1round
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名前は控え室の床に倒れていた。
額から流れた血はもう乾いていた。
扉の外ではまだ観客の悲鳴に似た歓声が聞こえる。
「…ってー」
名前は上半身をずるずると少しずつ動かして上体を起こした。
「…水」
水を飲もうと辺りを見回す。
ペットボトルの水はテーブルの上で、立ち上がらなくては取れなかった。
「…」
軋む体はそれすら億劫に感じさせ、名前を床に縫いつけたままだった。
するとコンコンと乾いた音がした。
闘技場へ続く扉とは反対の位置にある扉からだった。
扉は名前の返事を待たずに開いた。
「よくやったね名前。みんなお前の負けに賭けてたから大儲けだ!」
そこには歳若く、長身の男が立っていた。
仕立てられた上等なスーツに身を纏い、少し長めの黒髪はきっちりとオールバックにしてまとめている。
地べたに座り込んでいる名前の前にしゃがむと、その目線を合わせた。
「…そっすか」
「明日の対戦相手はうまく負けてくれ。お前なら得意だろ?わざと相手の攻撃を誘うように隙を作ってくれ。ただし接戦に見えるようにしてくれよ」
「了解」
名前の返事が気に入ったのか。うっすらあげていた口角をさらにあげて、男は笑みを深くした。そして名前の顔に手を伸ばすと、その前髪をそっとかき分けた。
「…あまり顔に傷をつくるな。お前は私の所有物なんだからな。ちゃんとその自覚を持て」
「すみません…」
名前は額の傷のことを言っているのかと気づいた。ここまでやられるつもりはなかったが、今回はコントロールを失敗したと言わざるを得なかった。
「気ぃつけます。烏丸さん」
「今日はもう戻っていろ。あとでご褒美に美味いもん食わせてやるからな」
「はーい」
男は立ち上がると颯爽と部屋を後にした。
名前はいまだに床から立ちあがろうとせず、しばらく床を見つめていた。
額から流れた血はもう乾いていた。
扉の外ではまだ観客の悲鳴に似た歓声が聞こえる。
「…ってー」
名前は上半身をずるずると少しずつ動かして上体を起こした。
「…水」
水を飲もうと辺りを見回す。
ペットボトルの水はテーブルの上で、立ち上がらなくては取れなかった。
「…」
軋む体はそれすら億劫に感じさせ、名前を床に縫いつけたままだった。
するとコンコンと乾いた音がした。
闘技場へ続く扉とは反対の位置にある扉からだった。
扉は名前の返事を待たずに開いた。
「よくやったね名前。みんなお前の負けに賭けてたから大儲けだ!」
そこには歳若く、長身の男が立っていた。
仕立てられた上等なスーツに身を纏い、少し長めの黒髪はきっちりとオールバックにしてまとめている。
地べたに座り込んでいる名前の前にしゃがむと、その目線を合わせた。
「…そっすか」
「明日の対戦相手はうまく負けてくれ。お前なら得意だろ?わざと相手の攻撃を誘うように隙を作ってくれ。ただし接戦に見えるようにしてくれよ」
「了解」
名前の返事が気に入ったのか。うっすらあげていた口角をさらにあげて、男は笑みを深くした。そして名前の顔に手を伸ばすと、その前髪をそっとかき分けた。
「…あまり顔に傷をつくるな。お前は私の所有物なんだからな。ちゃんとその自覚を持て」
「すみません…」
名前は額の傷のことを言っているのかと気づいた。ここまでやられるつもりはなかったが、今回はコントロールを失敗したと言わざるを得なかった。
「気ぃつけます。烏丸さん」
「今日はもう戻っていろ。あとでご褒美に美味いもん食わせてやるからな」
「はーい」
男は立ち上がると颯爽と部屋を後にした。
名前はいまだに床から立ちあがろうとせず、しばらく床を見つめていた。