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outの続き。デート(仮)
「銀さんにお願いがあって」
「おー」
机の前でもじもじとスマホを片手にタイミングを伺っている名前と、ジャンプを開きながら適当に返事を返した銀時。
読み終えるまで待たずに銀時へ頼み事をしに来た名前は、あえて銀時がジャンプを読んでいる頃合いを見て話しかけていた。
「聞いてます?」
「おー」
「銀さん?」
「おー」
「今日だけ彼氏になってくれませんか?」
「おー」
それはなぜか。答えは簡単で、ジャンプを読んでいる時の銀時はあまり人の話を聞いていないとわかっていたから。
だからこそあえて最中に話しかけることで流れるように許可を貰えるとほぼほぼわかっていた名前、結果として目論見は当たりスマホの画面に出ていた赤く四角いマークをタップした。
「⋯⋯⋯⋯は?」
ポチッという電子音が聞こえふと我に返った銀時は今しがた耳に届いた言葉を処理し、気の抜けた声で困惑の一文字を放った。
「やった!銀さんありがと!」
「⋯いやいや、は?カレシ?カレシってあのカレシ?」
「そうですよ私が彼女で銀さんが彼氏ですよ」
「悪ぃちょっと待ってくんね」
スマホを握りしめながら笑顔を向ける名前に一度状況を確認するために静止をかけ、あれ?俺ジャンプ見ながら寝てたっけ?と個人的には喜ぶべき展開に夢だと思い頬を思いきり抓った銀時は当たり前に痛みを感じて変な声を上げていた。
「⋯⋯俺言った?やるとか言った?」
「〝今日だけ彼氏になってくれませんか?〟〝おー〟」
「あああああ言ったわ言ってんなコレ数分前のオレ言ってんな!!!」
片頬をほんのり赤く染めた銀時は、用意周到な名前の手で再生された数分前の互いのやり取りのせいで一切の言い逃れができない状況になっていた。
︙
二人は店のテーブル席に座りながらパフェが届くのを待っていた。
名前が銀時と来た店は最近出来たばかりのスイーツ店。普段は沢山の人で溢れているが、今日だけは違っていた。
「⋯カップル限定だぁ?」
「はい!抽選が当たったんですよ!」
銀時へ録音音声を聞かせた後、名前はスマホをぽちぽち操作し抽選結果の画面を銀時へ見せた。
「この日だけの特別なパフェと⋯これ!銀さん見て見て、マスコットのぬいぐるみ貰えるんです!」
ケーキは並んだら買えますけど、これはこの日だけなんです!
随分と嬉しそうに銀時へ説明する名前は「ほら!行きましょ!」と銀時の片手を取り玄関へと歩き出そうとしていた。
「ちょッ、わーったからンな急ぐなって!」
しっかりと握られた手を見て頬が緩みまくっている銀時の顔は、銀時の手を引く名前に見えることはない。
所謂フリだとしても全然悪くない、寧ろ頬が緩むほど大アリに思えた銀時には「早く早く!」と時折振り返っては笑顔で自分の手を引く名前がいつになく可愛く、例えるならまるで本当に彼女にでもなったかのようで、未だに夢かなにかだと疑いたくなるほどだった。
「今更なんですけど、結構無理言って引っ張ってきちゃってごめんなさい銀さん」
先に運ばれてきた紅茶をクルクルとスプーンでかき混ぜながら銀時へ言葉をかけた名前。確かに半ば強引ではあったが全くと言っていいほど嫌な気持ちを抱いていなかった銀時は「うめーもん食えるし俺ァ気にしてねえよ」と言葉を返し、それを聞き少しは安心したのか名前はまだ湯気の立つ紅茶を一口喉へ流し込んだ。
「それに試作?お試しのパフェらしくて実は無料ですよ、無料」
「おかわりあっかな」
さすがにそれは、と声を漏らして小さく笑った名前を見て朝から心が満たされ続けている銀時もつられて小さく微笑んだ。
そうこうして運ばれてきたパフェは目でも楽しめるようお洒落な見た目をしており「食べるの勿体ないかも」と写真を撮ろうとする名前に対し、銀時は既にスプーンへ手を伸ばしていた。
「んま」
画面にパフェを写していた名前は銀時の声を聞いて、気付かれないようパフェを食べる銀時を画面へ収めた。
パクパクと綺麗なパフェを口に運ぶ姿を画面越しに見て微笑んだ名前は盗み見るような形で写真を撮るのに少し違和感を感じ、撮影ボタンを押す前に「銀さん銀さん」と名前を呼び、声に反応した銀時が名前を向いた瞬間カシャッと撮影ボタンに触れた。
「あはは、銀さん可愛い」
名前の手元に映るのは気の抜けた顔で口の端に白いクリームを付けながらこちらを見ている銀時の姿。
