、ドレスを選ぶ妹たちの方へ歩いていってしまった。
ふらふらと家に帰った切島は、もう一度泉と光の会話を思い出す。
「ん?ちょっと待てよ…泉ちゃんは演技って言ってなかったか⁉」
「そうか、演技か…!良かった…。あ、いや良くねぇ!爆豪にあぁ言われたらプロポーズしないと漢らしくねぇよな…」
としばらく悩んだ末、結婚式当日に光を泉から取り返すつもりで乗り込むことを決意したのである…。
光の「来んなよ」という言葉は完全に切島に届いていなかったのである。
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