爆豪&???
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24歳の春。
俺はリカバリーガールの推薦で、日本で屈指のヒーローを輩出している国立雄英高校に赴任することになった。
肩書としてはリカバリーガールの補佐、兼養護教諭。
「まったく!今年の1年は無茶ばかりする!治療するこっちの身にもなってみろってもんだよ!苗字!手伝いな!」
俺の出身は雄英ではないが、リカバリーガールには研修医時代お世話になった。
その縁あって今回そんなお声がかかった。
俺の個性もリカバリーガールといっしょで治癒の促進だ。
俺も闘うヒーローに憧れてヒーロー科のある高校(唯一医学部がある高校だ)を受験したくちだ。
ヒーローになりたかった。
でも治癒の個性では戦えないから医学部に入って戦ってくれるヒーローの治療に専念しようと思った。
だからヒーローの卵達に役立てるならと二つ返事で了承した。
そして現在。
確かに1年生は怪我が多い。
まだ自分の戦闘スタイルが確立せず安定しない時期だろう。
そしてその中でも特に2人。
やたら保健室に来る頻度が高い生徒がいる。
「…あー、今日はどうした?」
「見りゃわかんだろぉが!指切ったんだよ!!!」
とても治療を頼みにきたとは思えない態度。
しかもその態度で要求してくることはなんと紙で指を切ったから治療しろとのこと。
爆豪勝己。
個性さながらの性格に、プライドはエベレスト。
しかしそれ相応の強いメンタルの持ち主とも見える。
しかし、意外にも小さな傷を気にしている。
完璧主義、なんだろうか?
小さな傷すら訓練や学業に支障が出る可能性を懸念してこうしてマメにきているのだろうか。
完璧主義も行き過ぎると自分で自分の首を絞めかねない。
雄英では日々高い壁を乗り越えることを要求される。色んな悩みを抱えているだろう。
慎重に対応していかないとな。
「わかった。このくらいなら俺の個性で反動もなく治せるからすぐ治そう」
「…お、おぅ」
俺のデスクの横にある椅子に座るよう促せば大人しく座る。
その指を見せるように言えば素直に目の前に差し出された。
傷に触れそうな手前まで手を近づける。
個性を発動させればその傷口がほのかな光を放つ。光が消えたと思ったら、もう傷は消えている。
「終わったよ。痛みは…」
「あんたはよ」
「え?」
突然爆豪くんは話しかけてきた。
これは…何か悩み事でも打ち明けてくれるかな?と、彼の次の言葉に意識を集中させる。
「その…リカバリーガールみたいに…治療しねぇのか」
「え?リカバリーガール、みたいに?」
それは…どういう意味だろう?
彼女の個性と俺の個性はほぼ同じだ。
治癒を促進させる。
ただ、俺の個性は人体…つまり解剖学的な知識が深まれば傷の修復のイメージが明確になり、それに伴って傷の治りが早く、本人への反動も少なくなる。
その辺りの差はあれど、特にすることに変わりはないはず。
もしかして…俺の治療だと傷の治りが悪いのだろうか?体質によるのか?今までそんな経験はなかったので不安になった。
「まだ痛むか?3日前に治した打撲…もしかして治らなかったか?」
「ち、ちげぇ!そ、そういうんじゃ…なくてよぉ…!」
急に歯切れの悪くなった彼は目を逸らすように横を向いてしまった。
その態度に俺は確信した。
爆豪くんは遠慮して今まで言えなかったのではないだろうか?それで何度も保健室に通う羽目に?
もしそうなら彼に悪いことをしていた。
「すまない。俺が完全に治してやれるのがいいんだが、もし体質によるものだとしたら今後はリカバリーガールに治してもらった方がいい。午前中だったらリカバリーガールがいるからその時間に来てく」
「ちげぇっつってんだろぉが!俺は午後のが怪我が多いんだ!!てめぇが治せ!」
「えぇー」
俺が話終わる前に爆豪くんはそう言い捨てるとすぐに保健室を出て行った。
え?どういうことだよ?
