暇つぶし
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平穏な日常。
それは、本当ならば喜ばしいことだと思う。
でも、その日常が続けばー
どうしても暇と感じてしまう時は来てしまうのだ。
「ロー船長」
「あぁ?」
「暇です」
船長室に飛び込んで、シオンは神妙な顔でそう呟いた。
「ベポとでも戯れてくればいいだろうが」
「今ベポちゃんは気持ちよさそうにお昼寝中なんです。
そんな可愛らしいベポちゃんを起こせると思いますか?」
「知るかよ」
こちらが話しかけているというのに、一向にロー船長は顔を上げようとしない。
いつものことではあるのだが、シオンにとって面白くないことに変わりはない。
「とにかく、私は今非常に暇なんです。なので、暇つぶしの手伝いをして下さい」
「んなこたぁ、ペンギンかキャスケットにでも頼んで来い」
「二人とも何やらお話中だったので声をかけられなかったんです」
「ちっ使えねぇ奴らだな」
「今一番暇そうなのがロー船長だったので、一緒に暇つぶしでもしませんかっていうお誘いなんですけど」
「どうだ」といわんばかりにシオンは言い切った。
人の部屋に押し掛けてまで、暇つぶしの手伝いを請うほど暇なのだとアピールしてみる。
「……今、俺は本を読んでいるように見えないか?」
「見えないこともないです」
確かに今目の前に座るロー船長の手元には、分厚い書物がある、ように見える。
「そういう訳で俺も忙しいんだ。暇なら何かしら雑用でも見つけて片づけてこい」
「あらかたもう終わってますよ。ということで、雑用すら今ないんです」
何でこういう時に限って、と思うほど本当に何もなかったのだ。
じっとロー船長に「暇だ」的な視線を送り続けていたら、
相変わらず顔は上げられないものの、譲歩の言葉が紡がれた。
「……本でも貸してやるから読んでろ」
「いいんですか?」
差し出された助け船。
弾けるように問い返せば、ロー船長の腕がすぐ傍の空間に向けてのばされた。
「あぁ。その辺の本棚から適当に持ってけ」
「わーい、ありがとうございます」
遠慮なく本棚に飛びつき、シオンは目星い物品を探しにかかった。
2週間に1話更新企画第1弾。
12.6.9 tarot