『厳冬の朝の手紙』


拝啓
冬の寒さが厳しく、春がとても遠く思える季節になりました。いかがお過ごしですか？
今日は電車で、出会った頃のあなたによく似た男子高校生を見かけました。初めは、独り寒そうに身を縮めて電車に乗っていた。けれど、次の駅で友人が乗ってきて、ぱっと花咲いたような明るい声をかけていました。不器用に笑いながら、高校生らしい粗雑な言葉で。昨日のテレビ、今日提出の宿題、テストの話、なんでもない話を語らう、そんな時間があなたにもあったのでしょうね。
さて、そろそろ会社に着くのでここで筆を置きます。
風邪など引かないように、暖かくして過ごしてくださいね。
敬具

/厳冬の朝の手紙