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この島には古代文字のような文字が書かれた岩や木の板など無数のものが存在している。
研究家からしてみればここは歴とした古代遺跡だろう。勿論日本ではそのような場所を勝手に工事する事は法律で禁止されているが、ここは地図に載っていない忘れられた島。ここの責任者の牙山はそんなことなどお構いなしに工事を進めていた。
「はぁ、予定よりもだいぶ早く終わりそうだな」
牙山は嬉しそうに鼻息荒く笑う、それもそうだ専門家が歴史のある遺物を傷つけないように配慮した工程をお構いなしに工事を進めているのだ。流石に専門家たちもそれには焦り写真だけでもとデータを取っていたがそれは本当に意味のあるものなのだろうかと林野は呆れたようにその現場を見ていた。
データを取ったにせよ、おそらくこの島独自の古代文字であろう遺物を解析できる人間など居るのだろうか、数十年前には人がいたような痕跡があるらしいが果たしてその人たちも本州へ渡ったのか、将又絶滅したのかも分からないのだ。
「早く済むなら私としては構わない事だけども」
「林野教官、牙山教官から特訓場の最終確認の件で召集されてます」
スッと後ろから現れた五条をジロリと睨み腕時計を確認する。もうこんな時間か、とため息を吐いて右手をひらりと振って五条に返事をする。
各シードのレベルに合わせた特訓場を作るとなるとかなりの数を用意しなくてはならない。幸いな事にこの塔はかなり広く、丈夫な為各教官の要望通りの設備を揃えることが可能なのだ。
「それにしても完成してすぐにシードを迎えて指導するなんて…大丈夫なのかしら。」
呆れたようにため息をつく、女1人の意見も通らない会議などあっても意味がない。典型的な昭和の人間だ、仮にも人の子を預かるのにきちんとした保護者説明等もせずに始動するなど杜撰な計画である。
はぁ〜、と重たいため息を肺が空になるまで吐くと会議室へと足速に向かうのだった。
◇◇◇
最初に船がやってきて数ヶ月が経ったある日、工事とは別の船が来航した。
中からは小さい子供とその保護者と見られる大人達がゾロゾロと大人数で上陸した。密林の中からその光景を見つけたアムリタは急いでシュウのいる方角へと向かった。
「シュウ!なんかまた人が来た!!」
「……アムリタ…女の子なんだから服を着なよ」
顔を洗うついでに高い丘から覗いていた為アムリタは肌着のまま朝食当番だったシュウの元へと駆け込んだのだ、昔はそんな細かいことなど注意もしなかったのにここ最近は口うるさく指摘される。「わかってるよ」と悪態をつくように上着を羽織る。
「それよりも!僕たちくらいの歳の子がたくさん来たんだよ!」
「まぁ、おおよそ施設に入る子とその保護者か教官だろうね。外から見ただけでも大体の工事は終わってるみたいだし」
淡々と落ち着いた様子で話すシュウは口を開いて固まっているアムリタなどお構いなしに手際よく朝食の準備をし終えて台の上へ並べた。
「「いただきます」」
パチンと手を合わせて感謝の気持ちを告げる。幼くして母を亡くし、物心ついた時から一緒に過ごしているシュウとの毎日の変わりない生活がじわじわと崩れている事に言葉にならない気持ちが渦巻いている。
そんなアムリタの気持ちをシュウも分かっていてよく夜中などに抜け出してこっそりと塔へと監視に行っていた。
あの謎の団体は何か余程のことが起きない限り退去しないであろうことは既にわかっている。
それならいっそのこと彼らが言う儀式に似た“サッカー”とやらをする為に施設に入ることさえ考えていた。だがそれはかなり過酷な環境で妹のように可愛がっているアムリタを連れてシュウはその中に混じろうとは思わなかった。
