爆豪
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俺には所謂幼馴染って奴が2人いて、何の因縁か小・中と同じだっただけでなく、高校まで同じところに通う羽目になった。デクに関しては同じクラスになるなんて許し難い現象が起きてやがてる。
あともう1人の幼馴染に名前って奴がいる。
こいつはデクよりも古い付き合いだ。つってもいつからか、名前は俺よりデクとつるむようになったから付き合いらしい付き合いはほとんどなくなってる。
いつからだったかなんてすぐ思い出せる。俺がデクを気に入らなくなった頃からだ。
「かっちゃんなんでそんなことするんだよ!いずくが痛がってんじゃないか!」
デクがモブを庇おうとして俺に殴られる。その殴られたデクを名前が庇う。
そんなこと繰り返してるうちに、いつも名前はデク野郎のそばにいるようになった。
俺が名前のことも殴ったのかって?そんなことするかよ。
こいつは俺みたいに派手な個性じゃねぇにしても“細胞の再生”ってすげぇ稀有な個性持ってやがる。小さい怪我なら副作用もなく治せちまう。だからガキの頃は俺と名前、2人でならすんげーヒーローになれんじゃねぇかって、本気で思ってた。
他人は癒せても、他人から自分を守る術を持たない名前を守ってやろうなんて思ってた。あいつの個性を必要とする人間はたくさんいる。もちろんそれは敵 も含まれる。
「かっちゃん絶対内緒だよ!とーさんとかーさんしか知らないんだから絶対内緒だよ」
そう言って自分の個性を、両親以外の人間では初めて俺に話してくれた。その時の名前の人懐っこい笑顔に悪い気はしなかった。
名前となら遊んでやってもいい、なんて思った。名前は人懐っこい性格で、いつだって俺の後をいつもついてくるようなやつだった。だから俺にいつだって決定権があると思ってた。
だが気づけばあいつは俺に殴られて半べそかいてるデクの手を優しく引いて、2人並んでその場から消えていった。
「…あ!かっちゃん久しぶり!体育祭すごかったねー!」
「…んだ名前かよ」
あたかも今名前の存在に気づいたかのように、あたかも機嫌が悪いかのように返事をする。
そんな余所余所しい俺に気分を害した様子もなく名前は体育祭での俺やデクを賞賛していた。
お気楽なめでてぇやつ。
暇人かよ。
と思う一方で、名前と話すのは中学の卒業式以来だとぼんやり考えた。
そん時は式も終わって帰ろうとする俺をわざわざ引き留めてこいつは言った。
ヒーロー科は自分の個性では到底入れないが、雄英の普通科に入って、体張って戦っているヒーローの役に立ちてぇとかなんとか言っていた。
俺はなんて返事したか忘れちまった。ただ無性にイライラして、返事もそこそこに立ち去ったことだけは覚えてる。
そうだ。こいつもデク野郎と一緒だ。生半可な実力で無鉄砲に危険に突っ込もうとする馬鹿だ。
「そういうお前は普通科に入学するのも精一杯でしたって感じだよなぁ?人のこと褒めてる場合かよ」
俺は捨て台詞のようにそれだけ言うとアイツの顔も見ずにその場から立ち去った。
いつもこうだ。
名前は俺をイライラさせる。
きっと戦闘には全く不向きなコイツが、呑気に笑ってるのが俺の神経をいちいち逆撫でさせるのだ。
名前は困ってるやつ誰彼かまわず救おうとする。お人好しで、来るもの拒まず、八方美人。
元々俺とは相入れない性格だっただけのこと。
「名前、大丈夫だよこれくらい。勝手に治るから」
昼休みに屋上で昼寝でもしていようかと、校舎内でも人気のない階段を登っている時だった。上の踊り場からムカつく声がして、ふと足を止めた。
「何言ってんだよ。尚更だろ?こんくらい俺に負担かかるようなことじゃないんだから、遠慮するなよ」
続いてまたイライラさせる声が聞こえて、もう昼寝は教室でしようかと諦めた。諦めたが、なぜかその場から動けず、デクと名前の会話を盗み聞きする形になっちまった。
「…ねぇ、名前。あのさ…まだ…その、かっちゃんのこと…」
デクの口から突然俺の名前が出て自分でも情けねぇくらい肩が揺れた。
なんだ?