▽
「苗字先生いますか?」
そしてこの日、授業も終わったであろう時間にもう1人の生徒が訪れた。
轟焦凍。
彼もヒーロー科の生徒で、かなりの実力の持ち主と聞いている。
少し天然な性格なようだということは最近気づいた。
もう1人の、よくここに頻繁に訪れる生徒だ。
「どうした?どっか怪我したか?」
「いや、怪我は…ないんすけど」
「…あ、そうだ。俺今からちょっと休憩だからまたコーヒーでも飲んでかね?」
彼は怪我はあまりしないが、こうして業後にふらっと現れては俺とコーヒーを飲みながらたわいのない話をしていく。
もちろんこれは彼だけ特別扱いしているわけでは決してない。轟くんはいつも何か俺に言いたそうに見える。何か悩みがあるんじゃないんだろうかと思って様子を慎重に見ている。
偉大なヒーロー、エンデヴァーの息子。担任の相澤先生の話ではその子供達の中では最も期待をかけて育てられ、家庭では色々あったようだ。と、いうことだけ軽く聞いている。
理由はわからないが顔にまで火傷の跡があるし…軽く聞いていいような事情でないんだろう。
いつか、その気になったら話してくれたらいい。
そう思いながらコーヒーカップにゆっくりと口を近づける。
轟くんはコーヒーにまだ口をつけず、代わりにゆっくりと口を開いた。
「苗字先生は…恋人はいるんですか?」
「ブッ」
俺はコーヒーを吹きそうになった。
「大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…うん。ごめん思ったよりコーヒー熱いから轟くん、飲む時気をつけて」
「俺猫舌なんでもうちょっとしてから飲みます」
そうだったね。と、何事もなかったように返す。さて、早く別の話題を振らないと…
「で、いるんですか」
「…」
そこは察して誤魔化されてくれよ。
え?これ正直に答えなきゃダメ?
うーん。あんまりプライベートの話って生徒にしていいもんなのかな?
あ、でも轟くん。
もしかしてずっと俺に言いたそうにしてたのって…そういう恋愛の相談だったりするんだろうか?
ありえる。
ヒーロー科の生徒は日々の鍛錬や自身に今後かかってくる重責を考慮して、恋愛感情を持ってしまった自身に対して罪悪感を感じてしまう者までいるそうだ。
これはしっかり答えてあげた方がいいな。
「俺はいないよ。別に恋人を作らない主義とかそういうのじゃなくて、たまたま今はそういう相手がいないだけ」
「そうなんすね」
少しばかり轟くんの表示が明るくなったような気がする。
それに少しホッとする。
「俺はヒーロー科じゃなかったから、何の参考にもならないと思うけど…個人的には恋愛も後悔のないようにした方がいい。同じ時間は2度と流れないんだから」
彼がもし、恋愛なんかしてる場合ではないと自分を責めているなら…そんなこと思う必要ないと伝えてやりたい。
君たちはヒーローになるんだから、尚更そういう愛情とか知っておくべきなんだ。
「自分の気持ちだって大事にしないとな」
俺がそう笑いかけると。
轟くんが少しだけ頬を赤くして微笑んだ。
こんな顔してくれたの初めてで、これで少しでも恋愛に対してポジティブに考えてくれたらいいな、なんて思った。
「俺も学生の時付き合ってた人いたよ。好きな人がそばにいてくれるってすごく幸せだよ」
「…」
すると轟くんは急に死んだ魚の目になった。
…えぇぇ?!何で?!
何を間違えた?!
あ、もしかして…三角関係?とかなのかな?
不毛な恋してるとか?えぇぇどうしよう。
「あ、まぁ、その!つまりなんて言いたいかって言うと…」
「いえ、苗字先生…今は特定の人とそういう関係にないってことですもんね。ならよかったです」
「んんー?」
何がいいのかな?あれ?
何もよくないよね?
