短編
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「ラチェット、ぎゅーってして。むしろさせて、だから手ぇ貸して無理なら足にしがみつかせて」
「待て待て、落ち着け。いったいどうしたんだ」
突然の事に、作業を中断して聞いてきたラチェット。いつもこんな事を言わない自分に、どうやら困惑気味らしい。
「……疲れた」
その一言で全てを察したのか分からないが、どこから取り出したのかブランケットを放り寄越してきた。
「もう少しで一区切りつくから、それまでそれで我慢してくれ」
ブランケットの匂いが、ラチェットが変形する救急車の中の匂いと同じで、これがラチェットの中にあった物だと確信する。
ぎゅっ、と抱え込みながら、子供達が居ないソファに寝転がり、ラチェットを背もたれ越しに見やる。
じー、と言う効果音でも言おうかと思うぐらい見ていたが、ラチェットの匂いがするブランケットを抱え込んでるせいなのか、普段からの疲れのせいなのか、眠くなってきた。
構って欲しいと思う反面、構われると反応に困るからちょっと面倒で……なんだこれ猫か←
「ナー」
投げやり気味に鳴いてみた←
たぶん、ラチェットが拾えないくらいの声だが。
「にゃーん」
今度はラチェットが聞こえるはずの声で、やっぱり投げやり気味に鳴いてみた。
ここまでくると、自分が良くする(←)本物の猫が反応するレベルのをやらねばと思い始め、ラチェットの背中に向かって一鳴き。
「ニャァーン」
途端、バッとこちらに振り返り、周囲を確認したラチェットが、ソファからたぶんおそらく面白そうに笑っているのだろう自分に目を向けた。
「……基地に猫でも連れ込んだのか」
咎めるような、面倒そうな視線に答えるように鳴いてみせれば、ラチェットが驚いたように目を丸くし、それからため息が如く排気した。
「君が猫だったのか」
ニャウニャウ言えば、せめて人間が使う言語で話してくれ、と言われて、でもやっぱりニャァーンと返事を返す。
「構って欲しいのは分かったから、もう少し大人しくしててくれ。区切りがつかないと、君を構ってやれないんだぞ」
呆れたように言うラチェットに、んー、とブランケットを抱き込みソファに横になりながら返すと、不意に頭上に影が差した。
固い物が頭を撫でるような感覚に、咄嗟に手を上げて捕まえようとしたが、離れるのが先だった。
「全く、本当に猫みたいな行動をしなくていい」
ラチェットの指を捕まえ損なった手を、ブランケットを抱え込む為に戻して、たぶんちょっとだけむくれてみれば、ラチェットが小さく優しく笑みをこぼした。
「もう少しだけだ。それまで、“イイコ”をしててくれ」
そう言われながら撫でられたら、“イイコ”をしてるしかなくなるから困る。
ラチェットは、自分より自分を把握してる気がする。
いや、それともこれが、“惚れた弱味”と言うやつか?
END
2020/03/15/Sun
「待て待て、落ち着け。いったいどうしたんだ」
突然の事に、作業を中断して聞いてきたラチェット。いつもこんな事を言わない自分に、どうやら困惑気味らしい。
「……疲れた」
その一言で全てを察したのか分からないが、どこから取り出したのかブランケットを放り寄越してきた。
「もう少しで一区切りつくから、それまでそれで我慢してくれ」
ブランケットの匂いが、ラチェットが変形する救急車の中の匂いと同じで、これがラチェットの中にあった物だと確信する。
ぎゅっ、と抱え込みながら、子供達が居ないソファに寝転がり、ラチェットを背もたれ越しに見やる。
じー、と言う効果音でも言おうかと思うぐらい見ていたが、ラチェットの匂いがするブランケットを抱え込んでるせいなのか、普段からの疲れのせいなのか、眠くなってきた。
構って欲しいと思う反面、構われると反応に困るからちょっと面倒で……なんだこれ猫か←
「ナー」
投げやり気味に鳴いてみた←
たぶん、ラチェットが拾えないくらいの声だが。
「にゃーん」
今度はラチェットが聞こえるはずの声で、やっぱり投げやり気味に鳴いてみた。
ここまでくると、自分が良くする(←)本物の猫が反応するレベルのをやらねばと思い始め、ラチェットの背中に向かって一鳴き。
「ニャァーン」
途端、バッとこちらに振り返り、周囲を確認したラチェットが、ソファからたぶんおそらく面白そうに笑っているのだろう自分に目を向けた。
「……基地に猫でも連れ込んだのか」
咎めるような、面倒そうな視線に答えるように鳴いてみせれば、ラチェットが驚いたように目を丸くし、それからため息が如く排気した。
「君が猫だったのか」
ニャウニャウ言えば、せめて人間が使う言語で話してくれ、と言われて、でもやっぱりニャァーンと返事を返す。
「構って欲しいのは分かったから、もう少し大人しくしててくれ。区切りがつかないと、君を構ってやれないんだぞ」
呆れたように言うラチェットに、んー、とブランケットを抱き込みソファに横になりながら返すと、不意に頭上に影が差した。
固い物が頭を撫でるような感覚に、咄嗟に手を上げて捕まえようとしたが、離れるのが先だった。
「全く、本当に猫みたいな行動をしなくていい」
ラチェットの指を捕まえ損なった手を、ブランケットを抱え込む為に戻して、たぶんちょっとだけむくれてみれば、ラチェットが小さく優しく笑みをこぼした。
「もう少しだけだ。それまで、“イイコ”をしててくれ」
そう言われながら撫でられたら、“イイコ”をしてるしかなくなるから困る。
ラチェットは、自分より自分を把握してる気がする。
いや、それともこれが、“惚れた弱味”と言うやつか?
END
2020/03/15/Sun
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