夜の虹
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「いーやーやー!!ぜったぁ行かへん‼︎」
「…そんなことおっしゃらないでください。もう補助監督の方おみえになってますよ?」
着崩れた浴衣姿で布団の上をジタバタする直哉様はまるで子供のようだ。
僕は羽織や袴をいそいそと出しながらそんな直哉様を諭す。
「何で俺が兄貴の尻拭いせなあかんのや!他の兄さんら行ったらええやん!」
「皆さん他の任務に行かれています…」
刻は夜の10時。
直哉様は明日から2日間の休暇の予定だった。
直哉様の骨休めの休暇にあくまでもお世話役としてついていくと言う口実で、何と2人で温泉に行く予定だったのだ。
忙しい直哉様と旅行なんて滅多に出来ることではない。
温泉でも行くかー。
なんてサラッと言われた時は信じられなかった。そしてどれほど嬉しかったか。
それが直哉様のお兄様が任務中にお怪我をされたようで、代役が直哉様にこのタイミングで回ってきてしまった。
慌てて迎えにきた補助監督の方は半泣きだった。
「お願いしますよー!禪院特別一級呪術師のお兄様だけでなく、同行していた他の呪術師も重症ですよー!他に今すぐ対応出来る人がいないんですってばぁ!」
本人に直接頼むのが怖いとのことで、僕を門まで呼ぶと縋るように説明された。というか足にしがみつかれた。
あまりにも不憫だった。
こんな年下の、しかも非呪術師の僕に泣き付かなくてはいけないなんて…。
それにしても直哉様、外だとそんなに怖いのかな?
僕は直哉様を説得することを引き受けた。
それにこれはお仕事なのだ…仕方ない。
「名前の鬼ー!そんなに俺に任務に行って欲しいんかぁー!」
「む!」
む!なんて、漫画みたいな声をつい上げてしまった。
僕だって、明日からの旅行をどれほど楽しみにしていたか…。
珍しく怒った顔をしてしまったせいだろうか。直哉様がポカンとこちらを見ている。
「僕だって…」
いや、それ以上言っていい身分ではない。
大変なのは直哉様だ。こんな時間から危険な任務に赴かなくてはならないのだ。
主の心配より自分の感情を優先するなんて…。自己嫌悪だ。
いつの間にか目の前に立っていた直哉様が、俯いた僕の顎を掴んだ。
「わ」
「だって…何や?」
直哉様はニヤニヤ楽しそうにこちらを見ている。
「え?」
「何言おうとしたか教えてや」
「えっと…」
何でそんなに楽しそうに聞いてくるんだろう。
とにかくここはごまかそう。
「何でもありません!とにかくお着替えを…」
「何て言おうとしたのか教えてくれな着替えへんー」
「…」
僕の顎を掴んだまま直哉様がぐっと顔を近づける。
顔をそらせない代わりに目を泳がせる。
「…ぼ、僕だって…直哉様に行って欲しくありません」
僕はこのままでは埒があかないと諦めて白状した。とにかく早く支度していただかないと。
「直哉様との旅行…すごく楽しみでしたからーーーんん?!」
いい終わるやいなや直哉様の顔がさらに近づいてきて、その形の良い唇で口を塞がれた。
入り込んできた舌に歯列をなぞられて体の芯がゾクゾクした。
「んっ…ふ、」
舌を今度は絡められて呼吸がしにくい。
直哉様の浴衣を思わずギュッと掴んでしまった。
でもその舌の熱さが気持ちいい。いつの間にか僕も夢中になって直哉様の舌を追いかけていた。
「ーーっは、ハァハァ」
直哉様がやっと離れた。
物足りなくなった口で荒い呼吸を繰り返す。
「っは、エロい顔」
「うわっ!」
直哉様が先程ジタバタ暴れていた布団に押し倒された。
あ、この流れは。
まずい…。
「な、直哉様っ」
「このままじゃ任務に集中できひんからいっぺんやらして♪」
「そんな時間ありませんよ!補助監督の方玄関で待って…」
「あーかまんかまん。待たしといたらええんや。わがまま聞いてやるんやからそんぐらい待っててもらわな」
「ダメですってば!…あ、ちょ、待って…!」
僕の制止も虚しく、あっという間に一糸纏わぬ姿にされてしまった。
「な、直哉様…」
「あー。旅館で風呂上がりの名前の浴衣脱がすの楽しみにしとったのにぃ。着たままもやるつもりやったけど」
「なっ…!」
「あと露天風呂でもやる俺の計画どうしてくれるんや」
「そんなこと考えてたんですか?!」
もちろん就寝時もそういうことするつもりだったんだろう。
あまりのハードスケジュールに腰が重くなった。
顔を真っ赤にしてわなわなしている僕に直哉様が一瞬真剣な顔になって言った。
「…ごめんな。俺も楽しみにしてたんやで?」
「!」
ダメだ。僕はこの人に滅法弱い。
「せやから行く前にせめて相手して♪」
「も…もぅ。ずるいです…」
もう僕に断る理由は無くなった。
もういいや。
これは直哉様に任務に行ってもらうために必要な事だと割り切った。
補助監督さんには申し訳ないが玄関で待っててもらおう。
そんな言い訳を並べている僕の頬を直哉様の手が撫ぜた。
「…そんなことおっしゃらないでください。もう補助監督の方おみえになってますよ?」
着崩れた浴衣姿で布団の上をジタバタする直哉様はまるで子供のようだ。
僕は羽織や袴をいそいそと出しながらそんな直哉様を諭す。
「何で俺が兄貴の尻拭いせなあかんのや!他の兄さんら行ったらええやん!」
「皆さん他の任務に行かれています…」
刻は夜の10時。
直哉様は明日から2日間の休暇の予定だった。
直哉様の骨休めの休暇にあくまでもお世話役としてついていくと言う口実で、何と2人で温泉に行く予定だったのだ。
忙しい直哉様と旅行なんて滅多に出来ることではない。
温泉でも行くかー。
なんてサラッと言われた時は信じられなかった。そしてどれほど嬉しかったか。
それが直哉様のお兄様が任務中にお怪我をされたようで、代役が直哉様にこのタイミングで回ってきてしまった。
慌てて迎えにきた補助監督の方は半泣きだった。
「お願いしますよー!禪院特別一級呪術師のお兄様だけでなく、同行していた他の呪術師も重症ですよー!他に今すぐ対応出来る人がいないんですってばぁ!」
本人に直接頼むのが怖いとのことで、僕を門まで呼ぶと縋るように説明された。というか足にしがみつかれた。
あまりにも不憫だった。
こんな年下の、しかも非呪術師の僕に泣き付かなくてはいけないなんて…。
それにしても直哉様、外だとそんなに怖いのかな?