別に俺だって結婚とかしたくないわけじゃないんだけどな。
一応何がいいのか確認しようかと口を開きかけた時、保健室の引き戸が勢いよく開いた。
俺はリカバリーガールの推薦で、日本で屈指のヒーローを輩出している国立雄英高校に赴任することになった。
肩書としてはリカバリーガールの補佐、兼養護教諭。
「まったく!今年の1年は無茶ばかりする!治療するこっちの身にもなってみろってもんだよ!苗字!手伝いな!」
俺の出身は雄英ではないが、リカバリーガールには研修医時代お世話になった。
その縁あって今回そんなお声がかかった。
俺の個性もリカバリーガールといっしょで治癒の促進だ。
俺も闘うヒーローに憧れてヒーロー科のある高校(唯一医学部がある高校だ)を受験したくちだ。
ヒーローになりたかった。
でも治癒の個性では戦えないから医学部に入って戦ってくれるヒーローの治療に専念しようと思った。
だからヒーローの卵達に役立てるならと二つ返事で了承した。
そして現在。
確かに1年生は怪我が多い。
まだ自分の戦闘スタイルが確立せず安定しない時期だろう。
そしてその中でも特に2人。
やたら保健室に来る頻度が高い生徒がいる。
「…あー、今日はどうした?」
「見りゃわかんだろぉが!指切ったんだよ!!!」
とても治療を頼みにきたとは思えない態度。
しかもその態度で要求してくることはなんと紙で指を切ったから治療しろとのこと。
爆豪勝己。
個性さながらの性格に、プライドはエベレスト。
しかしそれ相応の強いメンタルの持ち主とも見える。
しかし、意外にも小さな傷を気にしている。
完璧主義、なんだろうか?
小さな傷すら訓練や学業に支障が出る可能性を懸念してこうしてマメにきているのだろうか。
完璧主義も行き過ぎると自分で自分の首を絞めかねない。
雄英では日々高い壁を乗り越えることを要求される。色んな悩みを抱えているだろう。
慎重に対応していかないとな。
「わかった。このくらいなら俺の個性で反動もなく治せるからすぐ治そう」
「…お、おぅ」
俺のデスクの横にある椅子に座るよう促せば大人しく座る。
その指を見せるように言えば素直に目の前に差し出された。
傷に触れそうな手前まで手を近づける。
個性を発動させればその傷口がほのかな光を放つ。光が消えたと思ったら、もう傷は消えている。
「終わったよ。痛みは…」
「あんたはよ」
「え?」
突然爆豪くんは話しかけてきた。
これは…何か悩み事でも打ち明けてくれるかな?と、彼の次の言葉に意識を集中させる。
「その…リカバリーガールみたいに…治療しねぇのか」
「え?リカバリーガール、みたいに?」
それは…どういう意味だろう?
彼女の個性と俺の個性はほぼ同じだ。
治癒を促進させる。
ただ、俺の個性は人体…つまり解剖学的な知識が深まれば傷の修復のイメージが明確になり、それに伴って傷の治りが早く、本人への反動も少なくなる。
その辺りの差はあれど、特にすることに変わりはないはず。
もしかして…俺の治療だと傷の治りが悪いのだろうか?体質によるのか?今までそんな経験はなかったので不安になった。
「まだ痛むか?3日前に治した打撲…もしかして治らなかったか?」
「ち、ちげぇ!そ、そういうんじゃ…なくてよぉ…!」
急に歯切れの悪くなった彼は目を逸らすように横を向いてしまった。
その態度に俺は確信した。
爆豪くんは遠慮して今まで言えなかったのではないだろうか?それで何度も保健室に通う羽目に?
もしそうなら彼に悪いことをしていた。
「すまない。俺が完全に治してやれるのがいいんだが、もし体質によるものだとしたら今後はリカバリーガールに治してもらった方がいい。午前中だったらリカバリーガールがいるからその時間に来てく」
「ちげぇっつってんだろぉが!俺は午後のが怪我が多いんだ!!てめぇが治せ!」
「えぇー」
俺が話終わる前に爆豪くんはそう言い捨てるとすぐに保健室を出て行った。
え?どういうことだよ?
