高杉誕生日2022
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約二週間。
それは名前が高杉と会えていない期間だった。互いにそれだけの長い時間不在だった訳ではなく、名前が帰る時には高杉が不在であったり、その逆も然り。
月の約半分も会えていないとこうも不安になるのかと改めて自分の気持ちに気付きながら、今日こそはと名前のためだけに置かれている高杉の部屋ではかなり異質な大きいクッションを抱いて、名前はソファに沈むように腰掛けながら高杉の帰りを待っていた。
「今日帰ってくるって聞いたのに」
形が変わるほどぐにゃりとクッションを抱きしめながらやっとタイミングが合いそうだと期待して待っている名前の元へ高杉が現れることはなく、ただ時間だけが過ぎていた。
「ねむ⋯⋯」
どうしても高杉へ伝えたいことがある名前は沈む目蓋を必死に持ち上げながら部屋の主の帰宅を今か今かと待ち望んでいるものの、やはり視線の先にある扉は開くことも無く、外の廊下からも足音すら聞こえない。
「ンンン〜〜」
クッションに顔を埋めて言葉にならない声を発する名前の眠気は限界を迎えていた。
部屋自体、普段使っている自分の部屋とは違う高杉の部屋。
どこにいてもほんのりと紫煙のにおいが鼻をかすめる。
長い間高杉に会えていない名前にとって僅かでも高杉を思わせるにおいは、普段より一層居心地良く感じさせ次第に夢の中へ誘っていく。
頭をこくこくと揺らしながらもなんとか意識を保とうとしている名前でも、クッションとソファに挟まれながら好きな人の匂いに包まれてしまえば抗い続ける事は出来ない。
自然と、そう時間が経つことなく名前は規則正しい寝息を立て始めてしまった。
「んぇ」
眠りから覚めた名前は小さく声を漏らして目蓋をゆるりと開くと、上の方から「重ぇ」という声が聞こえ自然と顔をそちらへ向けた。
「晋助!」
そこには名前がずっと待ち望んでいた高杉の姿。
いつの間にか隣に座っていた高杉へもたれかかるような姿勢で寝ていた名前は勢いよく体を起こすと、負荷のかかる姿勢で寝ていたためか首や肩にぴきりと鈍い痛みが走っだがそんなのどうでもいいとばかりに高杉へ抱きついた。
抱きつかれた高杉は重いと言いながらもしっかりと名前を受け止め、名前の頬へ手を滑らすと優しく撫でた。
「んへへ」
「いつ見ても締まんねぇ顔してんな」
「いつ見ても怖そうなのは晋助だけでいいよ」
頬に添えられた自分のよりも大きな手に自分の手を添えた名前は、気持ちよさそうにそして嬉しそうに目を細めた。
いつ見ても怖そうと言われた高杉は、その怖そうな顔した奴の部屋で勝手に寝て挙句堂々と肩にもたれかかって来たのは誰だよ、と手の中にある頬を軽くつまむと「痛い痛い」と手の甲をぺしぺしと軽く叩いてくる名前を見て低く喉を鳴らすと口角を上げた。
「そう!今何時?」
「あ?」
「時間!今の時間!!!」
急に何かを思い出した名前はそう高杉へ尋ねるも答えを待つことなく自分で時計へと目を向けた。時計の短針は真上を通り過ぎている。その時刻を見るなり高杉へと顔を向けた名前は笑顔で声を出した。
「ねえ晋助、誕生日おめでとう!」
そう高杉の顔を見上げる名前だったが、いまいちピンと来ていないのか想定していたリアクションが返ってこないどころか表情を一切変えることなく名前を見下ろす高杉。
「⋯⋯え?晋助誕生日じゃないの?今日」
「いや」
高杉の反応がわからなくて頭に謎が浮かぶ名前。
そういえばそんな日だったかと思い出しながら名前をしばらく見つめた高杉は、腕を名前の腰へ回して自分の方へと引き寄せると名前の首筋へ顔をうずめた。
「晋助?」
