2.妹と、ご飯を食べる話
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キーンコーンカーンコーン………。
4時間目が終了のチャイムが鳴った。
私はそわそわしながら、先生の言葉を待つ。
「じゃあ、今日の授業はここまで。」
よし、終わった!
教科書を机に押し込んで、財布を持って立ち上がった。
「じゃ、行ってくる!」
クラスメイトに声をかけ、ダッシュで教室を出た。
後ろから先生の「廊下は走るな!」という声が聞こえたけど、聞こえない振りをする。
先生、ごめんなさい!
今はそれどころじゃないんです!
向かう先はただ1つ。
「お兄ちゃん!!」
開いていた扉から覗き込んで、お兄ちゃんを見つけて叫ぶように呼んだ。
良かった、かっちゃんはいないみたい。
「泉!?どうしたの?」
飯田さんや麗日さん、轟さんと一緒にいたお兄ちゃんはびっくりした顔で私のところへ来てくれた。
まだおさまらない胸の鼓動に手を当てながら、その勢いで口を開いた。
「お昼!一緒に食べよ!」
「…友だちは?」
「週に一度くらいは、お兄ちゃんと食事がしたいです!」
質問の答えになっていない答えを元気よく返した。
お兄ちゃんははあ…とため息を漏らす。
「……ダメ、だった…?」
「いいじゃん、デクくん!妹ちゃんも一緒に食べよう。」
いつの間にかお兄ちゃんの後ろに来ていた麗日さんが笑顔で言う。
「麗日さん……。女神……!」
「女神なんて照れるなあ……。」
照れながら頭をかく姿に、思わず合掌する。
「よし、決まりだ。…そういえば、初めましてだな?俺は飯田天哉。ヒーロー科の新入生に緑谷くんの妹がいる、と話は聞いていた。」
「初めまして。緑谷泉です!いつも兄がお世話になっています。個性エンジンの飯田さんですね?」
「そうだ。よく知っているな。」
「もちろんです。去年の体育祭を録画して何度も見ましたし、お兄ちゃんから話をたくさん聞いています!」
「勉強熱心なんだな!では、食堂へ行こう!」
飯田さんはシュバババっと不思議な手の動きをしながら、歩き出した。
おお!聞いていた通り。
ロボっぽい!おもしろい!
飯田さんを追いかけるようにして、私とお兄ちゃん、麗日さんも歩き出す。
「轟さん、こんにちは。」
「…おう。」
遅れてついて来た轟さんが、お兄ちゃんの横に並んだ。
「いつも、このメンツで食事してるんですか?」
「…だいたいそうだな。」
私はお兄ちゃんの隣を歩きながら、いいなあと呟いた。
「お兄ちゃん、今日は体力テストやったんだよ!」
「個性使っていいやつ?」
「そうそう!私、個性使うところなくて…、結局いつもの体力テストの結果と変わらなかった!」
「泉の個性だと、体力テストには使えないね。でも、素の体力あるんだから、成績良かったでしょ?」
「クラスで真ん中くらい。まあまあじゃない?」
「去年の僕は最下位だったから、それに比べればすごいよ。」
今日の授業のことや寮のこと、クラスメイトのことなど、しばらく会えなかった間の出来事をたくさん喋る。
お兄ちゃんは笑いながら、私の話を聞いてくれた。
久しぶりにお兄ちゃんと話すのが楽しくて、いつもよりずっとおしゃべりになってしまった。
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