誰かよりもあなたと
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~誰かよりもあなたと~
国が違えど、同じイベントはあるもので。
いやむしろ、輸入されたものなんだけどな。
そう、今日はバレンタインデー。
そんな日に何故私がスコットランドヤードにいるのかというと、財布の落とし物を拾ったからだ。
断じて何かをやらかした訳でもなければ、冤罪でしょっぴかれた訳でもない。
受付で拾得物の書類を書いていると、知っている声に呼ばれて顔を上げた。
「シオンじゃないか!今日はどうした?」
「グロスキー警部。見ての通り、財布を拾ったのでその書類を書いていたところですよ」
そう言って書き上げた書類を受付の人に渡すと、グロスキー警部に帽子ごとわしゃわしゃと頭を撫でられた。
「シオンは、いつも律義で真面目で偉いな!」
がははは!と笑うグロスキー警部によって、ぐっしゃぐしゃになった髪を手櫛で梳かす。
子ども扱いされるのはちょっと不本意だが、まだ未成年だし致し方なしと受け入れている……のだが、もう少し力加減を考えてほしい。
「シオンぐらいだぞ、こうやって落し物を届けてくるのは」
「そうなんですか」
「ええ、そうですね。落し物を届けられるのは、あなたぐらいですよ。我々イギリス人には、そういった習慣がないので」
「えっ!そうなんですか…?!」
受付の警官まで話に加わって言われた言葉に、私は驚いて目を見開いた。
そんな反応をしたのが面白かったのか、警官はクスリと笑みを浮かべる。
「はい。ただ、こうして届けていただいても構いませんからね」
「なんだ。シオンでも知らない事があったのか」
「……私は、イギリス人ではないですからね」
グロスキー警部の言葉に、私はちょっと呆れながら返した。
とはいえ、こっちに来てから一年は経つし、その間に何度か落し物を届けに来ているのに誰も言ってくれなかったのはどういうことなのか。
まさか、陰で笑って面白がっていたとか……?!←
そんな事を考えていたら、グロスキー警部がおっと、そうだ!と何か思い出したように声を上げた。
「シオン、ちょっと来てくれ。お前宛の荷物を預かってるんだ」
「えっ?」
そういうやいなや、グロスキー警部は私の返答も聞かずに手を掴んで部屋まで強制連行した。
解せぬ。
そもそも、なんで私宛の荷物を警部が預かっているんだ。
というか、それは本当に私宛の物なのか?
疑問がぐるぐると頭の中を駆け巡る中、『怪人ゴッド』の時に何度か訪れたグロスキー警部の部屋に着いた。
書類が少し山積みになってるが、事務仕事のイメージがない為スルーだ←
「ほらよ。シオン宛の荷物だ」
そう言ってグロスキー警部が机の下から取り出したのは、大きめの紙袋。
紙袋の口からは、赤いバラのような花びらが顔をのぞかせている。
そんな大層なものを貰う義理も身に覚えが無い為、ちょっと怖いんだが。
「……グロスキー警部、身に覚えがないのですが」
「ああ。まあ、それもそうだな」
少し困ったように頬を掻くグロスキー警部。
むしろ、これを貰うこっちも困るんだが。
花以外に何が入ってるのさ。
「これは全部、“黒の紳士”宛だ」
ワッツ?
今なんと?
「黒の……紳士、ですか?」
「ああ。署内じゃ“黒の紳士”と呼ばれて人気者だぞ、シオンは」
「ええっ?!」
良い笑顔でそう言った警部に、私は二度目の驚きで声を上げた。
耳初なんですけど?!?!
というか、『歌姫』事件の時にアニーさんが言ってた“黒の紳士”ってここが出所だったの?!
服装がいつも黒系統だからか?
そもそも紳士じゃねえよおいいいい!!!
