月白に苛まれて
名前設定
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そんな時、部屋の扉がコツコツと叩かれた。
目の前にいる男と私と会話を記録してるらしいもう一人の男が同時に扉へ目を向けると、ゆっくりと開かれた扉から顔を覗かせたのはここ二日の間では見たことのない人物だった。
「総悟、あと君も、ちょっと外に出てくれないか」
男性は言葉的に上司にあたるのか、扉を開けたまま二人へ声をかけた。
すると二人は言葉を返すこともなく静かに立ち上がると開けられている扉を通り部屋から出て行った。
「名前ちゃんだったか、すまんな突然」
二人が出たことを確認し扉を閉めて私の目の前にある空いた椅子へ腰を下ろした男性は、優しく微笑みながら私の名前を口にした。
「俺は近藤だ。
ちょっと野暮用でここを離れてたんだがついさっき帰ってきて。
⋯まぁだいたいの話は聞いたんだが⋯」
つらつらと言葉を並べながら、突然、本当に突然私の手元に触れると予め持っていたのか私の手錠を外してくれた近藤という男性。
「まずは部下の不注意で君を事故に巻き込んでしまった事を謝らせてくれ。
すまなかった」
ドツっ、と勢いよく机に叩きつけるように頭を下げた。
「そ⋯そんな、大丈夫ですから、そんな事⋯⋯」
今までのどの人よりも温かみがあった。
私と向き合ってくれそうな人、私の話を聞いてくれそうな人、そう思えるほど。
「本当にすまないと思っている。
それだけは、わかってほしい」
顔をあげると、ほんの少しおでこを赤くしながらしっかりとした眼差しで私を見つめる男性。
近藤さんは、それからこれ嫌だっただろう、と外れた手錠を指さした。
「何度も言ってくれたと思うが、俺にも君のことを教えてくれないか。
何があったのか。
勿論嫌なら無理にとは言わない、ただ部下からの言葉だけじゃなく直接君自身からも話を聞きたいと思ってな」
至極丁寧に言葉を選びながら話してくれる近藤という男性。
この人なら⋯そう思える人に出会えた喜びと安心で涙がでそうになりながら、何度も繰り返し話してきたことを再び話してみることにした。
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