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名前設定
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主への気持ちが爆発してる坂田さん。
外はすっかり暗くなり神楽は目を擦りながら寝支度をして押入れへと閉じこもってしまった頃。
銀時はデスクに置かれた横長の紙を見つめていた。
その紙には、ハートが散りばめられピンクや赤といったいかにもな配色で〝 すまいる〟と〝 コスプレ祭り〟という二つの単語が並んでいる。
紙を見つめていると思い出すのは今朝の名前。
「銀さん見てくださいこれ」
「あ?⋯あ!?」
普段は万事屋に通いたまにくる仕事の手伝いをしながら、妙の誘いがあれば不定期ですまいるというキャバクラでも仕事をしていた名前は、銀時へと一枚の紙を渡した。
「今日これするらしくて、またお妙さんに呼ばれたので夜行ってきます」
「⋯⋯あ、え?コレすんのお前」
「はい、何するかはお店に来てからのお楽しみだってお妙さんが言ってたのでまだわからないですけど」
すまいるコスプレ祭り。そう記されたチケットのような紙を指さしながら、選べるのかな〜と笑顔を浮かべて想像に胸を膨らませている名前。
一方、若干その表情を歪に釣り上げた銀時は紙と名前を交互に見ながら口角をぴくぴくと震わせていた。不定期ではあるがキャバクラへと赴く名前を普段から特に気にかけていた銀時は、手元にある紙を見ながら嘘だろと頭を抱えた。
気付いた時には既に手遅れで、銀時は名前に好意を抱いていた。新八が冷めた目で呆れるほどには重的に。
ご飯支度をする時にエプロンを身につける姿や、馴染みの店で世間話に笑顔を咲かせる姿や、神楽の無茶振りに付き合わされている姿や、朝起きるとすまいる帰りで居間のソファで横になり小さくなっている姿を見る度に、感情が規制線を突き破り額を壁に打ち付けたくなる衝動に駆られるほどには重的だった。
超絶可愛いという訳でも超絶スタイルがドえろいという訳でもないが、普段の仕草や表情が日を増す事に銀時の心を刺激しては取り返しのつかないところまで到達していた。
一度、熱くしすぎたお茶を飲んだ際に「あちっ」と小さく声を漏らし舌先をちろりと出しながら眉間に皺を寄せた名前を見て、椅子に座っていた銀時は思い切り頭を仰け反らせるとそのまま後ろへ倒れてしまい、それを見た新八にすごい顔をされた事があった。
そんな名前が、コスプレをしている。今。
明らかにチケットであろうその紙を長らく見つめた銀時は、ほんの少しだけでも様子を見たら直ぐに帰ろうと思いすまいるへと向かった。
そして堂々と華やかなソファに座らされていた。
「珍しいですね銀さんがいらっしゃるなんて」
「い、いやァ〜うちの従業員の名前チャンの働きっぷりでも見ようかなァなんて、ハハハハハ」
「名前ちゃん今日大人気なんですよ可愛らしくて、待っててくださいね」
きっと銀さん好きでしょうから。そう言うとどこかへ行ってしまった妙。少しだけつっただろうがァアアア!と心の中で叫びつつも店に入ると一切コスプレのしていない妙に捕まってしまいあれよあれよという間に座らされていた、という事にして名前が来るのを落ち着かない様子で待ち続ける銀時。
辺りを見れば先程の妙以外の人達はみな猫耳やメイド服など各々いかにもといった服装で接客にあたっていた。きっと名前も無難に巫女服とかセーラー服とかそういうのだろうと思っていると
「銀さん来てくれたんですね!これどうですか?似合います?」
目線を向けていない方から脳内で再生できるほど聞きなれた声が聞こえ顔を向けると一瞬脳がフリーズした銀時。
「お注射しますね、とか雰囲気あります?」
下着が見えるんじゃないかというほどの短い丈のスカートを履いたナース姿の名前が笑顔でそこにいた。
「これお妙さんのオススメらしくて!この胸?心臓?のとこに小さなハートマークがあるのすごい可愛くないですか?」
脚が触れるほど近くへ座った名前。ギチギチと音がなりそうなほどのぎこちなさで顔を向けた銀時は、自身を見上げながら胸のマークを指さす名前を見下ろした。
去り際に妙が放った一言の意味を理解して、名前を見て、とりあえず片手で顔を覆うと大きく深呼吸をした。
そうして、ぶるぶると不自然すぎる震え方をする手でグラスを持ち水を一気に流し込んだ。
「へ、へぇ、おおおおお前似合ってんじゃん」
「本当ですか!?良かった!銀さんに見せたかったんですよ!お店に来てくれなかったらそのまま帰ってもいいってお妙さんが言ってたのでそうしようかと思ってたくらいで」
「イヤイヤイヤイヤそれだけはまじで」
まじでやめてくれと思いながら、そのナースとしては有り得ないほど開けている胸元や太腿へぴちっと張り付くスカートを見て、余裕など塵程も残っていない銀時は全身に冷や汗をかいていた。
その格好で帰られたら俺はもう今後の人生檻の中だわと思う銀時は自身の中である意味人生最大の葛藤をしていた。
「今度銀さんお医者さんしません?私患者さんしてみたいなって」
銀時は限界を迎えていたあれやこれやをなんとか落ち着かせ、いつもの服装に戻った名前と一緒に帰っていると名前の放った一言で全部が台無しになり、再び顔を覆うと道端にある自販機へ何度も頭をぶつけた。
「ぎ、銀さん!?」
という名前の呼び掛けも虚しく額からたれる血液を見つめながら、当分ナース物は控えようと心に誓った。
