大切な
名前設定
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辛から幸へ、の高杉視点
明後日、明後日、と小さく繰り返していた名前も気付けば小さな寝息を繰り返すようになっていた。
不健康にさえ見えてしまう白い頬。
起こさないよう腰に回していた腕を上げ指の背で頬に触れれば、滑らかな肌越しに少しひんやりとした熱を感じる。
きっとだいぶ無理をしていたのだろう。名前が帰ってきた時に浮かべていた表情を思い返し、今一度腰へ腕を回し隙間を埋めるよう名前の身体を軽く引き寄せた。
今思えば、最近は特に連絡を取り合うことも無かったように感じる。
名前は連絡を強制するタイプじゃない。むしろ俺から送ったりしない限り殆ど連絡が来ることもない。
だからといって別に冷めてる訳じゃなく、付き合う前から「男性との付き合いが苦手で⋯」と話していたし、普段の名前を思えば連絡が薄くなろうとそれが普通だと思っていた。
ごく稀に名前の方から「これ面白かったです」と感想を添えて映画や本を勧めてくる時があるくらいで、基本はそういった事も殆どない。
最後に外食した時も普段と変わらない様子で美味そうに鍋をつついてたし、俺も俺で休みをまとめて取るため少し仕事を詰めてた事もあって、名前なら大丈夫だろうと勝手に思い込んでいた。
驚かせるつもりで今日来ることは事前に連絡していなかった。
いざ仕事を終え名前の部屋へ来てみれば結構遅い時間にも関わらず明かりが点いておらず、部屋に来ると台所にはグラスと小さなフライパンが置かれたまま。
机の上には蓋が開いたままの小さな弁当箱と、チラシである程度まとめられてはいるが包まれず放置されている割れたグラスが置かれていた。
どこを見ても普段の名前からは想像すらつかないものばかり。
勝手に悪いとは思いつつも冷蔵庫を開けてみれば、人一人これだけで足りるのか?というくらいの食材だけが整頓されている。
生憎スーパーの営業時間はとうに過ぎていた。
時間も遅かったため晩飯は済ませてるとばかり思っていたから来る途中買い物をしなかったが、名前がまだ帰ってきていないならなにかしらあるもので作ろうと思った。
食材は明日買い足せばいいか、と冷蔵庫にあるもので飯を作りながら割れたグラスを片付けたりしていると静かに玄関の扉が開き、俺の名を呼ぶ名前のか細い声が少し遅れて聞こえてきた。
そう待たずに間仕切りのカーテンをくぐり部屋へ入ってきた名前。
半年以上名前と過ごしてきたが、名前の表情は今まで見た事がないくらい疲れきっていた。
もっと気にしてやるべきだったと痛感した。
いくら名前が連絡の面でそうだとしても、それが当たり前だと思い込む事自体良くなかったんだと思える。
腕の中で寝返りをし、俺の方へ顔を向けるようにもぞもぞと動いた名前は気持ちよさそうに眠っている。
付き合い始めてから半年以上。
この歳の男女であればある程度いろんなことを経ているべきだと思うが、名前とはキスすらしたことが無い。
もし良いと言われれば今すぐにでも薄く開いている唇へ触れたい気持ちは十分にあるが、顔を近付けると慌てる名前を思えばまだ時間はかかるだろう。
気持ちを伝える手段はそういう行動のみという訳でもない。
普段は触れるだけで緊張から小さく震える頬も、寝ている間はいくらか触っても起きることはなった。
母子家庭で一人っ子、中学高校大学と全て女子のみの環境で育ってきたと言っていた名前。
その間に男と付き合うことも無かったらしく合コンのような誘いも酒が苦手という理由で全て断り、バイトも女のみの場を選んでいたらしい。
「でも職場はそうもいかなくて⋯」
今の職場に就いてすぐの頃は相当苦労したと言っていた。
俺に対しまだ緊張しているような態度をしてしまうのも実際はだいぶ軽い方らしく、今も相当苦労していると笑いながら話していたのを覚えている。
いっそ一緒に暮らすべきか。
この部屋の合鍵も、そもそもいつだったか名前が忘れていった鍵を返そうと連絡した時「そのまま持っててもらっても大丈夫ですよ」と、多分深く意味も考えずに言われ、今日のように名前の部屋へ来る時はいつもインターホンは鳴らさず勝手に使っていた。
確かに、一緒に暮らすなら日頃連絡を取らない分を埋めることができる。
今日のように名前の様子に気付けず後悔することも無いだろう。
どちらかの職場が若干遠くなってしまうだろうが、その程度ならそこまで大したことじゃない。
明後日は名前も休みだろし、明日の夜にでも話してみるか。
どんな反応をするのか。
ただでさえ表情豊かに驚いたり照れたりする名前を想像しながら、薄暗い部屋の中で微かに光を帯びている名前の頬を再び撫でながらさほど重くは無い瞼を静かに下ろした。
23.2.22
リクエスト〝厄日に甘やかす高杉視点〟
以前リクエストで頂いた、厄日に高杉から甘やかされるお話、の続きになります。
どこで出会ったのか〜等の話を考えつつあるので、どこかで出せたらいいなと思ってます。