それでも刻一刻とシュウとアムリタが一緒にいれる時間は過ぎていく、アムリタが14になる年まであと7年…長く見ても10年も無いのだ。
「アムリタ、…危ない事はしないでよ?」
念を押すように告げる。アムリタのことだ、そうでもしないと塔に駆け込んでいくに違いない。
「シュウを悲しませる事はしないよ」
キョトンと首を傾げ不思議そうに返事をした。
◇◇◇
「白竜、本当にここに入るの?」
20代半ばのおっとりとした女性は心配そうに自身の子供に尋ねた。前を歩く息子はにっこりと振り向いて笑顔に頷く。だが母親はそんな息子とは裏腹に不安がいっぱいであった。
3年ほど前にとある中学校が歴史に残るような試合をし、サッカーブームが到来したと言えるほど皆が夢中になっていた。息子の白竜もそのうちの1人だが、それは度を越え始め学校の価値まで左右するようになり急遽力の均衡を保つ為に立ち上げられた団体“フィフスセクター”の新プロジェクト“ゴッドエデン”に息子が初期メンバーとして抜擢されたのだ。
「今までこういった現地の説明会なんでなかったのに…」
この団体は最低限の保護者説明会を開くだけで謎が多く、子供を預ける親としては不安が多く今回の件は蹴るつもりでいた。だが、シードとして成績を残せれば将来が期待されてるといっても過言ではないと夫と夢を叶えたいと目を輝かせている息子の圧に負けてしまったのだ。
「お母さん、今から塔の中に入るんだって!」
船から降りて塔へと向かって歩いていた一行は塔の前に整列させられると先頭に立っていた今回の説明会の責任者である女性が拡声器を使って流れを説明してくれた。
この説明会は泊まり込みで明日の正午に迎えの船が来てから解散となっている。施設内が広いこともあるが、稼働後すぐに訓練に入れるよう能力テストも済ませておきたいらしい。
チラリと白竜の方に目をやればキラキラと目を輝かせて話を聞いていた。
私の考え過ぎかしら、と息子の顔を見てため息をつく。きっとそうだ、この施設に入ってしまえば施設から本州へ戻ってくる事はかなり厳しくなる。それでも白竜は今年で7歳を迎え新しくこの施設へと介入するのだ。私も寂しいが子離れしなくてはいけないのだろう。長期休みには帰ってこれるのだから、全寮制の学校に入学したと思えばいい。そう自分に言い聞かせた。
「それでは本日の説明会は終了となります。ただいまから各班に分かれてそれぞれの予定の連絡を行います。それではまずA班——」
各指導者から名前を呼ばれる。俺はA班に呼ばれ足速にその場を後にした。
まずは部屋に案内され1時間の休憩とその後に大浴場での入浴、その後入浴が済んだ者から順に食堂で夕食を食べた後に部屋に戻り21時には就寝との事だった。
部屋は10人部屋で親子5組少し窮屈だが子供10人なら余裕のある広さだ。同じ部屋になった子たちもさして歳が変わらない子ばかりで、各々が荷物を置いて一息つくと入浴時間まで時間を潰していた。
「俺琢磨!よろしく!」
「僕は一秋、円堂守みたいなゴールキーパーになりたいんだ」
「俺は白竜、3歳からサッカーやってる」
「俺は隆、豪炎寺修也に憧れてる!」
「俺も俺も!あっ!名前は昴って言うんだ!」
年が近いこともあり好きなサッカーの話であっという間に時間が過ぎた。同じ班ということもありこの5人で入浴と夕食を終えると就寝時間までたっぷり話し込んだ。
能力テストで疲れ切っていたのかいつの間にか寝ていた白竜はふと目を覚ました。保護者たちも寝ていて部屋はすでに薄暗くボーッと辺りを見回してもすやすやと寝息しか聞こえない。トイレに行こうと白竜はそろりと布団から抜け出して音を立てないように部屋から抜け出し静まり返った廊下を歩く。
