甘ったるい昼下がり
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彼女と過ごすとある猛暑日のお話
「あー⋯」
マジであちぃ。意味わかんねーくらいあちぃ。なんで今年はこんなにあちぃんだよ聞いてねーよ。
暑さに完全敗北し、お天道様への悪態も全身に纏わりつく熱の鬱陶しさで口から出ることは無かった。
銀時はジャージ姿でデスクに足を乗せ、うちわを持ち首元を仰ぎながら椅子にのけ反っていた。
「もう、なんでこんなに暑いのよ」
遠慮なく開かれた玄関の扉の音と共に少しイラついた声に続いて、すぐに聞きなれた足音も聞こえてきた。
「銀時これどうにかしてよ、私溶けそうなんたけど」
途中どこかへ寄ってから居間にきた名前は普段下ろしている髪を頭の後ろで一括りにまとめ上げ、コンビニの袋を持ちながらその白く細長い手足を存分にさらけ出していた。
「いや無理だわ」
ソファに座りがさごそと袋を漁る名前が取り出したのはカップアイス。
うわぁ溶けてんじゃん最悪、と顔をしかめ手についた液状のアイスをぺろりと舐めた。
それを黙って見ていた銀時の視線に気付いた名前は木のスプーンを咥えながらまた袋を漁ると、味が異なる同じカップアイスを取り出して自分のアイスの隣へ置いた。
「新八くんと神楽ちゃんの分は冷凍庫入れといたから」
そのアイスが自分のために置かれたものだとわかり、デスクに重たく放っていた足を床に落としてアイスにより決められたいつもの定位置へと向かい腰を下ろす。
「溶けてるかも」
「⋯オイオイもうちょい頑張れよおめーアイスだろうが」
名前に言われながらも蓋を開ければ容器に面したアイスの部分が既にドロドロになり始めていて、アイス本来の冷たさも硬さも手放しかけていた。
アイスに文句を吐いたところで本来のカチカチと冷たいアイスに戻るわけもないのに、この暑さのせいで自然と口から普段より熱の篭もる息を乗せて文句がこぼれる。
「暑すぎるって、社員のためにも冷房備えてよ社長ぅ」
「ンな時だけ社長とか言うんじゃねーよ」
常日頃尊敬してますぅ、なんて普段じゃ絶対伸びない語尾がこういう時だけ伸びやがってよ。
ちらりと横を見れば、名前の手にあるアイスのカップは暑さに負けて汗をかき、自然と名前の太腿へ落ちるとその白い肌の上を滑り落ちていた。
改めて名前の全身を見れば、白のノースリーブのトップスに白のショートパンツ。
この気温も相まって人より白いその肌も、普段より若干ピンクがかり火照っているようにさえ見えた。
中身のない二つのカップをゴミ箱へ投げ捨てると袋を持ちパタパタとどこかへ消えた名前は、ピンクの液体と溢れそうな氷が入れられた二つのグラスを手に持ち戻ってきた。
「そういえば新八くんと神楽ちゃんは?靴無かったけど」
「そうめんの早食い」
グラスを机に置きながら、銀時は行かないの?と俺の脚の間へと腰を下ろす名前。
「屋外だぞ、あちぃしめんどくせーわ」
遠慮なく俺にもたれかかる名前はそっかとさほど興味がなさそうに短く声を漏らすと、コップに口をつけ氷を食べた。
「つーかあちぃよ」
「私もあちぃよ」
じゃあなんでわざわざここに座ってんだよと思ったが、氷を舐め言いにくそうにしながらも言葉を真似て言い返してきた名前に可愛さを感じ、強く言える訳もなく。
アイスやら氷やら食って腹を冷やさぬようにと薄い腹に腕を回しながら、自分用にと置かれたグラスを手に取ってその甘ったるいピンクの液体を半分ほど一気に喉へ流し込んだ。
グラスを口から離す前に氷を一つ口へ含み、その冷たさで少しは暑さもマシになるかと期待した。
目の前には、普段あまり見ることの無い項。
