お酒と笑いとふわもこと
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「あっ、ローせんちょ」
ふわふわと揺らぐ視界に捉えた人物の名を呼ぶと、
なぜか自分の口調がとても拙くなっていた。 どうしてだろう? と思うも、
頭が霞がかったようにぼんやりとして応えがなかなか出てこない。
シオンが首を傾げていると、ロー船長は傍にいた2人に鋭い視線を向けていた。
「……ペンギン、キャスケット」
「あーその、シオンが呑んだことなかいっていうから」
「一応俺は止めたんだが、キャスケットがどうしてもと勧めてな」
手に酒瓶をしっかり持っているにも関わらず、ペンギンさんはしれっとそう応えた。
「おいペンギン!お前も案外ノってただろうが」
「知らん」
「……キャスケット」
ロー船長はより鋭い眼孔でキャスケットさんを射抜き、射抜かれた本人はさらに焦り出す。
「いや、誤解だって!そもそもシオンが」
落ち着いているペンギンさんとは対照的に、
ロー船長に呼ばれて焦るキャスケットさんが面白くて、シオンはケタケタと笑った。
「シオン、お前もその位にしとけ」
キャスケットさんに向いていた視線がいきなりこちらに向いたかと思うと、
そう言われて手から瓶を取り上げられた。
「ローせんちょ、ひどっ」
「あぁ?」
ロー船長に睨まれても、今日はなぜか全然怖く感じない。
ので、止められたにもかかわらず取り上げられた瓶を背伸びをして取り返そうと試みる。
しかし、視界が揺れているからか足元がふわふわとして覚束ずに転びそうになった。
「シオン、危ないよ」
倒れそうなところでふわもこなベポちゃんの前足に支えられ、
ふわふわな前足に顔をうずめるという幸せな図式にシオンのテンションが一気に上昇する。
「ベポちゃん、かわいい!」
嬉しくなったシオンは、ベポちゃんに抱きついてまたケタケタと笑い声を上げた。
ぶっちゃけ自分でも何が楽しいのか甚だ疑問だが、笑いたい気分なのだから致し方ない。
「ベポもシオンを甘やかしすぎだ。振り払え」
「だってキャプテン、シオン何だか具合が悪そう」
「ただ酔ってるだけだろうが」
そんなシオンの様子にロー船長が呆れる横で、
ペンギンさんとキャスケットさんはしたり顔で頷いていたのだった。
13.5.11 tarot