1round
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
俺は適当に治療してもらった後、地下闘技場を後にした。
長い長い階段を登って地上に出た。
外の光が眩しくて思わず目を瞑る。
この瞬間が嫌いだ。掌でその光を遮る。
出口の両脇にいた男達が俺を見て言った。
「お前に賭けてよかったぜ。サンキュー」
俺は片手だけあげて挨拶するとその場を離れた。
東京のど真ん中だというのにあたりは静かだった。
廃墟になった工場の中を進む。
錆びたトタンと鉄骨でできたハリボテの倉庫の中まで進んでいく。
乾いた自分の足跡が廃墟内に響く。
俺はふと足を止めた。
「…俺になんか用?」
誰もいない空間に自分の声だけが静かに響いた。
正直自信はなかった。
少しだけ誰かにつけられてるような気がして、念のためカマかけてみた。
「…お前、何の個性持ちだ?」
すると後ろの方から男の声がした。
振り返るとそいつは倉庫の入り口に立ってるから、外の光が逆光になっててどんなやつかははっきりわからなかった。
「は?俺無個性なんだけど?あんた誰?」
俺がファイトで個性つかってんのは極秘。つってももうそんなのあの場所では関係なかった。俺が個性使おうが何しようが、どうでもよかった。観客は俺がボロボロにされるのを楽しんでるか、対戦相手が俺みたいなガキにいいようにされるのを面白がってるだけだ。
「衝撃を吸収する個性か?それか見えねぇシールドを作り出すタイプか?」
あー。
めんどくさ。なにこいつ。
勝手に1人で話し出して。
俺のファン?
じゃないよな。
個性のこと誰かに話したって思われたら俺が烏丸さんに殴られんだけど。
…殺しておいた方がいいのか?
「なに、お兄さん俺のファン?さっきの試合もちろん俺に賭けてくれてたでしょ?」
俺は相手がどんなやつか見ようと思って近づいた。
警戒されて逃げられるかと思ったら予想に反して相手も近づいてきた。
そしてとっとと帰ればよかったと後悔した。
「…やべ」
足を止めて聞こえないようにつぶやいた。
それは誰もが知ってるヒーローだった。
爆心地。ダイナイト。
こいつの個性、強烈すぎて無理だ。
多分至近距離じゃ俺のシールドがもたねぇ。
そう、俺の個性はシールド。
形と大きさに強度は左右されるが、自分の思い通りに作れる。
「どっちにしろ個性なきゃ、あんな打撃もろに受けて今こうして歩いてらんねぇよなぁ」
「…それ知ってどうすんだよ?さっきの闘技場に違反だってわざわざチクりにいくわけ?誰も相手にしねぇよ」
俺はもう諦めて開き直った。
こんな大物ヒーロー相手じゃ俺には何もできない。それに警察につれていかれたところですぐに烏丸さんが出してくれる。
…無駄なんだよ。
「地下闘技場の元締め誰だ?」
「知るかよ。俺はただのファイターだ」
「とっとと言え。俺はさっさと帰りてぇんだよ」
だったら帰れよ。俺だって帰りてぇよ。
だが爆心地はそこに仁王だって隙がない。
身体能力には自信あるが、あいつの個性の前じゃ無力だ。逃げられる気がしない。
「…知ってたとして。言ったが最後、2時間後には俺東京湾の底に沈んでるぜ?」
爆心地の表情は変わらない。
可哀想とか思わないわけ?大人気ねぇな。
その時爆心地の後ろから数人の人影が現れた。
「おぃ!!ここにいやがったか餓鬼‼︎」
「あ、いいところに」
現れた男は先ほどの俺の対戦相手だ。俺に頭突き喰らってよく頭割れなかったな。
俺はもちろんシールドで守られてるからたいしたことない。ちょっと大袈裟にふらつく演技もバッチリだった。
「お前やっぱりイカサマしてんだろ!!さっきの賭けて儲けた金返しやがれ‼︎」
爆心地に気付いてないのかボクサー風の男は後ろにこれまた屈強そうな仲間を2人連れて俺を恐喝してきた。
俺はわざとらしく声をあげた。
「うわー。助けてヒーロー。悪い人たちに脅されてるー」
「あ?何言ってやが…」
そこでやっと半グレ達はそこに突っ立ってるのが今トップレベルを争うヒーローだと気付いたようだ。
「だっ、ダイナマイトぉ?!」
俺はスキップでもしそうな勢いで爆心地と半グレのやつらの横を優雅に通り過ぎた。
「おい!待ちやが…」
爆心地が俺に向かって何か言っていたが。
「いや、俺たちは善良な市民ですよヒーロー!悪党はあのクソガキで…」