2022.7.14
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外はすっかり暗くなり神楽は目を擦りながら寝支度をして押入れへと閉じこもってしまった頃。
銀時はデスクに置かれた横長の紙を見つめていた。
その紙には、ハートが散りばめられピンクや赤といったいかにもな配色で〝 すまいる〟と〝 コスプレ祭り〟という二つの単語が並んでいる。
紙を見つめていると思い出すのは今朝の名前。
「銀さん見てくださいこれ」
「あ?⋯あ!?」
普段は万事屋に通いたまにくる仕事の手伝いをしながら、妙の誘いがあれば不定期ですまいるというキャバクラでも仕事をしていた名前は、銀時へと一枚の紙を渡した。
「今日これするらしくて、またお妙さんに呼ばれたので夜行ってきます」
「⋯⋯あ、え?コレすんのお前」
「はい、何するかはお店に来てからのお楽しみだってお妙さんが言ってたのでまだわからないですけど」
すまいるコスプレ祭り。そう記されたチケットのような紙を指さしながら、選べるのかな〜と笑顔を浮かべて想像に胸を膨らませている名前。
一方、若干その表情を歪に釣り上げた銀時は紙と名前を交互に見ながら口角をぴくぴくと震わせていた。不定期ではあるがキャバクラへと赴く名前を普段から特に気にかけていた銀時は、手元にある紙を見ながら嘘だろと頭を抱えた。
気付いた時には既に手遅れで、銀時は名前に好意を抱いていた。新八が冷めた目で呆れるほどには重的に。
ご飯支度をする時にエプロンを身につける姿や、馴染みの店で世間話に笑顔を咲かせる姿や、神楽の無茶振りに付き合わされている姿や、朝起きるとすまいる帰りで居間のソファで横になり小さくなっている姿を見る度に、感情が規制線を突き破り額を壁に打ち付けたくなる衝動に駆られるほどには重的だった。
超絶可愛いという訳でも超絶スタイルがドえろいという訳でもないが、普段の仕草や表情が日を増す事に銀時の心を刺激しては取り返しのつかないところまで到達していた。
一度、熱くしすぎたお茶を飲んだ際に「あちっ」と小さく声を漏らし舌先をちろりと出しながら眉間に皺を寄せた名前を見て、椅子に座っていた銀時は思い切り頭を仰け反らせるとそのまま後ろへ倒れてしまい、それを見た新八にすごい顔をされた事があった。
そんな名前が、コスプレをしている。今。
明らかにチケットであろうその紙を長らく見つめた銀時は、ほんの少しだけでも様子を見たら直ぐに帰ろうと思いすまいるへと向かった。
そして堂々と華やかなソファに座らされていた。
「珍しいですね銀さんがいらっしゃるなんて」
「い、いやァ〜うちの従業員の名前チャンの働きっぷりでも見ようかなァなんて、ハハハハハ」
「名前ちゃん今日大人気なんですよ可愛らしくて、待っててくださいね」
きっと銀さん好きでしょうから。そう言うとどこかへ行ってしまった妙。少しだけつっただろうがァアアア!と心の中で叫びつつも店に入ると一切コスプレのしていない妙に捕まってしまいあれよあれよという間に座らされていた、という事にして名前が来るのを落ち着かない様子で待ち続ける銀時。
辺りを見れば先程の妙以外の人達はみな猫耳やメイド服など各々いかにもといった服装で接客にあたっていた。きっと名前も無難に巫女服とかセーラー服とかそういうのだろうと思っていると
「銀さん来てくれたんですね!これどうですか?似合います?」
目線を向けていない方から脳内で再生できるほど聞きなれた声が聞こえ顔を向けると一瞬脳がフリーズした銀時。
「お注射しますね、とか雰囲気あります?」
下着が見えるんじゃないかというほどの短い丈のスカートを履いたナース姿の名前が笑顔でそこにいた。
「これお妙さんのオススメらしくて!この胸?心臓?のとこに小さなハートマークがあるのすごい可愛くないですか?」
脚が触れるほど近くへ座った名前。ギチギチと音がなりそうなほどのぎこちなさで顔を向けた銀時は、自身を見上げながら胸のマークを指さす名前を見下ろした。
去り際に妙が放った一言の意味を理解して、名前を見て、とりあえず片手で顔を覆うと大きく深呼吸をした。
そうして、ぶるぶると不自然すぎる震え方をする手でグラスを持ち水を一気に流し込んだ。
「へ、へぇ、おおおおお前似合ってんじゃん」
「本当ですか!?良かった!銀さんに見せたかったんですよ!お店に来てくれなかったらそのまま帰ってもいいってお妙さんが言ってたのでそうしようかと思ってたくらいで」
「イヤイヤイヤイヤそれだけはまじで」
まじでやめてくれと思いながら、そのナースとしては有り得ないほど開けている胸元や太腿へぴちっと張り付くスカートを見て、余裕など塵程も残っていない銀時は全身に冷や汗をかいていた。
その格好で帰られたら俺はもう今後の人生檻の中だわと思う銀時は自身の中である意味人生最大の葛藤をしていた。
「今度銀さんお医者さんしません?私患者さんしてみたいなって」
銀時は限界を迎えていたあれやこれやをなんとか落ち着かせ、いつもの服装に戻った名前と一緒に帰っていると名前の放った一言で全部が台無しになり、再び顔を覆うと道端にある自販機へ何度も頭をぶつけた。
「ぎ、銀さん!?」
という名前の呼び掛けも虚しく額からたれる血液を見つめながら、当分ナース物は控えようと心に誓った。
2022.7.14
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