失態
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「つまらねぇな」
補給目的で寄港した島で、ローはそう呟いた。
特に目立って何が有名だというものもなく、街を散策するのにもすぐに飽きた。
早々に船へ引き上げるかと思った時、ローは違和感を感じて足を止めた。
「キャプテン、どうしたの?」
ベポの問いには答えずにゆっくりと辺りを見回し、違和感の原因を探る。
特に気になる様子はない。が、どこか物足りないのは単なる気のせいなのか。
「キャプテン?」
ベポが小首を傾げ、心配そうな瞳を向ける。
そこには、いつもならベポにしがみついている姿がなかった。
最近はベポの付属品と化しているシオンが、所定の位置にいない。
ただそれだけと言えばそれまでだが、何故か今はそのことが気になって仕方なかった。
「ベポ、シオンの奴はどうした?」
「あれ?さっきまでは一緒にいたと思ったけど……」
「そういえばさっき、目を輝かせてどこかに走っていったな」
困惑するベポの横で、ペンギンがぽつりと呟く。
「どこかってのは?」
「さぁな。また甘味にでもつられたんじゃないか?」
「……また、か」
確かに、ペンギンの言う通りシオンは急にいなくなったと思ったら、
両手に甘そうな菓子を抱えて戻ってくるなんてことがままある。
というか、上陸したら大抵そうなる。
だから急にいなくなること事態は奇妙なことではないのだが……。
「どうかしたのか、ロー?」
黙り込んだのを不審に思ったのか、ペンギンから声がかかる。
頭を振って鬱陶しい思考を振り払い、否と応えた。
多分ペンギンの言うとおり、甘いものを買いに走っているだけだろう。
「船に戻るぞ」
くすぶる違和感をねじ伏せ、ローはそう言って踵を返した。
けれど、
「シオン、どこ行っちゃったんだろう……」
ベポがそう言って後ろを振り向いたりするものだから、くすぶっていた違和感が頭をもたげて足が止まる。
「さほど大きな街でもない。探すのに時間はかからないんじゃないか?」
逡巡する思考を止めたのはペンギンの一声。
確かに、探そうと思えばそう難しい条件ではない。
このまま船に戻ったところで退屈なのに変わりはないし、何より気になって落ち着くこともできないだろう。
ならいっそのこと、暇つぶしついでにシオンを探した方が賢明な気がする。
「……探しに行くか」
重いため息とともにそうこぼせば、ハイハイとベポが手を高く挙げた。
どうやら同行する気があるらしい。
別にこの島では、ログが溜まるのを待つ必要はない。
なら、さっさと用を済ませるに限る。
「ペンギン、出航準備を頼めるか?」
「あぁ」
ペンギンに任せておけば、とりあえず船のことは問題ないだろう。
「行くぞ、ベポ」
「アイアイ、キャプテン!」
普通に買い物に走っているだけだろう。
そう思いながらも、ローは未だにくすぶっている違和感が悪い方向へ転がる気がしてならなかった。
10.4.18 tarot