「…あれ?」
ぴたりと歩いていた足を止めて窓から外を眺める。月明かりに照らされていても周りは木々が生い茂っているだけで何も見えないは筈なのだがチラリと明かりが見えた気がした。まだ寝ぼけているのだろう、と目を擦りまじまじと窓の外を眺めているとちらちらと明かりがゆっくりと海の方へ動いている。
「…誰かいる?」
恐怖よりも好奇心が勝ってしまった白竜はこっそりと施設を抜け出すと明かりが見えた方角へと走り出した。
◇◇◇
「…あ〜、寝れない。」
ざわざわと胸騒ぎがするせいで寝付けない、チラリと隣に寝ていたシュウを見ればすよすよと寝息を立てていた。むくりと起き上がりランタンに火をつけるとそろりと家を抜け出す。
夜風が少し肌寒い、上着を羽織ればよかったなと後悔するが引き戻すのも面倒な為アムリタはそのまま森の中を慣れたように進んだ。
ものの数分で海岸へと抜け出せた。ランタンを置いて海岸から足を出して座る、空は綺麗に晴れて星で輝いていた。
「これからどうなっちゃうんだろう…」
プラプラと両足を揺らし、眠気が来るのを待っていたアムリタはふと気配を感じて後ろを振り向いた。
「うわっ、」
「…え?」
そこに立っていたのは自分達と同じ歳くらいの男の子、アムリタと同じように驚いた顔でこちらを見ていた。
「…もしかして、今日島に来た子?」
「う、うん。君はこの島の子?なの?」
「うん、ずっと住んでる。」
月の光で照らされた少年の赤い瞳をじっと見つめる。好奇心からなのかドキドキと心臓が速くなるのがわかる。無意識に母の形見であるネックレスをぎゅっと掴む。
「ね、ねぇ…名前、なんて言うの?」
アムリタは絞り出すように問う。もう少し話してみたい、一緒にいたい。そんな気持ちが駆け巡る。
「俺は白竜…君は?」
「ぼくはアムリタ」
研究家からしてみればここは歴とした古代遺跡だろう。勿論日本ではそのような場所を勝手に工事する事は法律で禁止されているが、ここは地図に載っていない忘れられた島。ここの責任者の牙山はそんなことなどお構いなしに工事を進めていた。
「はぁ、予定よりもだいぶ早く終わりそうだな」
牙山は嬉しそうに鼻息荒く笑う、それもそうだ専門家が歴史のある遺物を傷つけないように配慮した工程をお構いなしに工事を進めているのだ。流石に専門家たちもそれには焦り写真だけでもとデータを取っていたがそれは本当に意味のあるものなのだろうかと林野は呆れたようにその現場を見ていた。
データを取ったにせよ、おそらくこの島独自の古代文字であろう遺物を解析できる人間など居るのだろうか、数十年前には人がいたような痕跡があるらしいが果たしてその人たちも本州へ渡ったのか、将又絶滅したのかも分からないのだ。
「早く済むなら私としては構わない事だけども」
「林野教官、牙山教官から特訓場の最終確認の件で召集されてます」
スッと後ろから現れた五条をジロリと睨み腕時計を確認する。もうこんな時間か、とため息を吐いて右手をひらりと振って五条に返事をする。
各シードのレベルに合わせた特訓場を作るとなるとかなりの数を用意しなくてはならない。幸いな事にこの塔はかなり広く、丈夫な為各教官の要望通りの設備を揃えることが可能なのだ。
「それにしても完成してすぐにシードを迎えて指導するなんて…大丈夫なのかしら。」
呆れたようにため息をつく、女1人の意見も通らない会議などあっても意味がない。典型的な昭和の人間だ、仮にも人の子を預かるのにきちんとした保護者説明等もせずに始動するなど杜撰な計画である。
はぁ〜、と重たいため息を肺が空になるまで吐くと会議室へと足速に向かうのだった。
