バクテン!!
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目の前にはベンチに座ってしょんぼりと落ち込む女川君がいる。そんな彼を私はどう慰めたらいいのか分からなくて、あたふたしていた。
ことは遡ること数日前。
いつも部活とかで忙しい女川君から連絡が来た。
何でも今度の休み、水族館に付き合って欲しいとのこと。そんな連絡に私は首を傾げそうになった。
生憎、私と女川君は付き合っていない。恋人ではない。確かに席は隣だし、話も他の男子に比べてよくする。なら、なんで私と水族館なんて…、と思ってハッとした。今日の移動教室でとある男子の横を通り過ぎる際に聞こえてしまった話を思い出したからだ。
「女川の奴好きなやつが居るらしいぜ」
「え、あのアイドルじゃなくてか?」
「あぁ。どうやら同学年らしい」
女川君、好きな子居たんだ、なんて思いながら通り過ぎたけど。
もしかして女川君、その好きな子とのデートを練習するってこと?
なるほど、それなら比較的よく話す私とのほうが私からアドバイスとかも出来たり、わからないことを聞いたりできるから良いってことだね!でも、女川君。私を練習台にするってことは私のことは異性として見てないってことだね。それはそれでちょっと寂し…、いや!友として信頼されてるってことで喜ぶべきところ!
私はそう自分の中で自分を納得させると、女川君のデート練習に付き合うのを了承した。
でも、女川君の好きな子って誰だろう。女川君を好きな子は結構いるけど、女川君って皆に優しいから特定の子に優しくしてるとこ、見たことないんだよねぇ。あのマネージャーの子かなって思ったけど、でも一つ下だし…。あの話だと同学年って話だし。
なんて、一人女川君の好きな子って誰だろうなんて悩みながら今日の日を迎えた。待ち合わせ場所に行くと女川君はもう待っていた、けど。スマホを見ながら何やら難しい顔をしてる。どうしたんだろう?
「女川君?」
「ぉわっ、と…!」
「ごめんね。待った?」
待ち合わせ時間まで少し時間はあったけど、待たせてしまったことに違いはなくてそう聞くと、女川君はスマホをポケットにしまいながら首を横に振った。
「俺もさっき来たばっかりだから大丈夫。今日は悪いな」
「うぅん、大丈夫。予定無かったし」
「じゃあ、行くか、の前に…」
「……?」
「ふむ、」
そう言って女川君は真面目な顔で私を見つめた、かと思ったら笑った。
「可愛い」
…………、女川君って、何で告白しないんだろう。顔は悪くない、ノリもいいし、性格だって悪くない。こうやって褒めてくれる。嬉しい言葉をくれる。私がチョロいのもあるかもしれないけど、女の子なら告白されたら頷いちゃうかも知れないのに。そう思いながら、私は女川君を採点していた。
そして手を繋いで(これは良くないよ女川君。好きな子と繋ぐべきだよ)、女川君と水族館を見て回った。
楽しかった。
私は楽しかったけど、何でか女川君は落ち込んでいて冒頭に至る。
「女川君、どうしたの…?」
そう話しかけるけど、女川君の口からはあ゛〜…とか何やら落ち込んでいる声が漏れるだけで答えらしい答えは返ってこない。
ハッ!もしかして、好きな子と、すれ違った…とか?
クラスメイトとはすれ違わなかったけど…、でももしかしたら私の知らない他のクラスメイトかもしれないし。好きな子に私と水族館で手を繋いでるところを見られた、なんて…。勘違いされちゃうよね。
そう、所詮は私は比較的話す女友達で。
女川君の好きな子じゃ、ない。
そう考えると、少し胸が痛んだ。
女川君に気付かれないようにふぅ、と息を吐いて胸の痛みを逃した。そして女川君の前にしゃがみ込んで、女川君を見上げた。
「女川君?」
「悪い…」
良いよ気にしなくて、私は気にしてないよ。
デートの練習台にされたことも、気にしてない。
「……、俺の家、漁師でさ」
………うん?
「ここで展示されてる魚、結構見るんだよ。だからつい、これは美味いとか、これは不味いとか、色々言っちゃうんだよ…!悪い!」
…確かに、展示されてる魚とかを女川君は色々説明してくれたり、これは美味いとか色々教えてくれたけど…。
「私、別に気にしてないよ?ただ、」
本命の子にはやらないほうが良いね、そう言うと女川君ははぁ?と言って顔を上げる。怪訝そうな顔をしていた。
「本命って、何の?」
「だって、今日のこれって」
本命の子とのデートの練習でしょ?そう言うと、女川君は目を見開いて、顔に陰を落とした。
「何だよ、それ」
「女川君、」
「俺は練習じゃなくて、本命の子とのデートとして来たんだけど」
…………、え。
もしかして本命の子って、私…?
私は慌てて女川君を見ると女川君は、頬を膨らませてむくれていた。可愛いな、……じゃなくて!!
「ご、ごめん…!女川君に好きな子がいるって話聞いちゃって…!それで、」
言い訳じみたことを言うけど、むくれた女川君は治らない。
「じゃあ、俺と付き合ってくれる?」
「え、えっと…」
「何でそこは即答してくれないんだよー!」
「だ、だってその……」
自分が本命だって思ってなかったから、恥ずかしくて…。
顔が熱いなんて思いながら、そう言うと女川君はその答えにキョトンとして、ふっと笑った。
「まぁ、すぐにとは言わないよ。でも、俺は○○が好きだってことは、覚えてて」
そう言うと女川君は私の手を取るとショーを観に行こうと言って歩き出した。
その手の暖かさはさっきとは違っていて。
私はキュッとその手を握り返した。
