L&H 学生編(本編)
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「なぁ。緑谷。……轟さ、すんげぇ丸くなったよな」
「…そうだね…?」
「今更だって思っただろ」
「え…!?そんな…!」
「まあ、今更だけどさ。俺が言いたいのは、なんつーか妹ちゃんに対しての話よ」
「あー…この間の…?」
「そ。この間の件もそうだけどさ、俺昨日見ちゃったんだよね」
ひと呼吸置いてから、瀬呂は話し始めた。
昨日さ、昼メシ食った後に食堂で障子とかとだべってたの。人もまばらになったぐらいで教室戻るかーって、食堂出てさ。ほら、食堂から教室に戻るときに中庭が見える廊下あんじゃん。そうそう、出てすぐの。そこの窓の前に轟が立ってたワケよ。1人で。ん?昨日お前も飯田もインターン行ってただろ。だから、1人だったんじゃね?何見てんだーって声かけようとしたら、轟が急に笑い出したんだよ。声をあげて笑うっていうわけじゃなくて、面が良いヤツにしか出来ねぇ微笑みだよ。ふっ…って感じで。わかるだろ?轟にしか出来ねぇよな、うん…。…俺も障子も驚いて思わず顔見合わせてさ、また見たらもっと笑ってんだよ。今度は口元押さえて込み上げてくる笑いを抑えるみたいな感じで。…で、何がおかしいのかと中庭を見たら…。そう、そのまさかよ。視線の先にいたのは、妹ちゃん。クラスメイトたちとボールを地面に落としたら負け?みたいなゲームしてたんだよ。パッと見バレーボールみたいな。…そんなことはいいんだけど。妹ちゃん楽しそうにボールを弾いてて、途中ボールとの距離を見誤ったのか、後ろにバランス崩してさ。ボールは綺麗に上に弾いたんだけど、後ろ向きに倒れて行ったと思ったらバク転してんの!俺も笑っちゃってさ。見たら轟も笑ってんだよなー。で、俺気づいちゃった。轟、妹ちゃんのこと好きだろ。絶対そうだって…!
「わり、何の話だっけ」
「轟くんが丸くなったって話だったと思う」
「そうそう。前は妹ちゃんに対して、そういう感じで笑うこともなかった気がしてさー。てか、まだ付き合ってないんだよな…?」
「僕は何も聞いてないよ」
「さすがに付き合うってなったら、大好きなお兄ちゃんに言わないわけないもんな」
「………言ってくれないっていう発想がなかった…!」
2021.11.05