名前は自分をきゅっと抱きしめたまま動かない高杉を少し不思議に思いながらも、その背中にゆるりと片腕を回してもう片他の方の腕でふわりとした柔らかい髪の毛のある頭を優しく撫でた。
「何かプレゼント用意したかったんだけど、晋助って何欲しいのかわかんなくて」
「別にいらねえだろ」
「いる!いるよ!大事だよプレゼント!何欲しいか聞こうにも会えないし、でもそのためだけに連絡するのはなんか違うし」
何がいい?ヤクルコ?と尋ねた名前は、次の瞬間には体が持ち上がり高杉の太腿の上に跨り向き合う形で座らされた事に驚き小さく声を上げた。
「別にいらねえだろ」
先程と同じ言葉を吐いた高杉は目線が近くなった名前を見つめていた。
後ろから名前を照らす部屋の照明によって生まれた影が、名前の前にいる高杉を僅かに覆っている。
「いや⋯いるよ⋯いるいる」
影が落ちていることで先程より少しニヒルな、それでいてどこが楽しそうな表情の高杉を目の前にして現状が理解出来てないなりに言葉を返した名前。
それでも目の前の高杉を見て、腰と臀部をゆるりと往復するように撫でる手の動きを感じて、次第に理解が追いついてきた名前は比例するように顔に熱を持ち始めた。
「お前でいい」
低く落ち着いた声が名前の耳に静かに届く。
みるみるうちに赤くなる名前は両手を高杉の胸へ押し当て無言の抵抗を試みるも、腰に添えられた手でそう簡単に距離は離れない。今の高杉にはなんの効果も無いようだった。
「⋯やッ、あの!ここソファ!」
「だから何だ」
「すぐそこに布団あるよ!布団!」
「めんどくせえ」
そんな事言われたら返す言葉が見つからない名前は完全にお手上げだった。それでもここ最近会えずに心配や寂しさを感じていたのは自分だけではなかったのかと嬉しさが名前の心を満たしていく。
高杉もまた、忘れかけていた誕生日をおめでとうと言ってくれた名前が愛おしく、何かとタイミングが合わずに会えなかった時間を埋めるように名前を求めた。
2022.8.10
約二週間。
それは名前が高杉と会えていない期間だった。互いにそれだけの長い時間不在だった訳ではなく、名前が帰る時には高杉が不在であったり、その逆も然り。
月の約半分も会えていないとこうも不安になるのかと改めて自分の気持ちに気付きながら、今日こそはと名前のためだけに置かれている高杉の部屋ではかなり異質な大きいクッションを抱いて、名前はソファに沈むように腰掛けながら高杉の帰りを待っていた。
「今日帰ってくるって聞いたのに」
形が変わるほどぐにゃりとクッションを抱きしめながらやっとタイミングが合いそうだと期待して待っている名前の元へ高杉が現れることはなく、ただ時間だけが過ぎていた。
「ねむ⋯⋯」
どうしても高杉へ伝えたいことがある名前は沈む目蓋を必死に持ち上げながら部屋の主の帰宅を今か今かと待ち望んでいるものの、やはり視線の先にある扉は開くことも無く、外の廊下からも足音すら聞こえない。
「ンンン〜〜」
クッションに顔を埋めて言葉にならない声を発する名前の眠気は限界を迎えていた。
部屋自体、普段使っている自分の部屋とは違う高杉の部屋。
どこにいてもほんのりと紫煙のにおいが鼻をかすめる。
長い間高杉に会えていない名前にとって僅かでも高杉を思わせるにおいは、普段より一層居心地良く感じさせ次第に夢の中へ誘っていく。
頭をこくこくと揺らしながらもなんとか意識を保とうとしている名前でも、クッションとソファに挟まれながら好きな人の匂いに包まれてしまえば抗い続ける事は出来ない。
自然と、そう時間が経つことなく名前は規則正しい寝息を立て始めてしまった。
「んぇ」
眠りから覚めた名前は小さく声を漏らして目蓋をゆるりと開くと、上の方から「重ぇ」という声が聞こえ自然と顔をそちらへ向けた。
「晋助!」
そこには名前がずっと待ち望んでいた高杉の姿。
