月白に苛まれて
名前設定
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「私は⋯」
私は本当に苗字名前なのかな。
ジムの帰りに死んでいたとしたら、今こうしてここにいるのはもう私じゃないのでは。
いくらトリップや転生が仮に起きていたとしても私は本当に私のままなのか。
考えれば考えるほど何がどうなっているのかも理解できず、混乱する頭を必死に整理しようと考えてみても悪循環にはまって答えは出ない。
そんな私を見かねて溜息を吐いた土方さんは、固定されていた手錠を机から外すと、近くにいた別の男の人へ「留置所に入れとけ」とだけ言い残し振り返ることなく部屋から出ていった。
その日、初めての留置所を体験した。
出された食事なんて喉を通るどころか手を伸ばすことすら出来ず、冷たい壁に寄りかかりながら体を小さくして夜を過ごした。
⋮
次の日、朝早くから昨日と同じ部屋に連れていかれた私は蜂蜜のような髪色の若い男の人から質問を繰り返されていた。
「アンタ名前は」
「⋯私は」
「あぁちなみに俺が聞いてんのはここにある名前じゃなく、ホントのところなんて名前してんのか、って事なんで答え方には気ぃつけてくだせぇ」
「だから⋯ッ!」
いくら言ってもここにいる人達は私の言葉を信じてくれない。
名前なんて一つしかないのに、嘘なんてついてないのに、戸籍がない、ただそれだけの理由でここまで疑われるなんて思ってなかった。
そもそも戸籍がないなんて思わなかったし。
目の前の男の人はどんどん私を追い詰めていく。
よくドラマなんかで取り調べを何時間も耐えたとか無言を貫き通したとかって見たことがあるけど、そんなの全部嘘じゃんと思えるほど苦痛でしかない。
たったの一時間か二時間、ジムで過ごすならあっという間な時間でも、誰一人私を信じてくれない認めてもらえないという状況下で過ごす同等の時間には天と地ほど差があった。
どうしたらいいのかわからない、なめられないようにと我慢していたものが今にも零れそうで目元を強く閉じた。
私は本当に苗字名前なのかな。
ジムの帰りに死んでいたとしたら、今こうしてここにいるのはもう私じゃないのでは。
いくらトリップや転生が仮に起きていたとしても私は本当に私のままなのか。
考えれば考えるほど何がどうなっているのかも理解できず、混乱する頭を必死に整理しようと考えてみても悪循環にはまって答えは出ない。
そんな私を見かねて溜息を吐いた土方さんは、固定されていた手錠を机から外すと、近くにいた別の男の人へ「留置所に入れとけ」とだけ言い残し振り返ることなく部屋から出ていった。
その日、初めての留置所を体験した。
出された食事なんて喉を通るどころか手を伸ばすことすら出来ず、冷たい壁に寄りかかりながら体を小さくして夜を過ごした。
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次の日、朝早くから昨日と同じ部屋に連れていかれた私は蜂蜜のような髪色の若い男の人から質問を繰り返されていた。
「アンタ名前は」
「⋯私は」
「あぁちなみに俺が聞いてんのはここにある名前じゃなく、ホントのところなんて名前してんのか、って事なんで答え方には気ぃつけてくだせぇ」
「だから⋯ッ!」
いくら言ってもここにいる人達は私の言葉を信じてくれない。
名前なんて一つしかないのに、嘘なんてついてないのに、戸籍がない、ただそれだけの理由でここまで疑われるなんて思ってなかった。
そもそも戸籍がないなんて思わなかったし。
目の前の男の人はどんどん私を追い詰めていく。
よくドラマなんかで取り調べを何時間も耐えたとか無言を貫き通したとかって見たことがあるけど、そんなの全部嘘じゃんと思えるほど苦痛でしかない。
たったの一時間か二時間、ジムで過ごすならあっという間な時間でも、誰一人私を信じてくれない認めてもらえないという状況下で過ごす同等の時間には天と地ほど差があった。
どうしたらいいのかわからない、なめられないようにと我慢していたものが今にも零れそうで目元を強く閉じた。
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