神威誕生日2025
名前設定
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HBD
「名前ー?」
名前の部屋の扉を当たり前のように開けた神威。
勿論名前の返事なんて待つはずもなく、むしろ呼びかける少し前から扉に手をかけ開け始めてすらいた。
「なによ」
そんな神威の行動など気にもとめず、立ったまま鏡の前で口紅を塗っている名前。
「そんなのしなくても名前は綺麗だよ」
「女って、常にその日の一番で居たいものなの。
特に好きな男の前ではね」
「え〜照れちゃうなぁ」
「やめてよ、本心でもないくせに」
「綺麗ってのは本当」
互いに温度の乗らない言葉でやりとりをする、普段と何一つ変わらない光景。
けれどこの日、たった一つだけ普段と違う出来事があった。
「ねえ名前、今日、俺の誕生日なんだって」
気づいた頃にはドレッサー前にある椅子を占領する神威がいつもの表情を名前へ向ける。
鏡の中で目が合う二人。
夜更け前の空を感じさせるような青いピアスを耳に飾りながら神威を見つめる名前もまた、いつも通りの凛とした表情で神威を見つめている。
「阿伏兎が教えてくれた」
「阿伏兎に教えたのは私」
「祝ってよ」
「おめでとう」
ピアスをつけ終えた名前は薄い紙を咥え余分な口紅を落とすと、鏡の前で向きを変えながら今日の自分を確認する。
普段よりほんの少しだけお洒落したメイク、髪型、服装。
「うん、いい感じ」
不意に容姿を褒める言葉を聞いて、鏡の中で目を大きくする名前。
きっとこのまま部屋を出ても阿伏兎なんかは気づきすらしないだろう微々たる変化も、神威は真っ先に気づいていた。
神威がこんな些細な変化に気づくわけがない、と最初こそ偶々だと思っていた言葉も後に続いた具体的な内容に驚かされていた。
「プレゼントとかないの?」
「どうせすぐ壊すでしょ。
そもそも欲しいものあるの?」
「んー」
「考えるほど無いってことね」
小さな鞄へ口紅を入れる名前の様子を見て神威が立ち上がった。
名前の部屋を出て並びながら歩く二人は、このむさ苦しい環境の中では花のある存在だった。
まさに容姿端麗。
綺麗な顔立ちにスラリとした身体、夜兎特有の肌の白さが魅力を際立たせる若い男女。
「形が残るものをあげるべからず。
昔あなたから学んだ教訓」
「ははっ、随分な言われ様だなぁ」
「どう?思い出してきた?」
「全然」
「でしょうね」
神威が目を伏せる代わりに、ひらりと髪がなびき名前の耳元で隠れている青いピアスが顔を出す。
昔、名前が神威へあげたお守りは渡してから数時間も経たないうちに焼け焦げ灰になっていたり。
丈夫さを重視したブレスレットを渡しても次の日にはちぎれていたり。
いっそ身につけず部屋に置く用で小さな置物を、と渡した時も次の日には何故か真っ二つに割れていたり。
一体どんな贈り物なら渡す側が悲しむことなく神威を喜ばせられるんだろう、と名前なりに今日まで考えていたが、案外、答えは随分と身近に転がっていた。
「そういえばどこか行くの?」
「ええ、あなたと一緒にね」
「俺?聞いてないけど」
大きな扉の片側を開けて神威が先を行くのを促す名前。
二人が歩く廊下は外に出るための扉へと繋がっている。
「お店用意してあるの」
最後の扉を開けると肌を刺激する日差しは隠れ、深い色に包まれた空がきらきらと光る星を散りばめていた。
「美味しいもの、沢山お願いしてあるわよ。
他のみんなも後々来るはずだから私達は先に行きましょ」
「地球のご飯って美味しいんだよね」
この日たまたま地球に居たのも名前にとっては好都合だった。
形としては残らない、けれど思い出としては残るもの。
美味しいご飯を沢山食べて、楽しく一日を過ごせたらそれだけで綺麗な思い出として胸の中に残るはず。
「じゃ、行こっか」
「ええ」
珍しく名前の手を引く神威。
前を歩く神威を柔らかな表情で見守る名前は視線を落とし、歪に絡んだ指先を見て小さく笑みを零した。
「何?」
「ううん。
ねえ神威、誕生日おめでとう」
「それさっきも聞いたよ」
「二度言っちゃいけないなんてルール無いでしょ?」
「まぁ、そうだね、それもそ⋯」
そこで急に歩みを止めた神威は勢いよく名前を振り返った。
「ていうか俺店の場所知らないや」
「⋯ほんと、あなたらしいわね」
