月白に苛まれて
名前設定
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そもそも、かぶき町ってなんだ。
歌舞伎町なら行ったことは無いけれど名前だけは知ってる。
ここまで不都合がある夢もそうそうないでしょ普通、適当な地名連ねておいて実際は家がありませんだなんて。
「⋯まあ思い出せねえもん無理して思い出す必要はねえとして、他に思い当たる場所とかねえのか」
「他に⋯⋯」
「どうしよう僕のせいだ、どうしよう僕のせいだ、どうし⋯」
機械のように言葉を吐く山崎さんの頭には二つ目の膨らみが出来ていた。
住んでいたアパート、バイト先、大学、ジム、実家。
「⋯⋯じゃあ⋯」
一番可能性のある大学の住所を伝えた私の言葉通りにナビへ入力していく土方さん。
けれど、私の言う地名はこのナビには存在していないらしく、正しい情報を入力してください、というエラーばかりを表示していた。
結局アパートから実家まで記憶の限り全ての住所を伝えてみたけれどやっぱり何一つヒットすることはなかった。
「⋯⋯とりあえずあれだ、一旦屯所に戻って調べるか」
家もなければ思い当たる住所が一つもヒットしない私と、自分が起こした事故のせいだと落ち込む山崎さん。
主に私達のせいで絶妙に重くなってしまった車内の空気。
それを解いた土方さんの一言で二人の職場である警察署みたいなところに行くことになり、そこで私の住所とかを調べてもらえることになった。
それなら今度こそ大丈夫だろうと安心した私は、所詮は夢、所詮は夢、と言い聞かせながら再び動き出すパトカーから外でギラギラと光を放つ電飾を眺めた。
まさか、数十分後とんでもない体験をするなんて思いもせずに。