偶
名前設定
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outと同じ主人公また関係性のあるお話になります
まだ空が全体的に重たく暗い色に覆われている頃。
覚束無い足取りで万事屋の扉を開け、玄関から居間の方へゆらゆらと歩みを進める名前は普段仕事を終える時間よりも早くに万事屋へと戻ってきていた。
「⋯は?!名前お前まだバイトじゃねーの?」
名前が向かった居間には、これまた普段であれば起きているはずのない銀時の姿。ジャンプを片手に持ちジャージ姿でソファに寝転がりながら、居間を訪れた予想外の人物に声をかけた。
「わ、銀さんだ」
銀時の名前を呼んだ名前は銀時を気にすること無くいつものようにソファへと倒れ込むように身を投げ、必然と下敷きになる銀時は手に持つジャンプを慌てて机に置くとその身体を受け止めた。
「⋯⋯ちょ、お前酒くせーよどんだけ飲んでんだよ」
「ちょっと」
男受けのよさそうな匂いと眉をしかめる程の酒の匂いを纏って銀時の上に遠慮なく体を預ける名前の顔は、相当酔っているのか全体的に熱を持ち火照っている。
そんな名前を見下ろしながら両手を上げている銀時は現状が理解出来ずにいた。
まだ時計の短針が真上をほんの少し過ぎた辺り。
本来であれば名前はまだ妙の手伝いですまいるにいる時間であり、銀時は既に眠っている時間でもあった。
ただ今日に限って少し遅くまで用事で外に出ていた銀時はついさっき帰宅していた。
時を同じくしてすまいるで接客をしていた名前は客にのせられ、普段であれば絶対に飲まないであろう度数の高いお酒を喉に流した結果早々に潰れてしまい、早めに帰ってきていた。
「銀さんのにおい⋯」
銀時のジャージへ鼻先を近付けにおいを嗅ぐような仕草をする名前と、自分の胸元を見下ろしながらその光景を眺めては口元を手で覆い悶えるような声を発しながら大きく頭を仰け反らせた銀時。
可愛い。火照った頬や僅かに舌足らずな言葉、普段あまり嗅ぐことのない少し甘い香りを纏う名前が自分の上に体を預けている。
何故普段より早く名前が帰ってきているのか銀時にはわからなかったが、名前を見ながら必死に高ぶる気持ちを抑えていた。
体にのしかかる心地の良い重みと熱、名前の伏せられている目元、普段より赤い頬や鼻先は酔いのためであり他意はないにも関わらず何故か胸が高鳴り、名前が息をする度服越しに伝わってくる熱が拍車をかけその全てが銀時の思考をバグらせ始めていた。
「⋯オオオイ、オイ名前⋯名前?名前チャン?ちょ、退いてくれると銀さんすげー助かるんだけど」
「やです」
「いやお前んなこと言ったって⋯」
俺がヤベェんだって!いや俺ってか俺のオレ的なのが!!!
銀時の叫びが口から出ることは勿論無い、名前へ伝わることも勿論無い。
簡単に否定した名前はすりすりと頬を擦り付けジャージを握りしめては無意識に銀時を限界の縁へじりじりと押しやっていた。
「銀さんまだ起きてますか?」
「⋯お、おう、おおお起きてるに決まってんだろ」
もはや普段働いている脳の殆どが異常値を迎えていた銀時は名前の問に対し、自分はこれから寝ようとしていたのにも関わらず迷うより早く起きていると返事をしてしまった。
そんな銀時の言葉を聞きながら顔を上げた名前は、ゆっくりと体を起こすと火照りを少しでも楽にするためか前に垂れていた髪を全てすくい首の後ろへと流し、首筋や鎖骨を涼しげに晒した。
片手を銀時の胸の上に下ろしもう片方の手でぱたぱたと首元を仰ぐ名前は酔いのせいで相当暑いのかおでこや頬には細く束になった髪が汗によりぺたりと張り付いている。
銀時からすれば、自分に手を付きながら腰上に重心を置きしっとりと汗をかいている好い人が自分を見下ろしている光景があまりに官能的で、同時になぜか直視してはいけないような気持ちになり口元を覆っていた手で目元を隠しながら再度頭を仰け反らせた。
華奢な名前を簡単に退かすことだって容易な銀時だが、名前を受け止めてからはまだ一度も触れずにいた。
自分でも呆れるほど名前に夢中になっていた銀時は、どんな状況下であれ嫌われることだけは何としてでも避けるべく必要以上に名前へ触れることだけは避けていた。もちろん、拒絶するようなことなど以ての外。
なんていうのは真っ当な理由、日頃から確かに嫌われないようにと尽くしていたのは本当だが、実際はこの状況を拒む理由が見当たらないと自分の中で正当化しもう少しあと少しと名前の重みや熱を感じていたいだけだった。
「銀さん⋯」
妙に湿度のこもる声音で静かに銀時の名前を口にした名前は、ゆっくりと倒れるように銀時との距離を埋めていく。
名前を呼ばれたことで指の隙間からしっかりと名前を見ていた銀時は、普段の名前からは考えられないほど艶めかしく女性的な雰囲気を纏っている姿を見てごくりと大きく喉元を震わせた。