◇◇◇
最初に船がやってきて数ヶ月が経ったある日、工事とは別の船が来航した。
中からは小さい子供とその保護者と見られる大人達がゾロゾロと大人数で上陸した。密林の中からその光景を見つけたアムリタは急いでシュウのいる方角へと向かった。
「シュウ!なんかまた人が来た!!」
「……アムリタ…女の子なんだから服を着なよ」
顔を洗うついでに高い丘から覗いていた為アムリタは肌着のまま朝食当番だったシュウの元へと駆け込んだのだ、昔はそんな細かいことなど注意もしなかったのにここ最近は口うるさく指摘される。「わかってるよ」と悪態をつくように上着を羽織る。
「それよりも!僕たちくらいの歳の子がたくさん来たんだよ!」
「まぁ、おおよそ施設に入る子とその保護者か教官だろうね。外から見ただけでも大体の工事は終わってるみたいだし」
淡々と落ち着いた様子で話すシュウは口を開いて固まっているアムリタなどお構いなしに手際よく朝食の準備をし終えて台の上へ並べた。
「「いただきます」」
パチンと手を合わせて感謝の気持ちを告げる。幼くして母を亡くし、物心ついた時から一緒に過ごしているシュウとの毎日の変わりない生活がじわじわと崩れている事に言葉にならない気持ちが渦巻いている。
そんなアムリタの気持ちをシュウも分かっていてよく夜中などに抜け出してこっそりと塔へと監視に行っていた。
あの謎の団体は何か余程のことが起きない限り退去しないであろうことは既にわかっている。
それならいっそのこと彼らが言う儀式に似た“サッカー”とやらをする為に施設に入ることさえ考えていた。だがそれはかなり過酷な環境で妹のように可愛がっているアムリタを連れてシュウはその中に混じろうとは思わなかった。
それでも刻一刻とシュウとアムリタが一緒にいれる時間は過ぎていく、アムリタが14になる年まであと7年…長く見ても10年も無いのだ。
「アムリタ、…危ない事はしないでよ?」
念を押すように告げる。アムリタのことだ、そうでもしないと塔に駆け込んでいくに違いない。
「シュウを悲しませる事はしないよ」
キョトンと首を傾げ不思議そうに返事をした。
◇◇◇
「白竜、本当にここに入るの?」
20代半ばのおっとりとした女性は心配そうに自身の子供に尋ねた。前を歩く息子はにっこりと振り向いて笑顔に頷く。だが母親はそんな息子とは裏腹に不安がいっぱいであった。
3年ほど前にとある中学校が歴史に残るような試合をし、サッカーブームが到来したと言えるほど皆が夢中になっていた。息子の白竜もそのうちの1人だが、それは度を越え始め学校の価値まで左右するようになり急遽力の均衡を保つ為に立ち上げられた団体“フィフスセクター”の新プロジェクト“ゴッドエデン”に息子が初期メンバーとして抜擢されたのだ。
「今までこういった現地の説明会なんでなかったのに…」
この団体は最低限の保護者説明会を開くだけで謎が多く、子供を預ける親としては不安が多く今回の件は蹴るつもりでいた。だが、シードとして成績を残せれば将来が期待されてるといっても過言ではないと夫と夢を叶えたいと目を輝かせている息子の圧に負けてしまったのだ。
「お母さん、今から塔の中に入るんだって!」
船から降りて塔へと向かって歩いていた一行は塔の前に整列させられると先頭に立っていた今回の説明会の責任者である女性が拡声器を使って流れを説明してくれた。
この説明会は泊まり込みで明日の正午に迎えの船が来てから解散となっている。施設内が広いこともあるが、稼働後すぐに訓練に入れるよう能力テストも済ませておきたいらしい。
チラリと白竜の方に目をやればキラキラと目を輝かせて話を聞いていた。