僕は直哉様を説得することを引き受けた。
それにこれはお仕事なのだ…仕方ない。
「名前の鬼ー!そんなに俺に任務に行って欲しいんかぁー!」
「む!」
む!なんて、漫画みたいな声をつい上げてしまった。
僕だって、明日からの旅行をどれほど楽しみにしていたか…。
珍しく怒った顔をしてしまったせいだろうか。直哉様がポカンとこちらを見ている。
「僕だって…」
いや、それ以上言っていい身分ではない。
大変なのは直哉様だ。こんな時間から危険な任務に赴かなくてはならないのだ。
主の心配より自分の感情を優先するなんて…。自己嫌悪だ。
いつの間にか目の前に立っていた直哉様が、俯いた僕の顎を掴んだ。
「わ」
「だって…何や?」
直哉様はニヤニヤ楽しそうにこちらを見ている。
「え?」
「何言おうとしたか教えてや」
「えっと…」
何でそんなに楽しそうに聞いてくるんだろう。
とにかくここはごまかそう。
「何でもありません!とにかくお着替えを…」
「何て言おうとしたのか教えてくれな着替えへんー」
「…」
僕の顎を掴んだまま直哉様がぐっと顔を近づける。
顔をそらせない代わりに目を泳がせる。
「…ぼ、僕だって…直哉様に行って欲しくありません」
僕はこのままでは埒があかないと諦めて白状した。とにかく早く支度していただかないと。
「直哉様との旅行…すごく楽しみでしたからーーーんん?!」
いい終わるやいなや直哉様の顔がさらに近づいてきて、その形の良い唇で口を塞がれた。
入り込んできた舌に歯列をなぞられて体の芯がゾクゾクした。
「んっ…ふ、」
舌を今度は絡められて呼吸がしにくい。
直哉様の浴衣を思わずギュッと掴んでしまった。
でもその舌の熱さが気持ちいい。いつの間にか僕も夢中になって直哉様の舌を追いかけていた。
「ーーっは、ハァハァ」
直哉様がやっと離れた。
物足りなくなった口で荒い呼吸を繰り返す。
「っは、エロい顔」
「うわっ!」
直哉様が先程ジタバタ暴れていた布団に押し倒された。
あ、この流れは。
まずい…。
「な、直哉様っ」
「このままじゃ任務に集中できひんからいっぺんやらして♪」
「そんな時間ありませんよ!補助監督の方玄関で待って…」
「あーかまんかまん。待たしといたらええんや。わがまま聞いてやるんやからそんぐらい待っててもらわな」
「ダメですってば!…あ、ちょ、待って…!」
僕の制止も虚しく、あっという間に一糸纏わぬ姿にされてしまった。
「な、直哉様…」
「あー。旅館で風呂上がりの名前の浴衣脱がすの楽しみにしとったのにぃ。着たままもやるつもりやったけど」
「なっ…!」
「あと露天風呂でもやる俺の計画どうしてくれるんや」
「そんなこと考えてたんですか?!」
もちろん就寝時もそういうことするつもりだったんだろう。
あまりのハードスケジュールに腰が重くなった。
顔を真っ赤にしてわなわなしている僕に直哉様が一瞬真剣な顔になって言った。
「…ごめんな。俺も楽しみにしてたんやで?」
「!」
ダメだ。僕はこの人に滅法弱い。
「せやから行く前にせめて相手して♪」
「も…もぅ。ずるいです…」
もう僕に断る理由は無くなった。
もういいや。
これは直哉様に任務に行ってもらうために必要な事だと割り切った。
補助監督さんには申し訳ないが玄関で待っててもらおう。
そんな言い訳を並べている僕の頬を直哉様の手が撫ぜた。