俺がなんだよ。
「まだ…好き?」
今度は声が出そうになっちまった。
反射的に右手で自分の口を押さえた。
何動揺してんだよ俺は。
は?動揺してるってなんだよ。
友人として好きか、とか、ただの…そういう話だろ。
「…」
名前が黙ってる間にまたこのイライラした気持ちがぶり返してくる。
体が熱くなって、心臓が大袈裟に脈打ち、気管支を圧迫されるような。
名前を見るといつからかこうだ。
いつから…
「最初に名前が個性教えてあげたの…かっちゃんだって言ってたもんな」
ーーーーかっちゃん絶対内緒だよ!
デクの言葉で、あの時の…名前の笑顔を思い出した。
そうだ。
あの時からだ。
名前を見ると胸の辺りが苦しくて、息がしにくくて。
名前がデクにも自分の秘密を教えたって聞いて、腹が煮え繰り返りそうだった。
それからデクにもイライラするようになった。
名前がデクを庇う姿を見て、俺が殴られたみたいに胸が痛んだ。
名前が雄英受験するって聞いて、もう俺たちだけの秘密は、俺たちだけのものじゃなくなるのだと思ったら無性にイライラした。
だから、
「…、かっちゃんのこと…今でも好きだよ」
名前のどんな言葉でも、俺は簡単に息ができなくなる。
だが、自分のこの想いに名前をつけるのは…
あまりに遅すぎた。
「でもね、でもねデク。俺、もう前に進めると思うんだ。いつまでも小さい頃のままじゃいられないだろ?」
「名前…」
布が擦れる音がして、なんとなくデクの野郎が動いたのがわかった。
「…名前。僕、ヒーローになるよ。その個性を狙う敵からも名前を守ってみせるよ。だから…」
その続きを、言うな。
「名前が、ずっとそばで…僕を守って?」
それは、ずっと、俺がアイツに伝えたかったことだったのに…。
今更気づいた後悔と、名前が嬉しそうに笑う声に全てを理解して、絶望感が目の前に重くのしかかった。
だが俺は爪が手のひらに食い込むほど、握り込むことしかできなかった。
あともう1人の幼馴染に名前って奴がいる。
こいつはデクよりも古い付き合いだ。つってもいつからか、名前は俺よりデクとつるむようになったから付き合いらしい付き合いはほとんどなくなってる。
いつからだったかなんてすぐ思い出せる。俺がデクを気に入らなくなった頃からだ。
「かっちゃんなんでそんなことするんだよ!いずくが痛がってんじゃないか!」
デクがモブを庇おうとして俺に殴られる。その殴られたデクを名前が庇う。
そんなこと繰り返してるうちに、いつも名前はデク野郎のそばにいるようになった。
俺が名前のことも殴ったのかって?そんなことするかよ。
こいつは俺みたいに派手な個性じゃねぇにしても“細胞の再生”ってすげぇ稀有な個性持ってやがる。小さい怪我なら副作用もなく治せちまう。だからガキの頃は俺と名前、2人でならすんげーヒーローになれんじゃねぇかって、本気で思ってた。
他人は癒せても、他人から自分を守る術を持たない名前を守ってやろうなんて思ってた。あいつの個性を必要とする人間はたくさんいる。もちろんそれは
「かっちゃん絶対内緒だよ!とーさんとかーさんしか知らないんだから絶対内緒だよ」
そう言って自分の個性を、両親以外の人間では初めて俺に話してくれた。その時の名前の人懐っこい笑顔に悪い気はしなかった。
名前となら遊んでやってもいい、なんて思った。名前は人懐っこい性格で、いつだって俺の後をいつもついてくるようなやつだった。だから俺にいつだって決定権があると思ってた。
だが気づけばあいつは俺に殴られて半べそかいてるデクの手を優しく引いて、2人並んでその場から消えていった。
「…あ!かっちゃん久しぶり!体育祭すごかったねー!」
「…んだ名前かよ」
あたかも今名前の存在に気づいたかのように、あたかも機嫌が悪いかのように返事をする。
そんな余所余所しい俺に気分を害した様子もなく名前は体育祭での俺やデクを賞賛していた。
