沖田誕生日2022
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HBD もう一本、と同一の主人公のお話です。
「以上です!」
「ああ、ご苦労だったな」
副長である土方の元へと業務報告に来ていた名前は普段よりも激務な内容だったにも関わらず、疲れなど見せずその可愛らしい笑顔を土方へ向けていた。
「もう遅い、早く休め」
「副長もですよ!」
では!と土方の部屋を出ようとした時、あっと短く声を漏らした名前はゆっくりと振り返り眉尻を下げた表情を浮かべた。
「⋯あ、あとわたし明日お休みなので⋯」
「⋯⋯⋯わかった」
名前の言葉を聞いてたっぷりと間を空けて返事をした土方は手を額に添えた。
その様子を見た名前は静かに部屋を後にした。
名前が休みということはつまり、名前が普段人の倍以上働いて埋め合わせている部分が明日は埋められないということだった。
隊長でありながらサボりがちの沖田の代わりにと仕事をテキパキと無駄なくこなす名前。普段は近藤や土方からもっと休めと言われながらも特に用がない限りはその少ない休みすらも働いていた名前だったが、明日はどうしても見たい映画があり久しぶりに休みを満喫しようとしていた。
いくら気丈に振る舞っていても土方への報告も終え日付を越えようとしている時間まで動いていれば、疲れはじわじわと湧き出てくる。
「ん〜〜、明日晴れるかなぁ」
欠伸をしながら空を見上げて薄らと雲のかかる月を見ていると、自分以外の足音が聞こえた名前は前方へと顔を向けた。
「はぁ〜⋯」
「⋯⋯山崎さん?」
足音の主は山崎だった。
名前は酷く重い溜息を吐く山崎を見かけ声をかけると、最初はその声にすら気付いていなかった様子の山崎へ再度声をかけたところでようやく名前に気がついたようだった。
「どうしたんですか⋯?」
「い、いや!ちょっと疲れちゃって⋯」
「こんな時間までですもんね、わかります」
不器用に笑顔を向ける山崎へ軽く言葉を返した名前は、疲れているならあまり立ち話も良くないだろうと早々にその場を離れようとすると、名前ちゃん!と通り過ぎようとした時に名前を呼ばれ足を止めた。
「そ、そういえば沖田隊長なんだけど!」
「隊長、ですか?」
「うん!その沖田隊長、今日誕生日らしいよ!」
「え?」
早く言うのが勝ちとでもいうように、山崎はそれを名前へ伝えると「じゃ、おやすみ!」ともの凄い速さで走り去って言った。
その後ろ姿をぽかんと見つめながら廊下に立ち尽くす名前は、ハッ!と腕時計を確認した。
「やばい!」
「隊長!」
バン!と音を立てて開かれた扉の先にはこんもりと盛り上がる布団が敷かれており、丸い頭と特徴的なアイマスクがひょっこりと布団から覗いていた。
「⋯⋯」
「⋯⋯」
ピクリとも動かない沖田と、その沖田を見つめたまま扉を開けた姿勢で立ち止まる名前。
名前は音を立てぬよう静かに布団の側まで近寄ると膝をつけそこに座った。
「⋯隊長?」
「⋯⋯」
「隊長〜?」
「⋯⋯」
顔を近づけあまり大きくない声で呼びかけても返事がないのを確認すると、名前は普段よく見せる元気のある表情ではなく柔らかな笑顔を浮かべた。
「隊長はいつもサボってばかりで本当大変なんですよ?」
「でも憧れていたので、隊長の下で働けて良かったです」
「急に言われて何も用意できなかったんです」
「まだ今日です、あと数分で終わっちゃいますけど」
「お誕生日、おめでとうございます」
返事が来ることも無いとわかっていながら、名前はそう小さく語りかけるとポケットから飴を二つ取り出し枕元へと置いた。
「来年はもう少し頑張りますね」
おやすみなさい、そう告げるとゆっくりと立ち上がり静かに部屋を後にした名前。
自室へと向かう廊下を歩きながら見上げた空は、先程のように雲が月を覆ってはおらずその遠く綺麗な光を輝かせていた。
次の日。
名前がいないにも関わらず珍しく自分の業務へと向き合う沖田はいつもより機嫌がよかったらしい。