動きをとめてパチパチと目を瞬かせた銀時は、自分を撮った写真を見て笑顔を咲かせている名前を見て小さく声を漏らしながら頭をポリポリ掻いた。
︙
「美味しかったですね!」
帰り道を二人で歩きながら、名前は大事そうに小さなふわふわのマスコットを手に持ち隣を歩く銀時へ笑いかけた。
「⋯そーいやお前もし俺が行かなかったらどうしたわけ?」
もはや名前が何をしても可愛い可愛いと思っていた銀時、今日は一段と可愛らしく自分を連れ出した名前へ抱いていた疑問をぶつけた。
「そもそも銀さんなら来てくれると思って」
「⋯⋯⋯」
確かに名前の頼みであればどんな事でも嫌とは言わず付き合っていた銀時は無言で名前へ視線を向け、手元のマスコットを見ながら「それに」と呟いた名前から続く言葉を待っていた。
「銀さんと一緒じゃなきゃ行かなかったですよ」
ほら新八くんはチョット違うし、沖田さんなんて無理だし。
言葉を言い終えた名前はへにゃりと笑いながら銀時を見上げ
「銀さんはどうですか?良かったですか?」と尋ねた。
その姿を眺めていた銀時は歩みを止めると数時間前と同じように片頬を思いきり抓り、勿論同じように赤くなる頬は夢ではないと教えてくれる。
新八と沖田に触れた言葉はこの際気にせず、俺とじゃなきゃ行かなかったという名前の一言で他の全てがどうでもよく思えるほどに満たされていた銀時。
銀時に言わすなら、超絶可愛いという訳でも超絶スタイルがドえろいという訳でもない名前だったが、誰よりも銀時を夢中にさせていた彼女は誰よりも愛らしい笑顔を銀時へ向けていた。
「⋯また行くか」
そんな名前を長らく見つめることが出来そうになかった銀時は大きな手で名前の視線を遮るように頭をわしゃわしゃと撫で歩みを進めた。
小さく不満の声を漏らす名前の半歩先を歩く銀時は、今日ってあと何時間あったっけ、とおおよその時間を考えては口元をだらしなく緩めていた。
「⋯⋯⋯⋯銀さんあの、手と足が一緒に出てますよ⋯?」
.
22.10.6
リクエスト〝銀時短編〝out〟の続き〟
何件か同様のリクエストを頂いたので一つにさせて頂きました。リクエストありがとうございました!
「銀さんにお願いがあって」
「おー」
机の前でもじもじとスマホを片手にタイミングを伺っている名前と、ジャンプを開きながら適当に返事を返した銀時。
読み終えるまで待たずに銀時へ頼み事をしに来た名前は、あえて銀時がジャンプを読んでいる頃合いを見て話しかけていた。
「聞いてます?」
「おー」
「銀さん?」
「おー」
「今日だけ彼氏になってくれませんか?」
「おー」
それはなぜか。答えは簡単で、ジャンプを読んでいる時の銀時はあまり人の話を聞いていないとわかっていたから。
だからこそあえて最中に話しかけることで流れるように許可を貰えるとほぼほぼわかっていた名前、結果として目論見は当たりスマホの画面に出ていた赤く四角いマークをタップした。
「⋯⋯⋯⋯は?」
ポチッという電子音が聞こえふと我に返った銀時は今しがた耳に届いた言葉を処理し、気の抜けた声で困惑の一文字を放った。
「やった!銀さんありがと!」
「⋯いやいや、は?カレシ?カレシってあのカレシ?」
「そうですよ私が彼女で銀さんが彼氏ですよ」
「悪ぃちょっと待ってくんね」
スマホを握りしめながら笑顔を向ける名前に一度状況を確認するために静止をかけ、あれ?俺ジャンプ見ながら寝てたっけ?と個人的には喜ぶべき展開に夢だと思い頬を思いきり抓った銀時は当たり前に痛みを感じて変な声を上げていた。
「⋯⋯俺言った?やるとか言った?」
「〝今日だけ彼氏になってくれませんか?〟〝おー〟」
「あああああ言ったわ言ってんなコレ数分前のオレ言ってんな!!!」
片頬をほんのり赤く染めた銀時は、用意周到な名前の手で再生された数分前の互いのやり取りのせいで一切の言い逃れができない状況になっていた。
︙
二人は店のテーブル席に座りながらパフェが届くのを待っていた。
名前が銀時と来た店は最近出来たばかりのスイーツ店。普段は沢山の人で溢れているが、今日だけは違っていた。
「⋯カップル限定だぁ?」
「はい!抽選が当たったんですよ!」
銀時へ録音音声を聞かせた後、名前はスマホをぽちぽち操作し抽選結果の画面を銀時へ見せた。
「この日だけの特別なパフェと⋯これ!銀さん見て見て、マスコットのぬいぐるみ貰えるんです!」
ケーキは並んだら買えますけど、これはこの日だけなんです!