お気楽なめでてぇやつ。
暇人かよ。
と思う一方で、名前と話すのは中学の卒業式以来だとぼんやり考えた。
そん時は式も終わって帰ろうとする俺をわざわざ引き留めてこいつは言った。
ヒーロー科は自分の個性では到底入れないが、雄英の普通科に入って、体張って戦っているヒーローの役に立ちてぇとかなんとか言っていた。
俺はなんて返事したか忘れちまった。ただ無性にイライラして、返事もそこそこに立ち去ったことだけは覚えてる。
そうだ。こいつもデク野郎と一緒だ。生半可な実力で無鉄砲に危険に突っ込もうとする馬鹿だ。
「そういうお前は普通科に入学するのも精一杯でしたって感じだよなぁ?人のこと褒めてる場合かよ」
俺は捨て台詞のようにそれだけ言うとアイツの顔も見ずにその場から立ち去った。
いつもこうだ。
名前は俺をイライラさせる。
きっと戦闘には全く不向きなコイツが、呑気に笑ってるのが俺の神経をいちいち逆撫でさせるのだ。
名前は困ってるやつ誰彼かまわず救おうとする。お人好しで、来るもの拒まず、八方美人。
元々俺とは相入れない性格だっただけのこと。
「名前、大丈夫だよこれくらい。勝手に治るから」
昼休みに屋上で昼寝でもしていようかと、校舎内でも人気のない階段を登っている時だった。上の踊り場からムカつく声がして、ふと足を止めた。
「何言ってんだよ。尚更だろ?こんくらい俺に負担かかるようなことじゃないんだから、遠慮するなよ」
続いてまたイライラさせる声が聞こえて、もう昼寝は教室でしようかと諦めた。諦めたが、なぜかその場から動けず、デクと名前の会話を盗み聞きする形になっちまった。
「…ねぇ、名前。あのさ…まだ…その、かっちゃんのこと…」
デクの口から突然俺の名前が出て自分でも情けねぇくらい肩が揺れた。
なんだ?
俺がなんだよ。
「まだ…好き?」
今度は声が出そうになっちまった。
反射的に右手で自分の口を押さえた。
何動揺してんだよ俺は。
は?動揺してるってなんだよ。
友人として好きか、とか、ただの…そういう話だろ。
「…」
名前が黙ってる間にまたこのイライラした気持ちがぶり返してくる。
体が熱くなって、心臓が大袈裟に脈打ち、気管支を圧迫されるような。
名前を見るといつからかこうだ。
いつから…
「最初に名前が個性教えてあげたの…かっちゃんだって言ってたもんな」
ーーーーかっちゃん絶対内緒だよ!
デクの言葉で、あの時の…名前の笑顔を思い出した。
そうだ。
あの時からだ。
名前を見ると胸の辺りが苦しくて、息がしにくくて。
名前がデクにも自分の秘密を教えたって聞いて、腹が煮え繰り返りそうだった。
それからデクにもイライラするようになった。
名前がデクを庇う姿を見て、俺が殴られたみたいに胸が痛んだ。
名前が雄英受験するって聞いて、もう俺たちだけの秘密は、俺たちだけのものじゃなくなるのだと思ったら無性にイライラした。
だから、
「…、かっちゃんのこと…今でも好きだよ」
名前のどんな言葉でも、俺は簡単に息ができなくなる。
だが、自分のこの想いに名前をつけるのは…
あまりに遅すぎた。
「でもね、でもねデク。俺、もう前に進めると思うんだ。いつまでも小さい頃のままじゃいられないだろ?」
「名前…」
布が擦れる音がして、なんとなくデクの野郎が動いたのがわかった。
「…名前。僕、ヒーローになるよ。その個性を狙う敵からも名前を守ってみせるよ。だから…」
その続きを、言うな。
「名前が、ずっとそばで…僕を守って?」
それは、ずっと、俺がアイツに伝えたかったことだったのに…。
今更気づいた後悔と、名前が嬉しそうに笑う声に全てを理解して、絶望感が目の前に重くのしかかった。
だが俺は爪が手のひらに食い込むほど、握り込むことしかできなかった。
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