「レイトンと違って、お前はどこの誰とも知られて無いからな。会うことがあったら渡してほしいって来たんだ」
「……いや……まあ、確かに名乗ったりとかはしてませんけど。どうしてこんなにたくさん……」
ほら、とぐいぐい押し付けられる為、渋々紙袋を受け取りながら聞くと、変な事を言うな?と言わんばかりの顔をしてグロスキー警部が口を開く。
「全部、お礼の品だぞ?まあ、バレンタインにかこつけていなくはないだろうが」
「お礼の品?犯人達からのいやがらせではなく?」
「アホなことを言うな!全部、れっきとしたロンドン市民からのお礼の品だ!」
何故か胸を張ってそう言われたが、いまいち実感が湧かない。
まだ犯人達からの新手のいがらせの方が納得いく←
国が違えど、同じイベントはあるもので。
いやむしろ、輸入されたものなんだけどな。
そう、今日はバレンタインデー。
そんな日に何故私がスコットランドヤードにいるのかというと、財布の落とし物を拾ったからだ。
断じて何かをやらかした訳でもなければ、冤罪でしょっぴかれた訳でもない。
受付で拾得物の書類を書いていると、知っている声に呼ばれて顔を上げた。
「シオンじゃないか!今日はどうした?」
「グロスキー警部。見ての通り、財布を拾ったのでその書類を書いていたところですよ」
そう言って書き上げた書類を受付の人に渡すと、グロスキー警部に帽子ごとわしゃわしゃと頭を撫でられた。
「シオンは、いつも律義で真面目で偉いな!」
がははは!と笑うグロスキー警部によって、ぐっしゃぐしゃになった髪を手櫛で梳かす。
子ども扱いされるのはちょっと不本意だが、まだ未成年だし致し方なしと受け入れている……のだが、もう少し力加減を考えてほしい。
「シオンぐらいだぞ、こうやって落し物を届けてくるのは」
「そうなんですか」
「ええ、そうですね。落し物を届けられるのは、あなたぐらいですよ。我々イギリス人には、そういった習慣がないので」
「えっ!そうなんですか…?!」
受付の警官まで話に加わって言われた言葉に、私は驚いて目を見開いた。
そんな反応をしたのが面白かったのか、警官はクスリと笑みを浮かべる。
「はい。ただ、こうして届けていただいても構いませんからね」
「なんだ。シオンでも知らない事があったのか」
「……私は、イギリス人ではないですからね」
グロスキー警部の言葉に、私はちょっと呆れながら返した。
とはいえ、こっちに来てから一年は経つし、その間に何度か落し物を届けに来ているのに誰も言ってくれなかったのはどういうことなのか。
まさか、陰で笑って面白がっていたとか……?!←
そんな事を考えていたら、グロスキー警部がおっと、そうだ!と何か思い出したように声を上げた。
「シオン、ちょっと来てくれ。お前宛の荷物を預かってるんだ」
「えっ?」
そういうやいなや、グロスキー警部は私の返答も聞かずに手を掴んで部屋まで強制連行した。
解せぬ。
そもそも、なんで私宛の荷物を警部が預かっているんだ。
というか、それは本当に私宛の物なのか?
疑問がぐるぐると頭の中を駆け巡る中、『怪人ゴッド』の時に何度か訪れたグロスキー警部の部屋に着いた。
書類が少し山積みになってるが、事務仕事のイメージがない為スルーだ←
「ほらよ。シオン宛の荷物だ」
そう言ってグロスキー警部が机の下から取り出したのは、大きめの紙袋。
紙袋の口からは、赤いバラのような花びらが顔をのぞかせている。
そんな大層なものを貰う義理も身に覚えが無い為、ちょっと怖いんだが。
「……グロスキー警部、身に覚えがないのですが」
「ああ。まあ、それもそうだな」
少し困ったように頬を掻くグロスキー警部。
むしろ、これを貰うこっちも困るんだが。
花以外に何が入ってるのさ。
「これは全部、“黒の紳士”宛だ」
ワッツ?
今なんと?
「黒の……紳士、ですか?」
「ああ。署内じゃ“黒の紳士”と呼ばれて人気者だぞ、シオンは」
「ええっ?!」
良い笑顔でそう言った警部に、私は二度目の驚きで声を上げた。
耳初なんですけど?!?!
というか、『歌姫』事件の時にアニーさんが言ってた“黒の紳士”ってここが出所だったの?!
服装がいつも黒系統だからか?
そもそも紳士じゃねえよおいいいい!!!
「レイトンと違って、お前はどこの誰とも知られて無いからな。会うことがあったら渡してほしいって来たんだ」
「……いや……まあ、確かに名乗ったりとかはしてませんけど。どうしてこんなにたくさん……」
ほら、とぐいぐい押し付けられる為、渋々紙袋を受け取りながら聞くと、変な事を言うな?と言わんばかりの顔をしてグロスキー警部が口を開く。
「全部、お礼の品だぞ?まあ、バレンタインにかこつけていなくはないだろうが」
「お礼の品?犯人達からのいやがらせではなく?」
「アホなことを言うな!全部、れっきとしたロンドン市民からのお礼の品だ!」
何故か胸を張ってそう言われたが、いまいち実感が湧かない。
まだ犯人達からの新手のいがらせの方が納得いく←
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