「⋯⋯名前」
そして僅かに間を開けて名前の名を読んだ銀時は目元を覆うことをやめ、その手を名前の方へとゆっくり伸ばし紅潮した頬に触れようとしていた。
それが許されるだろう雰囲気に呑まれた銀時だったが、その手は虚しく空に触れるだけで銀時が想像していたような柔らかく暖かい頬に辿り着くことは無かった。
「⋯名前⋯⋯?」
それどころか、あれほど銀時を誘っているような煽っているような態度を向けていた名前は、まるで力なく倒れるように銀時の胸元へふにゃりと頬をつけ横たわっている。
その行動が思っていたそれと異なり先程とは違う声音で名前を呼んだ銀時だったが、名前は小さく息を漏らしながら呼びかけに答えるよう言葉を返した。
「少し経ったら⋯起こ⋯⋯」
言葉の最後は銀時の耳に届かなかった。
どれだけ眠かったのか絞り出すように聞こえたか細い言葉が聞こえなくなると、すぐに規則正しく背を上下させながら小さく寝息を立て始めた名前。
「⋯⋯⋯」
そんな名前を見て一瞬でも邪な考えを向けてしまった自分に呆れるよう溜息をつきながら頭をガリガリと掻いた銀時は、自分のそんな気持ちになど気付きもせず寧ろ自分を信頼して無防備に眠ってしまった名前を再度見つめると、嬉しそうに眉尻を下げ優しそうな表情を浮かべていた。
「お前さ、少しは俺のこと考えてくれたっていんじゃね?」
寝ている名前へ掠れるくらい小さく控えめに声をかけた銀時は、先程まで自分の頭を掻いていた手をそのサラサラと艶のある髪に覆われた頭へ伸ばすと起こさぬように優しく撫でた。
名前が寝ているからこそ口を出た言葉。
くすぐったそうにしていた頬にかかる髪を退かすために優しくすくうと、まだしっかりと赤みを帯びた頬や目元や鼻先が露わになる。
本来であれば銀時は寝て名前は朝方に帰宅するはずだったが、たまたまが重なり起きた出来事。
たまには起きてんのも悪くねえな、と二人きりの部屋で表情を和らげた銀時は優しく名前の頭を撫でながらその重みや熱をしっかりと堪能していた。
翌朝、こちらもたまたまいつもより早めに万事屋を訪れた新八は、居間のソファで重なり合いながら眠っている二人を見つけると顔を赤く染めながら声を荒らげていた。
22.11.17
まだ空が全体的に重たく暗い色に覆われている頃。
覚束無い足取りで万事屋の扉を開け、玄関から居間の方へゆらゆらと歩みを進める名前は普段仕事を終える時間よりも早くに万事屋へと戻ってきていた。
「⋯は?!名前お前まだバイトじゃねーの?」
名前が向かった居間には、これまた普段であれば起きているはずのない銀時の姿。ジャンプを片手に持ちジャージ姿でソファに寝転がりながら、居間を訪れた予想外の人物に声をかけた。
「わ、銀さんだ」
銀時の名前を呼んだ名前は銀時を気にすること無くいつものようにソファへと倒れ込むように身を投げ、必然と下敷きになる銀時は手に持つジャンプを慌てて机に置くとその身体を受け止めた。
「⋯⋯ちょ、お前酒くせーよどんだけ飲んでんだよ」
「ちょっと」
男受けのよさそうな匂いと眉をしかめる程の酒の匂いを纏って銀時の上に遠慮なく体を預ける名前の顔は、相当酔っているのか全体的に熱を持ち火照っている。
そんな名前を見下ろしながら両手を上げている銀時は現状が理解出来ずにいた。
まだ時計の短針が真上をほんの少し過ぎた辺り。
本来であれば名前はまだ妙の手伝いですまいるにいる時間であり、銀時は既に眠っている時間でもあった。
ただ今日に限って少し遅くまで用事で外に出ていた銀時はついさっき帰宅していた。
時を同じくしてすまいるで接客をしていた名前は客にのせられ、普段であれば絶対に飲まないであろう度数の高いお酒を喉に流した結果早々に潰れてしまい、早めに帰ってきていた。
「銀さんのにおい⋯」
銀時のジャージへ鼻先を近付けにおいを嗅ぐような仕草をする名前と、自分の胸元を見下ろしながらその光景を眺めては口元を手で覆い悶えるような声を発しながら大きく頭を仰け反らせた銀時。
可愛い。火照った頬や僅かに舌足らずな言葉、普段あまり嗅ぐことのない少し甘い香りを纏う名前が自分の上に体を預けている。
何故普段より早く名前が帰ってきているのか銀時にはわからなかったが、名前を見ながら必死に高ぶる気持ちを抑えていた。
体にのしかかる心地の良い重みと熱、名前の伏せられている目元、普段より赤い頬や鼻先は酔いのためであり他意はないにも関わらず何故か胸が高鳴り、名前が息をする度服越しに伝わってくる熱が拍車をかけその全てが銀時の思考をバグらせ始めていた。
「⋯オオオイ、オイ名前⋯名前?名前チャン?ちょ、退いてくれると銀さんすげー助かるんだけど」
「やです」
「いやお前んなこと言ったって⋯」
俺がヤベェんだって!いや俺ってか俺のオレ的なのが!!!