私の考え過ぎかしら、と息子の顔を見てため息をつく。きっとそうだ、この施設に入ってしまえば施設から本州へ戻ってくる事はかなり厳しくなる。それでも白竜は今年で7歳を迎え新しくこの施設へと介入するのだ。私も寂しいが子離れしなくてはいけないのだろう。長期休みには帰ってこれるのだから、全寮制の学校に入学したと思えばいい。そう自分に言い聞かせた。
「それでは本日の説明会は終了となります。ただいまから各班に分かれてそれぞれの予定の連絡を行います。それではまずA班——」
各指導者から名前を呼ばれる。俺はA班に呼ばれ足速にその場を後にした。
まずは部屋に案内され1時間の休憩とその後に大浴場での入浴、その後入浴が済んだ者から順に食堂で夕食を食べた後に部屋に戻り21時には就寝との事だった。
部屋は10人部屋で親子5組少し窮屈だが子供10人なら余裕のある広さだ。同じ部屋になった子たちもさして歳が変わらない子ばかりで、各々が荷物を置いて一息つくと入浴時間まで時間を潰していた。
「俺琢磨!よろしく!」
「僕は一秋、円堂守みたいなゴールキーパーになりたいんだ」
「俺は白竜、3歳からサッカーやってる」
「俺は隆、豪炎寺修也に憧れてる!」
「俺も俺も!あっ!名前は昴って言うんだ!」
年が近いこともあり好きなサッカーの話であっという間に時間が過ぎた。同じ班ということもありこの5人で入浴と夕食を終えると就寝時間までたっぷり話し込んだ。
能力テストで疲れ切っていたのかいつの間にか寝ていた白竜はふと目を覚ました。保護者たちも寝ていて部屋はすでに薄暗くボーッと辺りを見回してもすやすやと寝息しか聞こえない。トイレに行こうと白竜はそろりと布団から抜け出して音を立てないように部屋から抜け出し静まり返った廊下を歩く。
「…あれ?」
ぴたりと歩いていた足を止めて窓から外を眺める。月明かりに照らされていても周りは木々が生い茂っているだけで何も見えないは筈なのだがチラリと明かりが見えた気がした。まだ寝ぼけているのだろう、と目を擦りまじまじと窓の外を眺めているとちらちらと明かりがゆっくりと海の方へ動いている。
「…誰かいる?」
恐怖よりも好奇心が勝ってしまった白竜はこっそりと施設を抜け出すと明かりが見えた方角へと走り出した。
◇◇◇
「…あ〜、寝れない。」
ざわざわと胸騒ぎがするせいで寝付けない、チラリと隣に寝ていたシュウを見ればすよすよと寝息を立てていた。むくりと起き上がりランタンに火をつけるとそろりと家を抜け出す。
夜風が少し肌寒い、上着を羽織ればよかったなと後悔するが引き戻すのも面倒な為アムリタはそのまま森の中を慣れたように進んだ。
ものの数分で海岸へと抜け出せた。ランタンを置いて海岸から足を出して座る、空は綺麗に晴れて星で輝いていた。
「これからどうなっちゃうんだろう…」
プラプラと両足を揺らし、眠気が来るのを待っていたアムリタはふと気配を感じて後ろを振り向いた。
「うわっ、」
「…え?」
そこに立っていたのは自分達と同じ歳くらいの男の子、アムリタと同じように驚いた顔でこちらを見ていた。
「…もしかして、今日島に来た子?」
「う、うん。君はこの島の子?なの?」
「うん、ずっと住んでる。」
月の光で照らされた少年の赤い瞳をじっと見つめる。好奇心からなのかドキドキと心臓が速くなるのがわかる。無意識に母の形見であるネックレスをぎゅっと掴む。
「ね、ねぇ…名前、なんて言うの?」
アムリタは絞り出すように問う。もう少し話してみたい、一緒にいたい。そんな気持ちが駆け巡る。
「俺は白竜…君は?」
「ぼくはアムリタ」
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