失態
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ロー達が街でシオンを探し始めた頃。
で、どうして私はこういう状況に陥ってるんだろう…。
シオンは薄暗い場所で1人、ぽつんと座りながら小さくため息をついた。
近づいてくる足音に気づいて視線をそちらへと向ければ、
さほど経たずして、足音の主はシオンの前に姿を現した。
物騒な刃物をちらつかせる男が1人、その後ろに控えて銃を構えている男が1人。
いくら薄暗くたって、息がかかるくらいに近づかれたら嫌でも顔が見えてしまう。
図々しくも人の顎に手をかけて、顔を上げさせていればなおさらだ。
「……何か?」
それ以上近づくなという警告を込めて、シオンは淡々と問う。
「トラファルガーの奴も物好きだよな。こんな女のどこがいいんだか」
「ロー船長が物好きなのは否定しませんけど、さり気なく人のことまで馬鹿にしないでくれます?」
顎にかけられた手を振り払い、シオンは男を睨み上げた。
けれど男の表情が不機嫌に歪むのを見て、目を逸らして口をつぐむ。
すぐに勢いを失ったシオンを、男は「案外大人しいな」と言って馬鹿にするように鼻で笑った。
「両手が縛られていなければ、大人しく引き下がったりしないわ!」
と、心の中のみで喚く。
口に出してしまいたかったが、シオンは手の平に爪を食い込ませることで堪えた。
ほんのわずかの間ベポちゃん達と離れただけだというのに、気がつけばこの有様だ。
色々と後悔の念が渦巻くが、今はそんなことを考えている場合ではない。
散漫する思考をまとめるため、爪が皮膚に食い込む痛みに集中した。
そして、これからどう動くか、その一点に全ての思考を傾ける。
トラファルガーという名前が出されたということは、明らかに狙いはローだ。
ということは、この人たちは賞金稼ぎか同業者。
ロー船長の首にかかる懸賞金を狙っているのか、もしくは名を上げるための踏み台にしようと思っているのか。
どちらにせよ、面倒な相手なのには変わりない。
人質を取るというかまぁそんな感じの手段を使っていることから、
ローよりは実力は下と推測できるのがまだ救いがあるといったところか。
けれどそれは逆に、さほどでもない輩に私は捕まったということになる。
そこから導き出される結論はー
一通り思考を巡らせ終わったシオンは、現実に意識を戻した。
結論。
ロー船長に今の状況がバレる前にこの場を切り抜けなければならない。
でなければ
ロー船長に殺られてしまう!
辿り着いてしまった恐ろしい結論に、シオンは背筋を凍りつかせた。
10.5.8 tarot