8 がんがん
教室に戻ると多数の目線がこちらに向けられる。
そんななかでも山原さんは私に声をかけてくれる。
「波ちゃーん。顔色悪いよ?大丈夫?」
「大丈夫ですよ!!元気です!!!」
「ははは!そりゃ、安心だ!
……今日、一緒に帰らない?」
山原さんはおかしなことを言う。
私は首を傾けながら、
「……?
いつも一緒に帰ってるじゃないですか?」
と聞いた。
すると、
「いや、今日は波ちゃんが一人で帰っちゃいそうだから、念を押しといたの!」
と照れながら言っていた。
優しすぎるよ。山原さんは。
こっちを自然に笑顔にできちゃうんだもん。
チャイムの合図がなった。
次の授業が始まろうとしている。
「じゃっ、また、あとでね!」
山原さんはそう告げて、
自分の席へ戻った。