▽
「苗字先生いますか?」
そしてこの日、授業も終わったであろう時間にもう1人の生徒が訪れた。
轟焦凍。
彼もヒーロー科の生徒で、かなりの実力の持ち主と聞いている。
少し天然な性格なようだということは最近気づいた。
もう1人の、よくここに頻繁に訪れる生徒だ。
「どうした?どっか怪我したか?」
「いや、怪我は…ないんすけど」
「…あ、そうだ。俺今からちょっと休憩だからまたコーヒーでも飲んでかね?」
彼は怪我はあまりしないが、こうして業後にふらっと現れては俺とコーヒーを飲みながらたわいのない話をしていく。
もちろんこれは彼だけ特別扱いしているわけでは決してない。轟くんはいつも何か俺に言いたそうに見える。何か悩みがあるんじゃないんだろうかと思って様子を慎重に見ている。
偉大なヒーロー、エンデヴァーの息子。担任の相澤先生の話ではその子供達の中では最も期待をかけて育てられ、家庭では色々あったようだ。と、いうことだけ軽く聞いている。
理由はわからないが顔にまで火傷の跡があるし…軽く聞いていいような事情でないんだろう。
いつか、その気になったら話してくれたらいい。
そう思いながらコーヒーカップにゆっくりと口を近づける。
轟くんはコーヒーにまだ口をつけず、代わりにゆっくりと口を開いた。
「苗字先生は…恋人はいるんですか?」
「ブッ」
俺はコーヒーを吹きそうになった。
「大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…うん。ごめん思ったよりコーヒー熱いから轟くん、飲む時気をつけて」
「俺猫舌なんでもうちょっとしてから飲みます」
そうだったね。と、何事もなかったように返す。さて、早く別の話題を振らないと…
「で、いるんですか」
「…」
そこは察して誤魔化されてくれよ。
え?これ正直に答えなきゃダメ?
うーん。あんまりプライベートの話って生徒にしていいもんなのかな?
あ、でも轟くん。
もしかしてずっと俺に言いたそうにしてたのって…そういう恋愛の相談だったりするんだろうか?
ありえる。
ヒーロー科の生徒は日々の鍛錬や自身に今後かかってくる重責を考慮して、恋愛感情を持ってしまった自身に対して罪悪感を感じてしまう者までいるそうだ。
これはしっかり答えてあげた方がいいな。
「俺はいないよ。別に恋人を作らない主義とかそういうのじゃなくて、たまたま今はそういう相手がいないだけ」
「そうなんすね」
少しばかり轟くんの表示が明るくなったような気がする。
それに少しホッとする。
「俺はヒーロー科じゃなかったから、何の参考にもならないと思うけど…個人的には恋愛も後悔のないようにした方がいい。同じ時間は2度と流れないんだから」
彼がもし、恋愛なんかしてる場合ではないと自分を責めているなら…そんなこと思う必要ないと伝えてやりたい。
君たちはヒーローになるんだから、尚更そういう愛情とか知っておくべきなんだ。
「自分の気持ちだって大事にしないとな」
俺がそう笑いかけると。
轟くんが少しだけ頬を赤くして微笑んだ。
こんな顔してくれたの初めてで、これで少しでも恋愛に対してポジティブに考えてくれたらいいな、なんて思った。
「俺も学生の時付き合ってた人いたよ。好きな人がそばにいてくれるってすごく幸せだよ」
「…」
すると轟くんは急に死んだ魚の目になった。
…えぇぇ?!何で?!
何を間違えた?!
あ、もしかして…三角関係?とかなのかな?
不毛な恋してるとか?えぇぇどうしよう。
「あ、まぁ、その!つまりなんて言いたいかって言うと…」
「いえ、苗字先生…今は特定の人とそういう関係にないってことですもんね。ならよかったです」
「んんー?」
何がいいのかな?あれ?
何もよくないよね?
別に俺だって結婚とかしたくないわけじゃないんだけどな。
一応何がいいのか確認しようかと口を開きかけた時、保健室の引き戸が勢いよく開いた。