バクテン!!
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7月7日。
世間一般では今日は七夕。
夕食を食べてお風呂に入って、自室に行くとふとカレンダーに目が行った。7月7日、七夕。毎年この日は雨が降っていたけど、今年は珍しく雨雲は無くて。
織姫と彦星は会えたのかなぁ、なんて思いながらカラカラと窓を開けると少し雲がかかっていたけど、天の川が見えた。
「あれが、」
デネブ。
アルタイル。
ベガ。
夏の大三角形がくっきり見えた。
確か、アルタイルとベガが彦星と織姫だったかな。
指で空を指さし、夏の大三角形をなぞってみた。覚えたばかりの時はどの星がよく分からなくて、よくアルタイルが見つけられなくて織姫を一人ぼっちにさせてしまっていたっけ。
それを思い出して、ふっと笑った。
今年は、見れてよかった。
そう思っているとバイブ音が聞こえた。見ればスマホがブルブルと震えている。誰かから電話が掛かってきたのだろう。画面を見ると、少し驚いて、一呼吸してから通話ボタンを押した。
「もしもし、女川君?」
『よっ、学校ぶり』
女川君は私の隣の席の男の子。
地方アイドルのまーちょん…?だったかな?が好きで、よく音楽聞いたり、グッズを持ってたりしてる。
「どうしたの?」
すごく仲がいいわけじゃない。
そりゃあ隣の席だし少し話はするけど、七ヶ浜君や築館君みたいにすごく仲がいいわけじゃなく、あくまで"クラスメイト"の一人として見られている、と思う。
窓の外を見て、天の川を見上げた。
なにか連絡網でも回ってきたのだろうか?でも、私の前は女川君ではなかった気がする。ということは、クラスでなにか遊びの計画を誰かが立ててその連絡だろうか?
少し風が吹いている。天の川にかかっていた雲がゆっくりと動いて、晴れていく。
『いやぁ、特に用があるわけじゃないんだけどさ』
「、うん」
なんだ、用は無いのか…。
なんて思いながら、久しぶりに晴れ渡った天の川を見上げていた。
出来れば、誰かとこの綺麗な天の川を見たかったなぁ。
『今さ、寮の外にいるんだけど』
「うん」
『さっき気付いたんだけど、今日七夕じゃん?』
「そうだね」
『天の川が見えてさ、』
「うん、私も今見てるとこ」
『俺も見てるとこ』
そっかぁ。
「綺麗だね。毎年この日は雨が降ってたけど、今年は晴れて良かった」
『ははっ、ホントにな』
ふっと笑みがこぼれた。
失礼だとは思うけど女川君、天の川とか見るんだなぁ。何か、部屋にこもってアイドルの動画とか見てそうなイメージがある…。
「……もしかして、天の川が見えたから連絡してくれたの?」
『え゛、あ…、いやッ……そうじゃなくて、……』
電話の向こうでもごもごと女川君が何かを言いづらそうにしている。
「………?」
『…、天の川なんて、久しぶりに見てさ、』
「うん」
『誰かと一緒に見たいって思ったんだ』
そうだよねぇ。
こんな綺麗な天の川、一人で見るのは勿体ないよね。誰かと見たくなる気持ち、分かるよ。
女川君の言葉に一人納得してうんうんと頷いていた。
『でも、七ヶ浜とか築館じゃなくて、』
「うん」
『メイデンと見たいなぁ、って思って。気付いたら、電話してた』
「そっ、………ん…?」
危うく、そっかぁ、って流しそうになったけど私と天の川を見たいなぁって思ってくれたの?
そう考えると、少し恥ずかしくなった。七ヶ浜君でも築館君でもなく、私を選んでくれたことが嬉しくて。
少し顔が、熱い。
『それでさ、』
「う、うん」
『来年は一緒に、メイデンの隣で天の川、見たいんだけど』
「あ、ぇ…?」
ちょっと、私の勘違いじゃなければ、私、告白、されてる?
勘違い?
でも、気のない異性に来年は一緒に天の川見たいなんて言う?!女川君確かに人気だし女の子の友達も多いし、そういうことさらっと言えちゃうスマート男子だと私は勝手に思ってたけど!
これで、恋人がいるような百戦錬磨の女の子なら百点満点の答えを出せるんだろうけど、生憎私はそんな女じゃないから百点満点の答えも女川君を満足させられるような答えもあげられそうにない…!!
助けを求めるように空を見上げると、キラリとベガが一瞬煌めいた気がした。
『やっぱ、止めた』
「はいッ?!」
声、裏返った……!!
ってか、やっぱ止めたって……?!
『彦星じゃないから、年に一回しか会えないなんて耐えられない。出来れば毎日会いたいし、話もしたい』
「…はぁ……?」
『だから、来年じゃなくて明日から、ずっと俺の隣にいて欲しい』
…………。
「女川君。ごめん」
『…あ〜、やっぱりかー…』
「私のこと好きなの?」
『………、え、そっから?!』
だって、隣に居てとか格好良いこと言ってるけど、大事なこと教えてくれないからよく分からなくて…。
『あー、そうだった…。メイデンが鈍感なこと忘れてた…』
失礼な!!
「鈍感じゃないよ!」
『いや、この流れ的に告白って気付かないのは鈍感だから』
「………、鈍感な私は、嫌いですか?」
電話の向こうで女川君がふっと笑ったのが分かった。
『そんなところを含めて、メイデンが好きだよ』
来年も。
再来年も。
ずっと、好きな人の傍に居られますように。
駅前の七夕飾りに飾った短冊に願った願い事を、女川君が実は見ていたなんて、私は知らない。
