第1話 空から降ってきた少女
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
桐島蒼、中学三年生。
今、私は、死を覚悟しております…。
なんで私、空から落ちてるんですかね?!?!
第1話 空から降ってきた少女
いやいや、第1話どころか、もう人生完結しそうなんですが?!
顔面に風を受けて…いや受けすぎて苦しいし(涙目)
いや涙は浮かべる前に乾きますが!!
とにかく私はこのまま死を受け入れるしかないんですかね…(遠い目)
そもそもなんで、こんな目にあったかというと──…
時は遡り。
桐島蒼、私はどこにでもいる…たぶんいる、中学三年生。
趣味はテニプること。
そう、3度の飯よりテニスの王子様が大好き。
中3でお小遣いも限られている、そんな中でもテニプることを辞められない私は、ネット上の二次創作にハマっていった。
特にお気に入りなのが夢小説で、寝る間も惜しんで長編作品を読み漁ることもしばしば。
そして今日、
また神サイト発見!と夢小説を読もうと、名前変換ボタンを押す。
名前は蒼、苗字は桐島。
入力し、決定ボタンを押す。
今回読むのはトリップ夢。
実際テニプリの世界にならトリップしてみたいよね〜なんて思いながら。
一体どんな素敵な夢が待っているんだろうと思ったのも束の間。
一瞬目の前が光ったと思ったら、
そう、
何故か落ちてるんですよね
正直訳わからなすぎて大混乱なわけ。
せめてスカイダイビングかバンジージャンプならよかったけれど、もちろん装備なし。
でもさっきまで着ていた部屋着でもないし、靴履いてるし、いやそれどころじゃないし?!
謎に夢小説を読もうとした名残りか、しっかりケータイだけは握りしめていて。
それが現実なのか夢なのか曖昧にさせる。
どこに向かって落ちているのか、恐る恐る下を見てみれば学校のような場所。
なんか見覚えがあるような、ないような…。
少なくとも地元ではない景色。
そろそろ地面が近い。
この命もおしまいかななんて思ったとき、急に呼吸が楽になった。
…ん?落下速度落ちた?
せめて、下にいる人たちへ2次被害が及ばないように精一杯叫んだ。
「退いてーーー!!!!」
米粒サイズの人間達が一斉に私の方を見つめた。
しかし、そのまま退いてくれると思ったのにその場から動かない。
え、落下でぐちゃぐちゃになる予定の私の血肉を浴びたい訳ですかね?(怖)
「樺地!」
「ウス!」
衝撃に備えて目を瞑れば、ついに幻聴まで聞こえてきた。
諏訪部さんと鶴岡さんのイケボまで聞こえてくるなんて、なんて走馬灯だろう。
そして、暖かな温もりに身体を受け止められた。
ああ、死ぬ時ってこんなに暖かくて気持ちのよいものなのか、なんて思い耽っていると、ガヤガヤと何か聞こえるではないか。
恐る恐る目を開けてみれば、そこには氷帝ジャージ。
…え?氷帝ジャージ??
暖かな温もりの正体は人の腕で。
その人顔をみれば、まさかの知っている顔。
「大丈夫…ですか。」
いや、顔どころか声も、身長体重も好みのタイプも知ってました。
「か、か、か…樺地…?!」
「ウス。」
まさかこれが死後の世界ってやつ?
さっきまで落ちてて大混乱だったけど、今度は別の混乱。
「おーい、大丈夫かぁ?」
ボケっとしていると、視界に赤いおかっぱ頭。
その隣には黄色のふわふわ頭。
ここはまさか、
「氷帝…?!」
やっぱり死後の世界なの?
でも、こんなに沢山の推しに囲まれてるなら死んだのも無駄じゃないかも…(?)
なんて眼福…!!
「お、大丈夫そうじゃん。」
「樺地、よくやった。」
「ウス。」
背後から跡部様の美声がしておりますが、まさか跡部様の指示で樺地は私を受け止めてくれたのかな?
え、ていうか、よく受け止められたな?
何樺ちゃんに無理な指示してんだ跡部様は。
「あーん?命の恩人になんて口ききやがる。」
「え、あ、やば。声に出てた?」
たまに心の独り言のつもりが声に出ちゃうのよね、親友によくつっこまれてたよ。
後ろを振り向けば跡部様のご尊顔…ご自慢の夢見るホクロがピクついておりますけどね!!
やっばいなぁ、怒らせちまったー?!
「ねーねー!!どっからきたの?!舞空術?!すっげー!!」
ゴージャスホクロとはまた逆、正面を向けば黄色のふわふわ頭ことジローちゃんが珍しく…?覚醒状態のようで興奮している。
「自分ら、そんなに一気に話しかけたらお嬢ちゃんが可哀想やんなぁ。混乱しとるみたいなんやから…。」
樺ちゃんの後ろの方からはねっとりと甘い関西弁も聞こえる。
あ、そういえば、いつまでも抱えられてちゃ申し訳ないわね。
「えっと、とりあえずありがとう樺ちゃん…。もう大丈夫だし、降ろして頂けると嬉しいわ。」
「ウス。」
そういうと優しくお姫様抱っこから地面に降ろしてくれた。
優しすぎるわよ…彼こそが王子様…(感涙)
どこかの俺様よりよっぽどイケメンよ…。
「えーっと、そもそも私生きてるでオッケー?」
「幽霊ではなさそうですが。」
「足あるし生きてるんじゃねーの?」
なんだか微妙に失礼なDo it!コンビ。
ていうかめっちゃみんな勢揃いしてるし。
一命は取り留めたかもしれないけど別の意味で昇天しそう。
こんなイケメンに囲まれるなんて妄想以外で今まであったであろうか、いや、ない!!