リクエストありがとうございました。
明後日、明後日、と小さく繰り返していた名前も気付けば小さな寝息を繰り返すようになっていた。
不健康にさえ見えてしまう白い頬。
起こさないよう腰に回していた腕を上げ指の背で頬に触れれば、滑らかな肌越しに少しひんやりとした熱を感じる。
きっとだいぶ無理をしていたのだろう。名前が帰ってきた時に浮かべていた表情を思い返し、今一度腰へ腕を回し隙間を埋めるよう名前の身体を軽く引き寄せた。
今思えば、最近は特に連絡を取り合うことも無かったように感じる。
名前は連絡を強制するタイプじゃない。むしろ俺から送ったりしない限り殆ど連絡が来ることもない。
だからといって別に冷めてる訳じゃなく、付き合う前から「男性との付き合いが苦手で⋯」と話していたし、普段の名前を思えば連絡が薄くなろうとそれが普通だと思っていた。
ごく稀に名前の方から「これ面白かったです」と感想を添えて映画や本を勧めてくる時があるくらいで、基本はそういった事も殆どない。
最後に外食した時も普段と変わらない様子で美味そうに鍋をつついてたし、俺も俺で休みをまとめて取るため少し仕事を詰めてた事もあって、名前なら大丈夫だろうと勝手に思い込んでいた。
驚かせるつもりで今日来ることは事前に連絡していなかった。
いざ仕事を終え名前の部屋へ来てみれば結構遅い時間にも関わらず明かりが点いておらず、部屋に来ると台所にはグラスと小さなフライパンが置かれたまま。
机の上には蓋が開いたままの小さな弁当箱と、チラシである程度まとめられてはいるが包まれず放置されている割れたグラスが置かれていた。
どこを見ても普段の名前からは想像すらつかないものばかり。
勝手に悪いとは思いつつも冷蔵庫を開けてみれば、人一人これだけで足りるのか?というくらいの食材だけが整頓されている。
生憎スーパーの営業時間はとうに過ぎていた。
時間も遅かったため晩飯は済ませてるとばかり思っていたから来る途中買い物をしなかったが、名前がまだ帰ってきていないならなにかしらあるもので作ろうと思った。
食材は明日買い足せばいいか、と冷蔵庫にあるもので飯を作りながら割れたグラスを片付けたりしていると静かに玄関の扉が開き、俺の名を呼ぶ名前のか細い声が少し遅れて聞こえてきた。
そう待たずに間仕切りのカーテンをくぐり部屋へ入ってきた名前。
半年以上名前と過ごしてきたが、名前の表情は今まで見た事がないくらい疲れきっていた。
もっと気にしてやるべきだったと痛感した。
いくら名前が連絡の面でそうだとしても、それが当たり前だと思い込む事自体良くなかったんだと思える。
腕の中で寝返りをし、俺の方へ顔を向けるようにもぞもぞと動いた名前は気持ちよさそうに眠っている。
付き合い始めてから半年以上。
この歳の男女であればある程度いろんなことを経ているべきだと思うが、名前とはキスすらしたことが無い。
もし良いと言われれば今すぐにでも薄く開いている唇へ触れたい気持ちは十分にあるが、顔を近付けると慌てる名前を思えばまだ時間はかかるだろう。
気持ちを伝える手段はそういう行動のみという訳でもない。
普段は触れるだけで緊張から小さく震える頬も、寝ている間はいくらか触っても起きることはなった。
母子家庭で一人っ子、中学高校大学と全て女子のみの環境で育ってきたと言っていた名前。
その間に男と付き合うことも無かったらしく合コンのような誘いも酒が苦手という理由で全て断り、バイトも女のみの場を選んでいたらしい。
「でも職場はそうもいかなくて⋯」
今の職場に就いてすぐの頃は相当苦労したと言っていた。
俺に対しまだ緊張しているような態度をしてしまうのも実際はだいぶ軽い方らしく、今も相当苦労していると笑いながら話していたのを覚えている。
いっそ一緒に暮らすべきか。
この部屋の合鍵も、そもそもいつだったか名前が忘れていった鍵を返そうと連絡した時「そのまま持っててもらっても大丈夫ですよ」と、多分深く意味も考えずに言われ、今日のように名前の部屋へ来る時はいつもインターホンは鳴らさず勝手に使っていた。
確かに、一緒に暮らすなら日頃連絡を取らない分を埋めることができる。
今日のように名前の様子に気付けず後悔することも無いだろう。
どちらかの職場が若干遠くなってしまうだろうが、その程度ならそこまで大したことじゃない。
明後日は名前も休みだろし、明日の夜にでも話してみるか。
どんな反応をするのか。
ただでさえ表情豊かに驚いたり照れたりする名前を想像しながら、薄暗い部屋の中で微かに光を帯びている名前の頬を再び撫でながらさほど重くは無い瞼を静かに下ろした。
23.2.22
リクエスト〝厄日に甘やかす高杉視点〟
以前リクエストで頂いた、厄日に高杉から甘やかされるお話、の続きになります。
どこで出会ったのか〜等の話を考えつつあるので、どこかで出せたらいいなと思ってます。
リクエストありがとうございました。
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