お酒と笑いとふわもこと
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「これ着たらあったかいですよ?」
特製ペボちゃん着ぐるみセットを掲げたまま、
何でキャスケットさんが着ようとしないのか分からずシオンは首を傾げた。
「早くこれ着てください。寒いから余計に顔色が悪くなるんですよ」
そう言いながら、キャスケットさんへ着ぐるみをずずいと押し付ける。
その様子を何故かロー船長とペンギンさんが可哀想なモノを見る目で見てきたが、
シオンにとって、今の優先事項は目の前で顔色を悪くしているキャスケットさんだ。
「別に寒いわけじゃ」
「大丈夫です。ふわふわもこもこ加減にはこだわってますから」
「いや、だから」
「シオン、そのぐらいにしといてやれ」
「……?」
「あまりにもキャスケットが不憫だ」
「だから、とりあえずこっちに来い」と言われ、
シオンは着ぐるみを抱えてロー船長の元へ駆け寄ろうとした。
ら。
ぐるりと視界が回って、目の前いっぱいに着ぐるみの白い毛並みが飛び込んできた。
「まったく、本当に厄介な酔い方だな」
そう憎まれ口を叩かれたが、ロー船長が腕を掴んでくれたおかげで
床に到達する前に何とかシオンの体は止まった。
「ん~ふわふわもこもこ」
ぎゅっと着ぐるみを抱きかかえ、夢見心地でシオンはそう呟く。
「他に言うことはないのか、シオン?」
「んーふわもこ?」
「こりゃだめだ」
何やら酷い言葉とともに、シオンの体はロー船長からベポちゃんへとやや乱雑に放り投げられ、
慌てながらも慣れた手つきのベポちゃんに受け止められる。
「ベポ、シオンを部屋に放り込んでこい」
「あ、うん。わかった!」
戸惑いつつも元気に返事をしたベポちゃんに抱えられてシオンはその場を後にすることになり、
突発的に始まった酒盛り騒動はあっけなく幕を閉じたのだった。
「シャチ=キャスケット」で、そのまま行きます。悪しからず。
13.10.26 tarot