「というか、俺たちのこと知ってるんだよね?何者だい?」
「飛び降りれるような場所も、ここはテニスコートだからないですし…いったいどこから?」
麗しの滝萩之介に長太郎まで。
これって本当に死後の世界とかじゃなくて…
「マジでトリップしちゃった系?」
「「「トリップ?」」」
あ、やべ、と思った時には全員コチラを向いていた。
「トリップって…こんなところに旅行ですか?」
「いや、まぁ異世界旅行的な…アハハ…」
「異世界旅行…つまり貴方は異世界からきたということですね。」
なんか目を輝かせてる日吉若2年、アグレッシブベースライナー。
報道委員の血が騒いでいるようです。
「まぁ、来たというより飛ばされた?気付いたら空から降ってたし。」
「では何故俺たちの事を知っているんですか?」
すっかり報道委員モードの彼にそう問われれば思わず口籠もる。
しかし、今更ここで嘘をついてもと思い、素直に答えることにした。
「実は、漫画の世界そっくりなの。私の世界の。」
「漫画?」
あ、と思い待受を見れば紛れもなく彼らのイラスト。
彼らに向かって画面を向ければ食いつくような視線。
「ほら、これで証明になるかな?あ、それともみんなの公式プロフィールを言えばいいのかな?無難に好きな食べ物あたり言っとく?ぬれせん、チーズサンド、本物のししゃも、天ぷら、サゴシきずし、ピザ、ローストビーフヨークシャプディング添え、唐揚げ、羊…どう、天才的?」
丸井ブン太も顔負けのウインクをバチン⭐︎と決めてみたけど、みんなぽかーんとしてる。
もしかしてマシンガントークにドン引かれてらっしゃる?
「おーい!大丈夫ー?」
「嘘みたいやけど、ほんまなんやろうなぁ…」
ねっとり関西弁がため息を吐きながら、なんなら頭も抱えながらそういうと、困ったように笑う。
「まぁ、実際空から降ってきてるし、信じるしかねーよな。」
「なぁ、そういえば名前なんつーの?」
がっくんがひょこっと顔を覗き込ませて聞いてくる。
あかん、可愛すぎるて…(震)
そろそろ理性のブレーキが壊れそうなので刺激しないで!!
「鼻血鼻血!お嬢ちゃん鼻血出とるで!」
せっかく無傷だったのに違うとこで血が流れちまったね!!
「がっくんが可愛すぎるのが悪いんじゃ〜!!」
ここにいては理性が持たない!
そう思った時、私は走り出していた…
なんでだろうね?!
「なっ、俺のせいかよ?!」
「お、おい!どこいくんだよ!」
「どこだろうね?!」
そんな謎の台詞を吐いて氷帝を飛び出した。
いやでもこれからどうする?
元の世界に戻れるの?
この世界で暮らすにも、家やお金は?
流石の私でもなんとかなるっしょ、とはいかないけど…
と思ったらケータイからメッセージの受信音。
トーク画面を開いてみれば、知らない人…というか名前の表示すらなく。
【トリップ成功おめでとうございます。】
ただ、それだけが書いてあった。
やっぱり嘘みたいだけどトリップしちゃったんだね…。
はぁ、とため息をつけば次のメッセージを受信した。
【この世界における貴方の家は、そこからみえる1番高いマンションです。2005室、鍵はポストに入っています。】
えーと、1番大きいマンション、あそこね、そんなに遠くは無さそう。
ひとまず向かってみよう。
連絡通りポストには鍵が入っていて、2005室に向かう。
玄関ドアを開ければ、だだっ広い玄関。
至る所に最新家電が備え付けてある。
部屋も豪華でリビングや寝室のほかに衣装部屋まで完備。
しかも既に洋服が何着も。
パジャマや下着類まであって最早恐ろしい域ではあるけど(サイズがジャストなのがまた怖い)
当面の生活には困らなそう。
そして衣装部屋の1番目立つところにあった制服。
この距離感、そうかもしれないとは思っていたけど氷帝学園の制服。
夢なら覚めないで欲しいと思うくらいには憧れたシチュエーション。
そうか、私氷帝生になるのか…
誰かと同じクラスになれたらいいななんて思いつつお部屋探索再開。
リビングのテーブルには通帳とカード。
金額は3億。
え、3億?ドリームジャンボ?
いやでも、この家家賃ヤバそうだし一瞬で消えそう…【家賃は別で支払いますのでお気になさらず】
食い気味にメッセージ届くの怖いんですが?!
何処かから監視されてるんですかね?!
ま、まぁ、トリップしちゃったからには楽しむっきゃないよね!!!!
「青春するぞーー!!!!」
思い切り叫んで、ベッドにダイブする。
これから訪れるのは、日常か、非日常か──
To be continued…