って必死に弁明しようとしてる輩の声に引き止められて追っては来なかった。
長い長い階段を登って地上に出た。
外の光が眩しくて思わず目を瞑る。
この瞬間が嫌いだ。掌でその光を遮る。
出口の両脇にいた男達が俺を見て言った。
「お前に賭けてよかったぜ。サンキュー」
俺は片手だけあげて挨拶するとその場を離れた。
東京のど真ん中だというのにあたりは静かだった。
廃墟になった工場の中を進む。
錆びたトタンと鉄骨でできたハリボテの倉庫の中まで進んでいく。
乾いた自分の足跡が廃墟内に響く。
俺はふと足を止めた。
「…俺になんか用?」
誰もいない空間に自分の声だけが静かに響いた。
正直自信はなかった。
少しだけ誰かにつけられてるような気がして、念のためカマかけてみた。
「…お前、何の個性持ちだ?」
すると後ろの方から男の声がした。
振り返るとそいつは倉庫の入り口に立ってるから、外の光が逆光になっててどんなやつかははっきりわからなかった。
「は?俺無個性なんだけど?あんた誰?」
俺がファイトで個性つかってんのは極秘。つってももうそんなのあの場所では関係なかった。俺が個性使おうが何しようが、どうでもよかった。観客は俺がボロボロにされるのを楽しんでるか、対戦相手が俺みたいなガキにいいようにされるのを面白がってるだけだ。
「衝撃を吸収する個性か?それか見えねぇシールドを作り出すタイプか?」
あー。
めんどくさ。なにこいつ。
勝手に1人で話し出して。
俺のファン?
じゃないよな。
個性のこと誰かに話したって思われたら俺が烏丸さんに殴られんだけど。
…殺しておいた方がいいのか?
「なに、お兄さん俺のファン?さっきの試合もちろん俺に賭けてくれてたでしょ?」
俺は相手がどんなやつか見ようと思って近づいた。
警戒されて逃げられるかと思ったら予想に反して相手も近づいてきた。
そしてとっとと帰ればよかったと後悔した。
「…やべ」
足を止めて聞こえないようにつぶやいた。
それは誰もが知ってるヒーローだった。
爆心地。ダイナイト。
こいつの個性、強烈すぎて無理だ。
多分至近距離じゃ俺のシールドがもたねぇ。
そう、俺の個性はシールド。
形と大きさに強度は左右されるが、自分の思い通りに作れる。
「どっちにしろ個性なきゃ、あんな打撃もろに受けて今こうして歩いてらんねぇよなぁ」
「…それ知ってどうすんだよ?さっきの闘技場に違反だってわざわざチクりにいくわけ?誰も相手にしねぇよ」
俺はもう諦めて開き直った。
こんな大物ヒーロー相手じゃ俺には何もできない。それに警察につれていかれたところですぐに烏丸さんが出してくれる。
…無駄なんだよ。
「地下闘技場の元締め誰だ?」
「知るかよ。俺はただのファイターだ」
「とっとと言え。俺はさっさと帰りてぇんだよ」
だったら帰れよ。俺だって帰りてぇよ。
だが爆心地はそこに仁王だって隙がない。
身体能力には自信あるが、あいつの個性の前じゃ無力だ。逃げられる気がしない。
「…知ってたとして。言ったが最後、2時間後には俺東京湾の底に沈んでるぜ?」
爆心地の表情は変わらない。
可哀想とか思わないわけ?大人気ねぇな。
その時爆心地の後ろから数人の人影が現れた。
「おぃ!!ここにいやがったか餓鬼‼︎」
「あ、いいところに」
現れた男は先ほどの俺の対戦相手だ。俺に頭突き喰らってよく頭割れなかったな。
俺はもちろんシールドで守られてるからたいしたことない。ちょっと大袈裟にふらつく演技もバッチリだった。
「お前やっぱりイカサマしてんだろ!!さっきの賭けて儲けた金返しやがれ‼︎」
爆心地に気付いてないのかボクサー風の男は後ろにこれまた屈強そうな仲間を2人連れて俺を恐喝してきた。
俺はわざとらしく声をあげた。
「うわー。助けてヒーロー。悪い人たちに脅されてるー」
「あ?何言ってやが…」
そこでやっと半グレ達はそこに突っ立ってるのが今トップレベルを争うヒーローだと気付いたようだ。
「だっ、ダイナマイトぉ?!」
俺はスキップでもしそうな勢いで爆心地と半グレのやつらの横を優雅に通り過ぎた。
「おい!待ちやが…」
爆心地が俺に向かって何か言っていたが。
「いや、俺たちは善良な市民ですよヒーロー!悪党はあのクソガキで…」
って必死に弁明しようとしてる輩の声に引き止められて追っては来なかった。