いつの間にか隣に座っていた高杉へもたれかかるような姿勢で寝ていた名前は勢いよく体を起こすと、負荷のかかる姿勢で寝ていたためか首や肩にぴきりと鈍い痛みが走っだがそんなのどうでもいいとばかりに高杉へ抱きついた。
抱きつかれた高杉は重いと言いながらもしっかりと名前を受け止め、名前の頬へ手を滑らすと優しく撫でた。
「んへへ」
「いつ見ても締まんねぇ顔してんな」
「いつ見ても怖そうなのは晋助だけでいいよ」
頬に添えられた自分のよりも大きな手に自分の手を添えた名前は、気持ちよさそうにそして嬉しそうに目を細めた。
いつ見ても怖そうと言われた高杉は、その怖そうな顔した奴の部屋で勝手に寝て挙句堂々と肩にもたれかかって来たのは誰だよ、と手の中にある頬を軽くつまむと「痛い痛い」と手の甲をぺしぺしと軽く叩いてくる名前を見て低く喉を鳴らすと口角を上げた。
「そう!今何時?」
「あ?」
「時間!今の時間!!!」
急に何かを思い出した名前はそう高杉へ尋ねるも答えを待つことなく自分で時計へと目を向けた。時計の短針は真上を通り過ぎている。その時刻を見るなり高杉へと顔を向けた名前は笑顔で声を出した。
「ねえ晋助、誕生日おめでとう!」
そう高杉の顔を見上げる名前だったが、いまいちピンと来ていないのか想定していたリアクションが返ってこないどころか表情を一切変えることなく名前を見下ろす高杉。
「⋯⋯え?晋助誕生日じゃないの?今日」
「いや」
高杉の反応がわからなくて頭に謎が浮かぶ名前。
そういえばそんな日だったかと思い出しながら名前をしばらく見つめた高杉は、腕を名前の腰へ回して自分の方へと引き寄せると名前の首筋へ顔をうずめた。
「晋助?」
名前は自分をきゅっと抱きしめたまま動かない高杉を少し不思議に思いながらも、その背中にゆるりと片腕を回してもう片他の方の腕でふわりとした柔らかい髪の毛のある頭を優しく撫でた。
「何かプレゼント用意したかったんだけど、晋助って何欲しいのかわかんなくて」
「別にいらねえだろ」
「いる!いるよ!大事だよプレゼント!何欲しいか聞こうにも会えないし、でもそのためだけに連絡するのはなんか違うし」
何がいい?ヤクルコ?と尋ねた名前は、次の瞬間には体が持ち上がり高杉の太腿の上に跨り向き合う形で座らされた事に驚き小さく声を上げた。
「別にいらねえだろ」
先程と同じ言葉を吐いた高杉は目線が近くなった名前を見つめていた。
後ろから名前を照らす部屋の照明によって生まれた影が、名前の前にいる高杉を僅かに覆っている。
「いや⋯いるよ⋯いるいる」
影が落ちていることで先程より少しニヒルな、それでいてどこが楽しそうな表情の高杉を目の前にして現状が理解出来てないなりに言葉を返した名前。
それでも目の前の高杉を見て、腰と臀部をゆるりと往復するように撫でる手の動きを感じて、次第に理解が追いついてきた名前は比例するように顔に熱を持ち始めた。
「お前でいい」
低く落ち着いた声が名前の耳に静かに届く。
みるみるうちに赤くなる名前は両手を高杉の胸へ押し当て無言の抵抗を試みるも、腰に添えられた手でそう簡単に距離は離れない。今の高杉にはなんの効果も無いようだった。
「⋯やッ、あの!ここソファ!」
「だから何だ」
「すぐそこに布団あるよ!布団!」
「めんどくせえ」
そんな事言われたら返す言葉が見つからない名前は完全にお手上げだった。それでもここ最近会えずに心配や寂しさを感じていたのは自分だけではなかったのかと嬉しさが名前の心を満たしていく。
高杉もまた、忘れかけていた誕生日をおめでとうと言ってくれた名前が愛おしく、何かとタイミングが合わずに会えなかった時間を埋めるように名前を求めた。
2022.8.10
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