L&H 学生編(本編)
名前変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
日曜日。
いつものように2-Aの寮を訪ねた。
掃除と昼食を楽しんで、くつろいでいると、一緒にくつろいでいた三奈さんがニコニコしながら私に言った。
「ねぇ、泉。いいこと教えてあげる」
「なんですか?」
「今日、近くでお祭りあるんだよ~!」
「お祭りですか!」
「そうそう、だからさ…」
「そうとわかれば、急いで準備しなくては!寮に戻りますね!」
「ちょ、泉!」
私は立ち上がって、帰ろうと早足で玄関に向かう。
轟さんが玄関にいた。動きやすそうな服を着て、トレーニングに出かけるようだった。
「轟!泉捕まえて!」
後ろから三奈さんの声がし、轟さんが私に手を伸ばした。腕を捕まれた。
「…!!」
驚いて言葉が出ず、固まっていると、
「あ、わりぃ。痛いか?」
轟さんが謝る。力は緩めてくれるものの、手は離さない。
「い、え…」
掴まれている腕が熱を持ち始める。
「良かった~!泉、話は最後まで聞いてよ~」
「す、すみません!」
「でね!お祭り、轟誘ってみたら?って思ったんだけど…。轟!夕方、祭り行ってきなよ!」
「…夏祭りか?」
「そうだよー!ね泉、どうよ?」
三奈さんはニヤニヤ笑っている。
「…あの、どうですか…?お祭り、一緒に行きませんか……?」
轟さんは考えている。
「お兄ちゃんとかも誘って……」
迷っている顔を見たら、無意識に言ってしまった。
……私の馬鹿。私の意気地なし!
お兄ちゃんを餌にしてしまった。
「…行く」
心の中でガッツポーズをする。
ありがとう、お兄ちゃん!!
ごめんね、お兄ちゃん!
「良かったじゃん、泉」と三奈さんが楽しそうに肘でつついてくる。
「じゃあ、16時にここ集合ね!」
と三奈さんが言った。
「ああ、わかった」
「了解です」
「……ところで!轟はいつまで、泉を捕まえてるつもり?」
三奈さんはまだ楽しそうだ。
轟さんにしっかりと握られている、自分の腕を見た。恥ずかしさで爆発しそう。
「わりぃ、芦戸が捕まえろって言ったから」
腕から手を離した。
「…あとでな」
轟さんは私の頭をぽんと撫でると、トレーニングをするらしく外へ行ってしまった。その姿を見送りながら、撫でられた頭を触った。
「撫で、られた……」
突然の出来ごとについていけてない。
隣に立つ三奈さんはやっぱり楽しそうだ。
「私、帰りますね…。自主トレと準備がありますので……」
寮を出て、すぐにお兄ちゃんに電話をかける。
「どうしたの?」
優しいお兄ちゃんの声に安心する。
「今日お祭りあるんだって!夕方行こうよ!」
「祭り?」
「うん、近くであるんだって。三奈さんが教えてくれた!」
「そうなんだ。…あ!轟くんも誘う?」
「実はね、今誘ったとこなの。お兄ちゃんも誘うから、行きましょうって…。16時に2-Aの寮集合だって!」
「わかった、楽しみにしてるね」
「じゃあ、またあとでね!」
電話を切る頃には、自分の寮に着いていた。中に入り、共有スペースにいるクラスメイトに声をかけた。
「光がどこにいるか知ってる?」
「部屋だと思う」
「そっかー!ありがとう!」
お礼を言い、光の部屋に急ぐ。
コンコン
「光ー!泉だよー!」
声をかけて、すぐ扉が開いた。
「今日お祭りあるんだって!行こ!」
「え、行く!」
とりあえず部屋に入りなよと促され、中に入った。すぐにベッド前の定位置に腰をかけた。
「浴衣着ようよ!実家から持ってきてるよね?」
夏休みに一度実家に帰ったときに、機会があるかもしれないから、持ってきてね!!と何度も念押しして、持ってきてもらった。
「持ってきてる!」
「やっぱり持ってきて正解だったね!浴衣はOKね。お祭りね、三奈さんが教えてくれたの。轟さん誘えばって」
光が「ん?」という顔をした。たぶん、三奈さんが誰かわかってない。
「個性酸の芦戸三奈さん。黒目の」
そう言うとああ、あの人と思い出したようだった。ほんと、かっちゃんに似て他人に興味ないんだから…。
「で?」
「…お兄ちゃんも誘うから、って言ったら、行くって言ってくれた!」
「……泉…」
呆れたようにため息を吐いた。
「光?」
「意気地なし。いや、うん、2人きりになるのも嫌なんだけど。…待って。じゃあ何。クソ舐めプ野郎も一緒に行くわけ?」
「そうだけど。…光がいなきゃつまんないもん」
頬を膨らます。
轟さんを舐めプ野郎と言うのはいただけないけど、光がいなければつまんないのは本当のこと。
「頬を膨らませても、可愛いだけだよ泉」
「お兄ちゃんもいるし、光も行こう?」
「もちろん行くよ。泉は私が守る」
「守るって何から!」
「変な男から」
光はいたって真面目だ。
「守ってもらうほど弱くありませーん!」
可笑しくて2人してケラケラ笑った。
.