いつもは下ろされた髪に隠れているも今日のような猛暑日なら少しでも涼むためにと手足同様遠慮なく晒され、白さの際立つ細い首にはこの前あげた安物のネックレスが輝いていた。
けして高価なものではないのに普段から首元を飾るそれに気分が良くなり、腹へと回していない方の手で項をなぞればくすぐったそうに身動ぐ名前。
特に何も言わなければ拒絶するような素振りもない名前の項を数度なぞると、氷でよく冷えた唇をそこへ軽く押し当てた。
「ちょッ」
突然の冷たい感覚にさすがに驚いた名前は先程よりも大きく身体を動かすと軽く俺の脚を叩いた。
暑さで頭が半分溶けたかもしんねぇ。反応が可愛くてわざと音を立てて二度目のキスを項に落とすと、また小さく揺れる身体。
「なぁ名前、俺もっとあちぃことしたくなっ」
「ばかじゃないの!」
腹に回した腕を少し上へずらしながら耳元で誘えば名前の両手がそれ以上はダメだと腕を阻み、勢いよく遮られた言葉により声が途切れた。
⋯いや無理だろ。お前がここに座った時点で多分こうなってんだろ。
なァ、と腕に少しだけ力を入れ普段より少し低い声でそう言えば断らないのを知っていた。
「⋯あとでアイス買ってよね」
「わーったよ」
今日の暑さのせいか、それともこれから訪れる熱さのせいか。
耳を赤く染めながら立ち上がる名前は振り返ることなく俺の手を握っていた。
二つがいいと言いながら隣の部屋へ向かう名前に、まじで?と聞けばまじでと返ってくる。
「いちご味がいい」
部屋を跨ぎ後ろ手に戸を閉めて、名前の腕を軽く引きこちらを向かせて首元へと顔を埋めれば、くぐもった声が耳に届いた。
折角拝めた白い項もまた今度だなと髪留めに手を伸ばして優しく解いてやれば、名前の腕が首へと伸びてきた。
先程よりも日が沈み少しは暑さも落ち着いた。
隣で眠る名前が起きる前にアイスでも買いに行くかと居間に戻れば、すっかり忘れていた二つのグラスは机に大きな水溜まりを作っていた。
2022.7.6
「あー⋯」
マジであちぃ。意味わかんねーくらいあちぃ。なんで今年はこんなにあちぃんだよ聞いてねーよ。
暑さに完全敗北し、お天道様への悪態も全身に纏わりつく熱の鬱陶しさで口から出ることは無かった。
銀時はジャージ姿でデスクに足を乗せ、うちわを持ち首元を仰ぎながら椅子にのけ反っていた。
「もう、なんでこんなに暑いのよ」
遠慮なく開かれた玄関の扉の音と共に少しイラついた声に続いて、すぐに聞きなれた足音も聞こえてきた。
「銀時これどうにかしてよ、私溶けそうなんたけど」
途中どこかへ寄ってから居間にきた名前は普段下ろしている髪を頭の後ろで一括りにまとめ上げ、コンビニの袋を持ちながらその白く細長い手足を存分にさらけ出していた。
「いや無理だわ」
ソファに座りがさごそと袋を漁る名前が取り出したのはカップアイス。
うわぁ溶けてんじゃん最悪、と顔をしかめ手についた液状のアイスをぺろりと舐めた。
それを黙って見ていた銀時の視線に気付いた名前は木のスプーンを咥えながらまた袋を漁ると、味が異なる同じカップアイスを取り出して自分のアイスの隣へ置いた。
「新八くんと神楽ちゃんの分は冷凍庫入れといたから」
そのアイスが自分のために置かれたものだとわかり、デスクに重たく放っていた足を床に落としてアイスにより決められたいつもの定位置へと向かい腰を下ろす。
「溶けてるかも」
「⋯オイオイもうちょい頑張れよおめーアイスだろうが」
名前に言われながらも蓋を開ければ容器に面したアイスの部分が既にドロドロになり始めていて、アイス本来の冷たさも硬さも手放しかけていた。
アイスに文句を吐いたところで本来のカチカチと冷たいアイスに戻るわけもないのに、この暑さのせいで自然と口から普段より熱の篭もる息を乗せて文句がこぼれる。
「暑すぎるって、社員のためにも冷房備えてよ社長ぅ」
