10years
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「ふー…楽しかったー!」
「相変わらずお寿司も美味しかったしね。」
「ねぇ周助。今日はわざわざありがとね。」
「いや、僕らも集まるのは久々だったしね。」
奏と不二は再び並んで夜の街を歩き始めていた。
かわむらすしでの同窓会は非常に盛り上がり、気付けば日付も変わり、周囲の店は殆ど閉店していた。
河村家のご厚意で営業時間を延長してもらったが、流石にこれ以上はと思い先程解散してきたのだ。
「ねぇ、奏。もう一杯やらない?」
彼の口からそう言われるなんて想像もしていなかった。
奏は驚きのあまりに目を見開いた。
その顔を見てか、不二はクスクスと笑い始め、奏はそれを少し不満に思い口を尖らせた。
「いいけど、何処で?」
「奏の好きそうな所。」
「何それ。」
「何飲みたい?」
「んー、甘いやつ。っていうか無視なの?」
「うんわかった。ちょっと待っててね。」
無視かよ、とツッコミを入れたかったが、彼は直ぐそこにあったコンビニに入って行った為、それは心中に留めておいた。
コンビニと言うことは外で飲むのだろうか?それとも宅飲み?
ほろ酔いの奏が鈍い思考でそこまで考えた所で、不二は何時もの笑顔で戻ってきた。
「じゃあ、行こうか」
「だから何処に行くのさ。」
「来ればわかるよ。」
行きに来た道と同じ順で、青春台駅への道を並んで歩く。
少し火照った身体を夜風でクールダウンさせる様な、そんな気分を味わいながら彼女は歩いていた。
「ほら、着いたよ。」
暫く歩いて辿り着いたのは、行きも目に止まったあの公園。
相変わらず、淡紅色の花弁が夜風にひらりひらりと散らされている。
街灯に照らされた其れは、見惚れる程に綺麗だった。
ベンチに腰掛けると、彼はリクエスト通りの甘そうな桃の果実酒を差し出してきた。
飲めるかい?と言わんばかりの顔で差し出して来るので、大丈夫ありがとう、と目で返事をしておいた。
「綺麗だね。」
「うん、そうだね。とっても。」
奏は缶に口をつけながら、ベンチから真上の桜の花を眺めた。
「それもそうだけどさ…そうじゃなくて。」
「ん?」
「今日は奏に会えた記念に、色々話しておきたくて。」
「何?改まって。」
その真剣な瞳にまた高鳴る鼓動。
外灯に照らされて、蒼く光る瞳に吸い込まれそうな感覚に陥る。
整い過ぎている程整っている彼の顔立ちに少し腹が立ったような気もするが、それも酔いのせいか。
「僕はね、テニスコートに色んな思いを置いて来てしまったようでね。」
例えば、手塚の事とか。
そう挙げる彼の意見には納得した。
中学の時のU-17招集時、彼は手塚と戦い、そして敗北した。
その時に掴んだテニスへの執着と手塚との約束。
結局、其れは不完全燃焼のような形で今はいるようだ。
そして続けて彼は述べた。
「後は、奏。キミへの気持ち。」
彼女が感嘆の声をあげると同時に強く風が吹いて、地面の淡紅色を巻き上げ、枝の其れ等を地面へと落とした。
一瞬、時が止まったような幻想的な空間。
沢山の花弁越しに見える彼の笑顔。
「奏、僕はずっとキミの事が好きだった。」
「嘘、でしょ?」
「嘘じゃないよ。本当に。」
自分もコートへ同じ思いを置いて来た。
彼等のテニスをする姿を見て、迷惑を掛けたくないと、今は仲間として全国制覇を目指したい。
そんな一心で。
彼も、同じだったのだろうか。
「ねぇ、僕は今でも奏の事が好きだよ。」
顔に熱が集中するのが判る。
きっと、桜の花よりもずっと紅くなっているに違いない。
「奏、キミの気持ちも教えて欲しい…なんて言ったら我儘かな?」
離れて、時が経って。
忘れかけていた感情が一気に込み上げる。
この鼓動の音は、彼への答えだ。
「私も、好きだった。ずっと。」
「うん。」
「今も、好き。」
彼の熱を帯びた指先が、奏の髪を掬い耳元へと運ばれる。
「ねぇ、キスしてもいいかな。」
近過ぎる唇から紡がれた言葉は溶けるで、酔いを回すには充分過ぎた。
10years
例えば、10年経って
街で偶然出会っても
君は変わらないだろうね。