2022.7.8
「以上です!」
「ああ、ご苦労だったな」
副長である土方の元へと業務報告に来ていた名前は普段よりも激務な内容だったにも関わらず、疲れなど見せずその可愛らしい笑顔を土方へ向けていた。
「もう遅い、早く休め」
「副長もですよ!」
では!と土方の部屋を出ようとした時、あっと短く声を漏らした名前はゆっくりと振り返り眉尻を下げた表情を浮かべた。
「⋯あ、あとわたし明日お休みなので⋯」
「⋯⋯⋯わかった」
名前の言葉を聞いてたっぷりと間を空けて返事をした土方は手を額に添えた。
その様子を見た名前は静かに部屋を後にした。
名前が休みということはつまり、名前が普段人の倍以上働いて埋め合わせている部分が明日は埋められないということだった。
隊長でありながらサボりがちの沖田の代わりにと仕事をテキパキと無駄なくこなす名前。普段は近藤や土方からもっと休めと言われながらも特に用がない限りはその少ない休みすらも働いていた名前だったが、明日はどうしても見たい映画があり久しぶりに休みを満喫しようとしていた。
いくら気丈に振る舞っていても土方への報告も終え日付を越えようとしている時間まで動いていれば、疲れはじわじわと湧き出てくる。
「ん〜〜、明日晴れるかなぁ」
欠伸をしながら空を見上げて薄らと雲のかかる月を見ていると、自分以外の足音が聞こえた名前は前方へと顔を向けた。
「はぁ〜⋯」
「⋯⋯山崎さん?」
足音の主は山崎だった。
名前は酷く重い溜息を吐く山崎を見かけ声をかけると、最初はその声にすら気付いていなかった様子の山崎へ再度声をかけたところでようやく名前に気がついたようだった。
「どうしたんですか⋯?」
「い、いや!ちょっと疲れちゃって⋯」
「こんな時間までですもんね、わかります」
不器用に笑顔を向ける山崎へ軽く言葉を返した名前は、疲れているならあまり立ち話も良くないだろうと早々にその場を離れようとすると、名前ちゃん!と通り過ぎようとした時に名前を呼ばれ足を止めた。
「そ、そういえば沖田隊長なんだけど!」
「隊長、ですか?」
「うん!その沖田隊長、今日誕生日らしいよ!」
「え?」
早く言うのが勝ちとでもいうように、山崎はそれを名前へ伝えると「じゃ、おやすみ!」ともの凄い速さで走り去って言った。
その後ろ姿をぽかんと見つめながら廊下に立ち尽くす名前は、ハッ!と腕時計を確認した。
「やばい!」
「隊長!」
バン!と音を立てて開かれた扉の先にはこんもりと盛り上がる布団が敷かれており、丸い頭と特徴的なアイマスクがひょっこりと布団から覗いていた。
「⋯⋯」
「⋯⋯」
ピクリとも動かない沖田と、その沖田を見つめたまま扉を開けた姿勢で立ち止まる名前。
名前は音を立てぬよう静かに布団の側まで近寄ると膝をつけそこに座った。
「⋯隊長?」
「⋯⋯」
「隊長〜?」
「⋯⋯」
顔を近づけあまり大きくない声で呼びかけても返事がないのを確認すると、名前は普段よく見せる元気のある表情ではなく柔らかな笑顔を浮かべた。
「隊長はいつもサボってばかりで本当大変なんですよ?」
「でも憧れていたので、隊長の下で働けて良かったです」
「急に言われて何も用意できなかったんです」
「まだ今日です、あと数分で終わっちゃいますけど」
「お誕生日、おめでとうございます」
返事が来ることも無いとわかっていながら、名前はそう小さく語りかけるとポケットから飴を二つ取り出し枕元へと置いた。
「来年はもう少し頑張りますね」
おやすみなさい、そう告げるとゆっくりと立ち上がり静かに部屋を後にした名前。
自室へと向かう廊下を歩きながら見上げた空は、先程のように雲が月を覆ってはおらずその遠く綺麗な光を輝かせていた。
次の日。
名前がいないにも関わらず珍しく自分の業務へと向き合う沖田はいつもより機嫌がよかったらしい。
2022.7.8
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