「ンな時だけ社長とか言うんじゃねーよ」
常日頃尊敬してますぅ、なんて普段じゃ絶対伸びない語尾がこういう時だけ伸びやがってよ。
ちらりと横を見れば、名前の手にあるアイスのカップは暑さに負けて汗をかき、自然と名前の太腿へ落ちるとその白い肌の上を滑り落ちていた。
改めて名前の全身を見れば、白のノースリーブのトップスに白のショートパンツ。
この気温も相まって人より白いその肌も、普段より若干ピンクがかり火照っているようにさえ見えた。
中身のない二つのカップをゴミ箱へ投げ捨てると袋を持ちパタパタとどこかへ消えた名前は、ピンクの液体と溢れそうな氷が入れられた二つのグラスを手に持ち戻ってきた。
「そういえば新八くんと神楽ちゃんは?靴無かったけど」
「そうめんの早食い」
グラスを机に置きながら、銀時は行かないの?と俺の脚の間へと腰を下ろす名前。
「屋外だぞ、あちぃしめんどくせーわ」
遠慮なく俺にもたれかかる名前はそっかとさほど興味がなさそうに短く声を漏らすと、コップに口をつけ氷を食べた。
「つーかあちぃよ」
「私もあちぃよ」
じゃあなんでわざわざここに座ってんだよと思ったが、氷を舐め言いにくそうにしながらも言葉を真似て言い返してきた名前に可愛さを感じ、強く言える訳もなく。
アイスやら氷やら食って腹を冷やさぬようにと薄い腹に腕を回しながら、自分用にと置かれたグラスを手に取ってその甘ったるいピンクの液体を半分ほど一気に喉へ流し込んだ。
グラスを口から離す前に氷を一つ口へ含み、その冷たさで少しは暑さもマシになるかと期待した。
目の前には、普段あまり見ることの無い項。
いつもは下ろされた髪に隠れているも今日のような猛暑日なら少しでも涼むためにと手足同様遠慮なく晒され、白さの際立つ細い首にはこの前あげた安物のネックレスが輝いていた。
けして高価なものではないのに普段から首元を飾るそれに気分が良くなり、腹へと回していない方の手で項をなぞればくすぐったそうに身動ぐ名前。
特に何も言わなければ拒絶するような素振りもない名前の項を数度なぞると、氷でよく冷えた唇をそこへ軽く押し当てた。
「ちょッ」
突然の冷たい感覚にさすがに驚いた名前は先程よりも大きく身体を動かすと軽く俺の脚を叩いた。
暑さで頭が半分溶けたかもしんねぇ。反応が可愛くてわざと音を立てて二度目のキスを項に落とすと、また小さく揺れる身体。
「なぁ名前、俺もっとあちぃことしたくなっ」
「ばかじゃないの!」
腹に回した腕を少し上へずらしながら耳元で誘えば名前の両手がそれ以上はダメだと腕を阻み、勢いよく遮られた言葉により声が途切れた。
⋯いや無理だろ。お前がここに座った時点で多分こうなってんだろ。
なァ、と腕に少しだけ力を入れ普段より少し低い声でそう言えば断らないのを知っていた。
「⋯あとでアイス買ってよね」
「わーったよ」
今日の暑さのせいか、それともこれから訪れる熱さのせいか。
耳を赤く染めながら立ち上がる名前は振り返ることなく俺の手を握っていた。
二つがいいと言いながら隣の部屋へ向かう名前に、まじで?と聞けばまじでと返ってくる。
「いちご味がいい」
部屋を跨ぎ後ろ手に戸を閉めて、名前の腕を軽く引きこちらを向かせて首元へと顔を埋めれば、くぐもった声が耳に届いた。
折角拝めた白い項もまた今度だなと髪留めに手を伸ばして優しく解いてやれば、名前の腕が首へと伸びてきた。
先程よりも日が沈み少しは暑さも落ち着いた。
隣で眠る名前が起きる前にアイスでも買いに行くかと居間に戻れば、すっかり忘れていた二つのグラスは机に大きな水溜まりを作っていた。
2022.7.6
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