夏模様
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夏は暑い。
それは当たり前のことではあるのだが、
隣で寝ころんでいるシオンにとっては、かなり大きな問題であるらしい。
「うっとおしいから、隣で唸るな。うるさい」
「ロー船長は暑くないんですか?」
「隣で唸ってる奴がいたら、こっちまで暑くなるだろうが」
シオンが気温の変化に弱いのは知っている。
が、この暑いのに拍車をかけるような言動をされてはこっちまでより暑い気分になってしまう。
「そんなに暑けりゃ水浴びでもしてこればいいだろうが」
「……してきましたけど、効果は一瞬です」
「夕方過ぎれば涼しくなる。それまで我慢しとけ」
「……我慢できてたら唸ってません」
「食堂に行って氷でも貰ってこい」
「……暑くて動けません」
ここまでへばっている姿を見るとどうにかしてやりたいと思うのだが、
暑さを和らげる手段なんてたかがしれている。
いつもはテンポよく返ってくる返事がワンテンポ遅れる様子からも、
シオンのへばり具合がわかると言うものだ。
「お前本当に暑さに弱いな」
「……寒さにも弱いですが何か?」
減らず口が健在なのはまだ余力が残っている証拠だ。
それでも、シオンに動く気配は全くない。
「何か飲みたいものはあるか?」
「……冷たいものがいいです」
床の冷たい面を求めてころころと転がっては場所を変えて
何とか涼もうとするシオンの様子を見るに見かねて、
気づけばローはシオンにそう問いかけていた。
氷と冷たい飲み物でもあれば、暑さも少しは和らぐだろう。
そう思いながら、ローは食堂へと足を向けたのだった。
14.7.19 tarot