随分と嬉しそうに銀時へ説明する名前は「ほら!行きましょ!」と銀時の片手を取り玄関へと歩き出そうとしていた。
「ちょッ、わーったからンな急ぐなって!」
しっかりと握られた手を見て頬が緩みまくっている銀時の顔は、銀時の手を引く名前に見えることはない。
所謂フリだとしても全然悪くない、寧ろ頬が緩むほど大アリに思えた銀時には「早く早く!」と時折振り返っては笑顔で自分の手を引く名前がいつになく可愛く、例えるならまるで本当に彼女にでもなったかのようで、未だに夢かなにかだと疑いたくなるほどだった。
「今更なんですけど、結構無理言って引っ張ってきちゃってごめんなさい銀さん」
先に運ばれてきた紅茶をクルクルとスプーンでかき混ぜながら銀時へ言葉をかけた名前。確かに半ば強引ではあったが全くと言っていいほど嫌な気持ちを抱いていなかった銀時は「うめーもん食えるし俺ァ気にしてねえよ」と言葉を返し、それを聞き少しは安心したのか名前はまだ湯気の立つ紅茶を一口喉へ流し込んだ。
「それに試作?お試しのパフェらしくて実は無料ですよ、無料」
「おかわりあっかな」
さすがにそれは、と声を漏らして小さく笑った名前を見て朝から心が満たされ続けている銀時もつられて小さく微笑んだ。
そうこうして運ばれてきたパフェは目でも楽しめるようお洒落な見た目をしており「食べるの勿体ないかも」と写真を撮ろうとする名前に対し、銀時は既にスプーンへ手を伸ばしていた。
「んま」
画面にパフェを写していた名前は銀時の声を聞いて、気付かれないようパフェを食べる銀時を画面へ収めた。
パクパクと綺麗なパフェを口に運ぶ姿を画面越しに見て微笑んだ名前は盗み見るような形で写真を撮るのに少し違和感を感じ、撮影ボタンを押す前に「銀さん銀さん」と名前を呼び、声に反応した銀時が名前を向いた瞬間カシャッと撮影ボタンに触れた。
「あはは、銀さん可愛い」
名前の手元に映るのは気の抜けた顔で口の端に白いクリームを付けながらこちらを見ている銀時の姿。
動きをとめてパチパチと目を瞬かせた銀時は、自分を撮った写真を見て笑顔を咲かせている名前を見て小さく声を漏らしながら頭をポリポリ掻いた。
︙
「美味しかったですね!」
帰り道を二人で歩きながら、名前は大事そうに小さなふわふわのマスコットを手に持ち隣を歩く銀時へ笑いかけた。
「⋯そーいやお前もし俺が行かなかったらどうしたわけ?」
もはや名前が何をしても可愛い可愛いと思っていた銀時、今日は一段と可愛らしく自分を連れ出した名前へ抱いていた疑問をぶつけた。
「そもそも銀さんなら来てくれると思って」
「⋯⋯⋯」
確かに名前の頼みであればどんな事でも嫌とは言わず付き合っていた銀時は無言で名前へ視線を向け、手元のマスコットを見ながら「それに」と呟いた名前から続く言葉を待っていた。
「銀さんと一緒じゃなきゃ行かなかったですよ」
ほら新八くんはチョット違うし、沖田さんなんて無理だし。
言葉を言い終えた名前はへにゃりと笑いながら銀時を見上げ
「銀さんはどうですか?良かったですか?」と尋ねた。
その姿を眺めていた銀時は歩みを止めると数時間前と同じように片頬を思いきり抓り、勿論同じように赤くなる頬は夢ではないと教えてくれる。
新八と沖田に触れた言葉はこの際気にせず、俺とじゃなきゃ行かなかったという名前の一言で他の全てがどうでもよく思えるほどに満たされていた銀時。
銀時に言わすなら、超絶可愛いという訳でも超絶スタイルがドえろいという訳でもない名前だったが、誰よりも銀時を夢中にさせていた彼女は誰よりも愛らしい笑顔を銀時へ向けていた。
「⋯また行くか」
そんな名前を長らく見つめることが出来そうになかった銀時は大きな手で名前の視線を遮るように頭をわしゃわしゃと撫で歩みを進めた。
小さく不満の声を漏らす名前の半歩先を歩く銀時は、今日ってあと何時間あったっけ、とおおよその時間を考えては口元をだらしなく緩めていた。
「⋯⋯⋯⋯銀さんあの、手と足が一緒に出てますよ⋯?」
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リクエスト〝銀時短編〝out〟の続き〟
何件か同様のリクエストを頂いたので一つにさせて頂きました。リクエストありがとうございました!
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