バクテン!!
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跳ねて。
跳んで。
綺麗だった。
宙を一回転する姿も。
普段は見つめてるとガン飛ばしてきたり、喧嘩腰なのに。演技になると汗を流して、ガンを飛ばすその目はまっすぐ真摯で。
初めて、うちの学校の男子新体操部の練習を見た時、目が離せなかった。
息を呑むとはまさにこのことなんだなぁ、なんて後から思った。
私には彼が輝いて見えた。
「亘理、くん…」
亘理光太郎くん。
隣のクラスの男子。
先生の都合で自習になって、自習しながらちょっと休憩と思いながら窓から校庭を見下ろすと隣のクラスは体育なんだろう、亘理君が見えた。友人らしき人と笑いながら走っている。
カッコイイなぁ。
カッコイイなぁ。
でも。
「…………」
私みたいな陰キャには不釣り合いな人なんだろう。
だから、こうやって遠くから眺めて、この心に芽生えた小さな恋心は引っこ抜いて捨てるべきなんだ。
だってそれが、私が一番傷つかない方法なんだから。
陰キャで自己中なんて、知られたくないし。
そんなことを思いながら、視線をまたノートに戻そうとした。
バチッ。
たまたまこちらを見上げた亘理君と視線が、合った。
ヤバイ。
そう思って慌てて視線を逸らした。こんな逸らし方したら見てましたなんて言っているのと同じなのに。ヤバイ変な奴だって思われた。それどころか、多分後でテメェ何こっち見てやがったんだあぁん?とか言って来そうどうしよう。
ガン飛ばされたら、どうしよう。
内心ぴえんなんて泣きながら自習の時間を過ごしていると、昼休みの時間になっていた。
「なに溜息吐いてんの?」
恋人と良好な関係を築きつつある友達が私も知らないうちに溜息を吐いていたらしくそれに眉を顰めた。
「…さっきね、」
この友達は何かと鋭いし、親身になってくれるから話してもいいよね…と思いながら私は亘理君のこととは言わず口を開いた。
友達はふぅん、と言いながら私の話を静かに聞いてくれた。
「それ、当ててあげようか?」
にまぁ、と笑いながら友達はそう言った。
私は小首を傾げると友達はピッと私に指をさした。
「あんたの好きな人、」
隣のクラスの亘理君じゃない?
それに私は絶句し目を丸くした。
「……何で分かったの…?」
その言葉に友達は呆れたように溜息を吐いた。
「私、あんたの後ろの席でしょう。あんだけ挙動不審な動きすれば何かと思って外見たわけ」
そしたら亘理君がこっち見上げてた。どーせ、目が合ったから慌てて逸らしたんでしょう。
名推理に私はパチパチと拍手してしまっていた。
「凄いねぇ、大当たり」
「まぁ、ざっとこんなもんよ」
「オネェなのによく分かったね」
「あんた、張っ倒すよ?」
この友達は男子である。でもオネェだから私はあんまり異性と意識したことがない。
「でもまぁ、言わせてもらうけど、」
「居た」
居た?
そんな小さな声が私にははっきり聞こえた。
その声は女子の声。声がした方を見ると確かでしょうか男子新体操部のマネージャーをしてる栗駒ちゃんが廊下からこちらを見ていた。
その隣に、は…。
ざぁ、と血の気が引いた。
「………」
無言でこちらを眉間にしわ寄せて見てる、亘理君がいた。確かにガン飛ばしてる姿はカッコイイ。カッコいいけど自分に飛ばされていないからそう言えるわけで…!
友達もどうしたのかと私の視線を追いかけると「あ~…」と言った。まさに私には蛇に睨まれた蛙状態…。いや、待って。私は別に亘理君に責められるようなことしてないよ?!確かにさっき見てたけどそれぐらいじゃ…。
「ちょっとアンタ、何やらかしたの…!」
「な、何も…。さっきの言葉通り…」
「じゃあ何であっちは不機嫌そうなの?!」
そんなの私が知りたいよ!!
なんて心の中で叫びそうになりながらガクブル震えてると亘理君が教室に入って来た。
このあと、私と亘理君とで壮絶(?)な鬼ごっこが始まる事を今の私はまだそんな事は起きないだろうなんて甘い希望を抱いていた。
