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「…げ」
なまえはくしゃりと顔を顰めて足を止めた。目の前には担任の講師が廊下を歩いていてバッチリの目が合ってしまった。
「!苗字…!!」
なまえの顔をみた瞬間クワっと目を見開くとこちらへと向きを変えて走り出す
「お前だけだぞ!進路相談出してないの!」
「ちゃんと考えてはいます!」
「じゃあ早く提出しろ!」
鬼ごっこの様に校内を走り回る。さすが体育教師、早すぎて追いつかれそうだ。帰宅部の私の足で勝てるわけがない。
大体進路希望ってまだ2年に上がったばかりなのに早くないか?まあもう1学期も終わってしまうけども!と愚痴りたい所だが早くも追いかけている担任の手が肩に触れそうな距離まで縮められている。
今日は説教コースか…と半ば諦めかけた時、グランドの方からかなり大きな爆発音と悲鳴が上がる。
「なんだ!?」
担任は走っていた足を止めてグランド側の窓へと駆け寄り外を確認する。状況が読めた私は早足にその場から逃げて屋上へと駆け上がる。そう、この元凶の元へと
「…っ類!」
バン、と音を立てて屋上への扉を開ける。そもそもどこの学校も屋上には入れないのだがどこぞの誰かが毎回鍵を変えられるたびにこっそりと合鍵を作っているのだ。いっその事合鍵を作れない鍵にして仕舞えばいいのになんて悪態をつく余裕もなく息切れをしている私をよそ目に、元凶の人物は持参した日傘で日影を作ってにっこり笑って「やあ」と挨拶するのだ、腹立たしいったらありゃしない。
「ここから丁度なまえが見えてね。困ってるようだからショーで使う装置の施策テストも兼ねて…」
「怪我人でも出たらどうするの?」
「そこは大丈夫、これはただドローンで上空からスモークを出してライトアップする装置にただ音楽を流せるように改良したものだから」
にっこりと上機嫌の類に頭を抱えながらため息をつく。ここ最近天馬くん達とショーをやり始めてイキイキとし出したのはいいか根本的な思考回路は変わっていない。いやむしろ悪化した。
これは天馬くんも寧々も大変だろうな…と半ば他人事のように思ってはいたがそもそも私も彼と幼馴染の時点で被害者だったな、とさらに頭を押さえるが昔から類のことが好きでこうやって呆れつつも放ってはおけない私も考えものだ。
「ところでなまえ、どうして追いかけられていたのかい?」
「いやまぁ、進路でちょっとね。提出してないのが私だけだったから」
濁すように言う、これと言って夢がないのだ。昔から類も寧々もやりたい事、好きなことがあるのに私だけいつも宙ぶらりんの状態。
「まぁ、いいんじゃないかい?まだ2年になったばかりだし、これから探せばいいじゃないか」
楽観的に呟く類を横目に本日何回目かのため息を吐く。簡単に言ってくれるな…
「…最悪、見つからなかったら僕が貰ってあげようか?」
「…え?」
ポツリと辛うじて聞き取れるかぐらいの小声で呟く類の方を見る。首筋まで真っ赤になって手元の装置をいじっている類、つられて私もじわじわと体温が上がる。この暑い日差しの中でたらりと首筋に伝うのがくすぐったく感じる。
「え…類?」
「冗談ではないよ…、昔からなまえは特別だから」
目線を合わせない。ジリジリと照りつく太陽と生暖かい風に加えて、ただ過ぎていく時間が互いの体温をさらに上昇させる。
「あ、のさ…類」
乾いてきた喉に固唾を飲んで絞り出した声は少し裏返っていた。恥ずかしい
「うん、」
「今の…ほんと?」
「冗談に聞こえた?」
「…冗談じゃないなら…嬉しいなって、思った」
汗でピッタリと髪が張り付く、気持ち悪いのにそれ以上に気持ちが張り裂けそうでチラリと類の方に視線を向ける。
ぱちりと視線が混じり合う、身体がとろりと溶けるような感覚はきっとこの暑さのせい。そう自分に言い聞かせる。
あつい
「なまえが…好きだよ」
じっと見つめて距離を縮める類の制服の袖を無意識に掴む。ピクリと小さく肩が震えたが拒む理由などない。
「…私も、昔から…類のことが好き」
耐えきれずに目線を外し顔を逸らそうとしたが類の手に顎を掴まれて引き戻される。バクバクと心臓の音が聞こえる。思わずギュッと目を閉じる
「ふふ、知ってる」
顔にかかる吐息にビクッと肩を震わせた後唇に柔らかい感覚。思わずパッと目を開くと目の前にはいたずらっ子のように笑う類。
「〜〜!!」
屋上に2人ひっそりと声にならないなまえの叫びだけが響いた。