25.6.1
「名前ー?」
名前の部屋の扉を当たり前のように開けた神威。
勿論名前の返事なんて待つはずもなく、むしろ呼びかける少し前から扉に手をかけ開け始めてすらいた。
「なによ」
そんな神威の行動など気にもとめず、立ったまま鏡の前で口紅を塗っている名前。
「そんなのしなくても名前は綺麗だよ」
「女って、常にその日の一番で居たいものなの。
特に好きな男の前ではね」
「え〜照れちゃうなぁ」
「やめてよ、本心でもないくせに」
「綺麗ってのは本当」
互いに温度の乗らない言葉でやりとりをする、普段と何一つ変わらない光景。
けれどこの日、たった一つだけ普段と違う出来事があった。
「ねえ名前、今日、俺の誕生日なんだって」
気づいた頃にはドレッサー前にある椅子を占領する神威がいつもの表情を名前へ向ける。
鏡の中で目が合う二人。
夜更け前の空を感じさせるような青いピアスを耳に飾りながら神威を見つめる名前もまた、いつも通りの凛とした表情で神威を見つめている。
「阿伏兎が教えてくれた」
「阿伏兎に教えたのは私」
「祝ってよ」
「おめでとう」
ピアスをつけ終えた名前は薄い紙を咥え余分な口紅を落とすと、鏡の前で向きを変えながら今日の自分を確認する。
普段よりほんの少しだけお洒落したメイク、髪型、服装。
「うん、いい感じ」
不意に容姿を褒める言葉を聞いて、鏡の中で目を大きくする名前。
きっとこのまま部屋を出ても阿伏兎なんかは気づきすらしないだろう微々たる変化も、神威は真っ先に気づいていた。
神威がこんな些細な変化に気づくわけがない、と最初こそ偶々だと思っていた言葉も後に続いた具体的な内容に驚かされていた。
「プレゼントとかないの?」
「どうせすぐ壊すでしょ。
そもそも欲しいものあるの?」
「んー」
「考えるほど無いってことね」
小さな鞄へ口紅を入れる名前の様子を見て神威が立ち上がった。
名前の部屋を出て並びながら歩く二人は、このむさ苦しい環境の中では花のある存在だった。
まさに容姿端麗。
綺麗な顔立ちにスラリとした身体、夜兎特有の肌の白さが魅力を際立たせる若い男女。
「形が残るものをあげるべからず。
昔あなたから学んだ教訓」
「ははっ、随分な言われ様だなぁ」
「どう?思い出してきた?」
「全然」
「でしょうね」
神威が目を伏せる代わりに、ひらりと髪がなびき名前の耳元で隠れている青いピアスが顔を出す。
昔、名前が神威へあげたお守りは渡してから数時間も経たないうちに焼け焦げ灰になっていたり。
丈夫さを重視したブレスレットを渡しても次の日にはちぎれていたり。
いっそ身につけず部屋に置く用で小さな置物を、と渡した時も次の日には何故か真っ二つに割れていたり。
一体どんな贈り物なら渡す側が悲しむことなく神威を喜ばせられるんだろう、と名前なりに今日まで考えていたが、案外、答えは随分と身近に転がっていた。
「そういえばどこか行くの?」
「ええ、あなたと一緒にね」
「俺?聞いてないけど」
大きな扉の片側を開けて神威が先を行くのを促す名前。
二人が歩く廊下は外に出るための扉へと繋がっている。
「お店用意してあるの」
最後の扉を開けると肌を刺激する日差しは隠れ、深い色に包まれた空がきらきらと光る星を散りばめていた。
「美味しいもの、沢山お願いしてあるわよ。
他のみんなも後々来るはずだから私達は先に行きましょ」
「地球のご飯って美味しいんだよね」
この日たまたま地球に居たのも名前にとっては好都合だった。
形としては残らない、けれど思い出としては残るもの。
美味しいご飯を沢山食べて、楽しく一日を過ごせたらそれだけで綺麗な思い出として胸の中に残るはず。
「じゃ、行こっか」
「ええ」
珍しく名前の手を引く神威。
前を歩く神威を柔らかな表情で見守る名前は視線を落とし、歪に絡んだ指先を見て小さく笑みを零した。
「何?」
「ううん。
ねえ神威、誕生日おめでとう」
「それさっきも聞いたよ」
「二度言っちゃいけないなんてルール無いでしょ?」
「まぁ、そうだね、それもそ⋯」
そこで急に歩みを止めた神威は勢いよく名前を振り返った。
「ていうか俺店の場所知らないや」
「⋯ほんと、あなたらしいわね」
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