日照雨

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「いやよ!絶対京都校に行く!」
「ダメっていってるでしょーがぁ!」

荘厳な趣の日本屋敷が立ち並ぶ五条家。
広大な敷地の中にいくつもの屋敷が建てられている。
大正時代に建てられたものも中にはあり、西洋の趣も取り入れられている。
そのうちの一つの屋敷から、その厳格な雰囲気に似つかわしくない声量の声が朝から行き交う。


「おやめなさい。名前、みっともないわよ」
「お母様!だってお兄ちゃんが…」
「母さん!名前が僕の言うこと聞かないんだ!」
「悟。…あなたもいい歳なんだから妹離れなさい」
「えぇー?!」


五条家前当主には2人の子供がいる。
1人は嫡男であり現当主となった五条悟。
五条家相伝の無下限呪術と、六眼を併せ持って生まれた現代呪術界における最強の呪術師。

その下に歳の離れた妹、名前がいる。
兄と同じ白髪だが、瞳は日本人らしい黒い瞳をしている。
2人揃ってその人間離れした容姿は誰をも魅了した。とても美しい兄妹だった。
名前は相伝を継いでいない。
しかし珍しい術式を扱う。…が、この術式に関しては本人と悟、あと1人の人物しか知らない。

半年後には呪術高専に通うことになっている。
それが今回の兄妹の揉め事に発展している。



「もう名前は東京校に願書も出してあるし、手続きも済んでるの!だから京都校への入学は無理でーす!」
「何でお兄ちゃんが勝手にそんなことしてるのよ!」


名前は以前から京都校への入学を希望していたが、兄の悟はそれにずっと反対していた。
東京であれば自身が教鞭を執っているし、寮に入らずとも自分の契約しているマンションに一緒に住めばいいと思っていた。
というよりそうしたかった。


「そんな思春期真っ盛りの青少年の巣窟なんかに名前を放り込めるわけないでしょ!寮は契約してないから。俺のマンションにおいで」
「いや!」
「何で?!」


悟は幼い頃から歳の離れた妹を溺愛している。
高専の教師になったときには、いつか名前も学生として同じ家から学校へ行き、帰ったら名前が自分の帰りを待っていると思うと嬉しかった。
五条悟はこの野望だけは譲れなかった。


「…はぁ。名前、悟の強引さもどうかとは思いますが、どうして京都校にそこまでこだわるのですか?」
「う…それは」

先程から兄妹喧嘩を見守っていた母が見かねて口を挟んだ。

「そうだよー。なんでそんなにも京都にこだわるのさー」

悟はやたら口元をニヤニヤさせて名前にたずねる。何か知っているのかわざとらしく聞いた。

「?、何か理由でもあるの?名前

母に核心を迫られそうになった名前は顔を青くする。

「い!いえ、…別に!」

行く手を塞がれた名前は慌てふためく。

「…っもう!わかったわ!東京校に行くわ!」
「うぇーい!さっすが名前!」
「でも絶対お兄ちゃんのマンションにはいかないから!寮に入る!」
「えぇー!?!」

それを見て母は満足したように手を2回叩く。
乾いた音がその場を鎮めた。

「はい。決まりましたね。名前は春から東京校に入学、寮に入ってもらいます。夜蛾学長もいらっしゃるし、あそこなら安心だわ」
「え、え。でも、え。」
「お兄ちゃんのせいよ」


京都校への入学は阻止できたものの、予想外の展開になった悟は狼狽える。
一方、半分は兄の思い通りになってしまった名前は臍を曲げてその場から出ていってしまった。


母親もその場からいなくなり。
悟だけがポツンと取り残された。












「はぁー…」
「なんだい悟。溜め息なんかついて」


教職員が待機する部屋で、昨日の名前とのやりとりを思い出してはため息をついた付いた。
その時ちょうど学生時代からの親友であり悪友でもある夏油傑が声をかけてきた。
こいつも俺と同じで東京校で教師になった。


「すぐるー、どうしたらいいと思うー??名前が僕と一緒に住まないって言うんだよー」
名前って、悟の妹?相変わらずの溺愛ぶりだね」


傑は半分呆れたように笑う。いや、ちょっと引いてる。そんな傑を無視して話を続けた。


名前がどこぞの男に手でも出されたら大変じゃない?僕に似てて可愛いし、スタイルもいいし。ここ男女別棟だけどさぁ、別に出入りしようと思えばできるじゃない?」
「何言ってるんだ。若人から青春を取り上げないってのが君の信条なんだろ?いつも言ってるじゃないか」
「…それは、まぁ」


傑の言うことは自分が言っていたことだけあって反論できなかった。


「大丈夫だよ。五条悟の妹に安易に手を出そうとする奴がこの世界にいるとは思えないよ」


それに僕もちゃんと気を配っておくから。
と、頼もしい言葉をくれる友人に感動した。


「す、傑さまぁ!」
「じゃ、今日の飲み代は悟持ちでね」
「…なるほど、ね」


きっと今夜、硝子にも同じような流れで酒代を集られるんだろう。
いや。でも名前の安全のためにもここは協力者は多い方がいい。


「しかし、なんでまた君の妹は京都校に行きたがってたのさ」
「…そんなの決まってる。アイツのせいだ」
「あいつ??」

名前は何でかあの男にえらく懐いている。
きっと京都に行きたいのもアイツが原因だ。

「傑も交流戦とかで会ったでしょ?一個下の"禪院直哉"」
「…あー、禪院家の。あのちょっと目つきの悪い子?」

なるほどわかりやすい第一印象だ。自分も狐目だということを忘れているのか。

「…何かな?」
「いえいえ傑様。そう!その目つきも性格もひん曲がった野心の塊みたいなアイツだよ」
「そこまで言ってないよ。まぁでも生意気な雰囲気ではあったね。実に好戦的だった」


そうだろー?と俺は同志を得たような気持ちでテンションが上がった。

「何故か名前はちっちゃい頃から直哉にべったりなんだよねー。暇さえあれば京都行く京都行くって」
「へー。意外にメンクイなのかな?顔は悪くなかったよ。それともお家柄重視なのかな?」
名前はそんなんじゃないさ」

家柄とか見た目とか、表面上のことで人を選んだりしない。
だからこそ何故名前があそこまで直哉に懐くのかわからない。
名前は呪術師が向いてないくらい根明ないい子だ。
本当は呪術師になんかなってほしくないが、呪力も術式も持っている以上、五条家でそれは許されない。何より本人もより強くなることを望んでいる。


「まぁ、なんにせよ悟の思惑通り東京校に通うんだろ?僕も君がそこまで溺愛する"名前ちゃん"に会えるのが楽しみだよ」
「まさか…傑。お前まで」
「そう言うのじゃないから、面倒くさいなぁ」

はぁーー。と、心底ダルそうなため息を傑が吐いた。
まぁ。傑がそう言うんじゃないのはわかってる。
でも男は皆んな狼なんだ。
俺は名前を守らなくては。

俺はどんなことがあっても名前に降りかかる火の粉は払い除けるのだ。









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