なまえはくしゃりと顔を顰めて足を止めた。目の前には担任の講師が廊下を歩いていてバッチリの目が合ってしまった。
「!苗字…!!」
なまえの顔をみた瞬間クワっと目を見開くとこちらへと向きを変えて走り出す
「お前だけだぞ!進路相談出してないの!」
「ちゃんと考えてはいます!」
「じゃあ早く提出しろ!」
鬼ごっこの様に校内を走り回る。さすが体育教師、早すぎて追いつかれそうだ。帰宅部の私の足で勝てるわけがない。
大体進路希望ってまだ2年に上がったばかりなのに早くないか?まあもう1学期も終わってしまうけども!と愚痴りたい所だが早くも追いかけている担任の手が肩に触れそうな距離まで縮められている。
今日は説教コースか…と半ば諦めかけた時、グランドの方からかなり大きな爆発音と悲鳴が上がる。
「なんだ!?」
担任は走っていた足を止めてグランド側の窓へと駆け寄り外を確認する。状況が読めた私は早足にその場から逃げて屋上へと駆け上がる。そう、この元凶の元へと
「…っ類!」
バン、と音を立てて屋上への扉を開ける。そもそもどこの学校も屋上には入れないのだがどこぞの誰かが毎回鍵を変えられるたびにこっそりと合鍵を作っているのだ。いっその事合鍵を作れない鍵にして仕舞えばいいのになんて悪態をつく余裕もなく息切れをしている私をよそ目に、元凶の人物は持参した日傘で日影を作ってにっこり笑って「やあ」と挨拶するのだ、腹立たしいったらありゃしない。
「ここから丁度なまえが見えてね。困ってるようだからショーで使う装置の施策テストも兼ねて…」
「怪我人でも出たらどうするの?」
「そこは大丈夫、これはただドローンで上空からスモークを出してライトアップする装置にただ音楽を流せるように改良したものだから」
にっこりと上機嫌の類に頭を抱えながらため息をつく。ここ最近天馬くん達とショーをやり始めてイキイキとし出したのはいいか根本的な思考回路は変わっていない。いやむしろ悪化した。
これは天馬くんも寧々も大変だろうな…と半ば他人事のように思ってはいたがそもそも私も彼と幼馴染の時点で被害者だったな、とさらに頭を押さえるが昔から類のことが好きでこうやって呆れつつも放ってはおけない私も考えものだ。
「ところでなまえ、どうして追いかけられていたのかい?」
「いやまぁ、進路でちょっとね。提出してないのが私だけだったから」
濁すように言う、これと言って夢がないのだ。昔から類も寧々もやりたい事、好きなことがあるのに私だけいつも宙ぶらりんの状態。
「まぁ、いいんじゃないかい?まだ2年になったばかりだし、これから探せばいいじゃないか」
楽観的に呟く類を横目に本日何回目かのため息を吐く。簡単に言ってくれるな…
「…最悪、見つからなかったら僕が貰ってあげようか?」
「…え?」
ポツリと辛うじて聞き取れるかぐらいの小声で呟く類の方を見る。首筋まで真っ赤になって手元の装置をいじっている類、つられて私もじわじわと体温が上がる。この暑い日差しの中でたらりと首筋に伝うのがくすぐったく感じる。
「え…類?」
「冗談ではないよ…、昔からなまえは特別だから」
目線を合わせない。ジリジリと照りつく太陽と生暖かい風に加えて、ただ過ぎていく時間が互いの体温をさらに上昇させる。
「あ、のさ…類」
乾いてきた喉に固唾を飲んで絞り出した声は少し裏返っていた。恥ずかしい
「うん、」
「今の…ほんと?」
「冗談に聞こえた?」
「…冗談じゃないなら…嬉しいなって、思った」
汗でピッタリと髪が張り付く、気持ち悪いのにそれ以上に気持ちが張り裂けそうでチラリと類の方に視線を向ける。
ぱちりと視線が混じり合う、身体がとろりと溶けるような感覚はきっとこの暑さのせい。そう自分に言い聞かせる。
あつい
「なまえが…好きだよ」
じっと見つめて距離を縮める類の制服の袖を無意識に掴む。ピクリと小さく肩が震えたが拒む理由などない。
「…私も、昔から…類のことが好き」
耐えきれずに目線を外し顔を逸らそうとしたが類の手に顎を掴まれて引き戻される。バクバクと心臓の音が聞こえる。思わずギュッと目を閉じる
「ふふ、知ってる」
顔にかかる吐息にビクッと肩を震わせた後唇に柔らかい感覚。思わずパッと目を開くと目の前にはいたずらっ子のように笑う類。
「〜〜!!」
屋上に2人ひっそりと声にならないなまえの叫びだけが響いた。
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