銀時の叫びが口から出ることは勿論無い、名前へ伝わることも勿論無い。
簡単に否定した名前はすりすりと頬を擦り付けジャージを握りしめては無意識に銀時を限界の縁へじりじりと押しやっていた。
「銀さんまだ起きてますか?」
「⋯お、おう、おおお起きてるに決まってんだろ」
もはや普段働いている脳の殆どが異常値を迎えていた銀時は名前の問に対し、自分はこれから寝ようとしていたのにも関わらず迷うより早く起きていると返事をしてしまった。
そんな銀時の言葉を聞きながら顔を上げた名前は、ゆっくりと体を起こすと火照りを少しでも楽にするためか前に垂れていた髪を全てすくい首の後ろへと流し、首筋や鎖骨を涼しげに晒した。
片手を銀時の胸の上に下ろしもう片方の手でぱたぱたと首元を仰ぐ名前は酔いのせいで相当暑いのかおでこや頬には細く束になった髪が汗によりぺたりと張り付いている。
銀時からすれば、自分に手を付きながら腰上に重心を置きしっとりと汗をかいている好い人が自分を見下ろしている光景があまりに官能的で、同時になぜか直視してはいけないような気持ちになり口元を覆っていた手で目元を隠しながら再度頭を仰け反らせた。
華奢な名前を簡単に退かすことだって容易な銀時だが、名前を受け止めてからはまだ一度も触れずにいた。
自分でも呆れるほど名前に夢中になっていた銀時は、どんな状況下であれ嫌われることだけは何としてでも避けるべく必要以上に名前へ触れることだけは避けていた。もちろん、拒絶するようなことなど以ての外。
なんていうのは真っ当な理由、日頃から確かに嫌われないようにと尽くしていたのは本当だが、実際はこの状況を拒む理由が見当たらないと自分の中で正当化しもう少しあと少しと名前の重みや熱を感じていたいだけだった。
「銀さん⋯」
妙に湿度のこもる声音で静かに銀時の名前を口にした名前は、ゆっくりと倒れるように銀時との距離を埋めていく。
名前を呼ばれたことで指の隙間からしっかりと名前を見ていた銀時は、普段の名前からは考えられないほど艶めかしく女性的な雰囲気を纏っている姿を見てごくりと大きく喉元を震わせた。
「⋯⋯名前」
そして僅かに間を開けて名前の名を読んだ銀時は目元を覆うことをやめ、その手を名前の方へとゆっくり伸ばし紅潮した頬に触れようとしていた。
それが許されるだろう雰囲気に呑まれた銀時だったが、その手は虚しく空に触れるだけで銀時が想像していたような柔らかく暖かい頬に辿り着くことは無かった。
「⋯名前⋯⋯?」
それどころか、あれほど銀時を誘っているような煽っているような態度を向けていた名前は、まるで力なく倒れるように銀時の胸元へふにゃりと頬をつけ横たわっている。
その行動が思っていたそれと異なり先程とは違う声音で名前を呼んだ銀時だったが、名前は小さく息を漏らしながら呼びかけに答えるよう言葉を返した。
「少し経ったら⋯起こ⋯⋯」
言葉の最後は銀時の耳に届かなかった。
どれだけ眠かったのか絞り出すように聞こえたか細い言葉が聞こえなくなると、すぐに規則正しく背を上下させながら小さく寝息を立て始めた名前。
「⋯⋯⋯」
そんな名前を見て一瞬でも邪な考えを向けてしまった自分に呆れるよう溜息をつきながら頭をガリガリと掻いた銀時は、自分のそんな気持ちになど気付きもせず寧ろ自分を信頼して無防備に眠ってしまった名前を再度見つめると、嬉しそうに眉尻を下げ優しそうな表情を浮かべていた。
「お前さ、少しは俺のこと考えてくれたっていんじゃね?」
寝ている名前へ掠れるくらい小さく控えめに声をかけた銀時は、先程まで自分の頭を掻いていた手をそのサラサラと艶のある髪に覆われた頭へ伸ばすと起こさぬように優しく撫でた。
名前が寝ているからこそ口を出た言葉。
くすぐったそうにしていた頬にかかる髪を退かすために優しくすくうと、まだしっかりと赤みを帯びた頬や目元や鼻先が露わになる。
本来であれば銀時は寝て名前は朝方に帰宅するはずだったが、たまたまが重なり起きた出来事。
たまには起きてんのも悪くねえな、と二人きりの部屋で表情を和らげた銀時は優しく名前の頭を撫でながらその重みや熱をしっかりと堪能していた。
翌朝、こちらもたまたまいつもより早めに万事屋を訪れた新八は、居間のソファで重なり合いながら眠っている二人を見つけると顔を赤く染めながら声を荒らげていた。
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