バクテン!!
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例えば。
好きなアイドルグループの推しの写メやブロマイドが手に入るようなら欲しいのと同じように、私も好きな人や憧れの人や推しの写ったものが欲しいと思うのはおかしいのだろうか。クラスでも地味な部類に入ってる私でも、好きで憧れている、いわゆる推してる人はいる。
それは同じ学年の亘理光太郎君だ。
確かに、見た目はちょっと怖い。態度も任侠の人っぽくってちょっと怖い。
でも、私は知っている。
本当は面倒見が良くって、涙もろくて、とても優しい人だ。それに気づいたのは最近になってからだけど。でも、それを知ってからは下り坂を転げ落ちるようにハマっていってしまった。
「写真?」
本当はこんなこと、他の人に頼みたくないけど…(だって絶対変な目で見られるだろうし…)。栗駒ちゃんは亘理君と同じ部活だし部活の時の写真とか取ってないかなと思って声をかけると、怪訝そうな顔をされた。
そうだよね、同じクラスだけどあまり話をしたことない人間からいきなり声をかけられた(しかも私みたいな陰キャから!)らビックリするようね。私なら心臓が飛び出ちゃう。いつもなら内なる私が押し止めていたかもしれない。
でも、私の推しへの気持ちは止まらなかった。
「う、うん…。あ、でも、もちろんダメなら無理にとは言わないよ…」
「構わない」
そう言って栗駒ちゃんは(部活で使っていると思われる)タブレットを鞄から出すと、画像ファイルを開いてくれた。
あぁ、ありがとう栗駒ちゃん…!出来ればこの事は他人に口外しないでね…!
胸の中では女神に祈るように手を組んでいると栗駒ちゃんは「どれがいい?」と言ってタブレットを見せてくれた。
「部活の前なのにごめんね」
そう言いながら画面を覗き込むと栗駒ちゃんは「大丈夫」と言ってくれた。画面には演技の練習中の写真や、普段の練習の写真、先輩やチームメイトと笑い合っている写真などたくさんあった。こんなにたくさん推しの写真が手に入るようなら私も男子新体操部のマネージャーやりたいと思ったが、動機が不純していると思い、そんな気持ちを抱いた内なる自分を張り飛ばした。
「綺麗だね」
ピンっと指の先まで手足に動きがマッチしていてとても綺麗だ。下校する際に時々体育館の扉が開いている時がある。その時亘理君が練習している姿を見える時がある。普段はツッパってる、って感じなのに部活をしているときの彼はこんなにも一生懸命で美しいんだなぁなんて思った。
「動画もいる?」
「え、でも……」
流石にと躊躇っていると栗駒ちゃんは手早く画像やら綺麗だと言った動画を見繕ってUSBに入れてくれていた。良い子だ…、栗駒ちゃんはなかなか独特の雰囲気の子だから取っ付きにくいと思っててごめんね…!そんなことを思っていると、私の視界に、とんでもないものが飛び込んできた。
先輩達と一緒に、何故かパンツ一枚の姿になっている亘理君の写真を…!え、え…!男子新体操部って体つきを見ることでもあるの?というかこれを撮影したの栗駒ちゃん?!羨ましい…!鼻血出そう…!
そんなことを思っていると見ているのがバレたのか栗駒ちゃんはキラーンッと目を輝かせて「お目が高い」その写真も追加してくれた。
ありがとう…!ありがとう栗駒ちゃん…!
写真やら動画が入ったUSBを受け取って鞄にしまっていると栗駒ちゃんが「ところで」と聞いてきた。
「好きなの?」
「、えっ……」
亘理君を好きなのか、ということなんだろう。それはもちろん好きだ。推しなんて言葉使ってるけど、本当は私は亘理君が好きだ。
「栗駒ちゃんは、格好良いとか、憧れた人とか……、いる?その人達のこと、好き?」
私にとって、亘理君はそんな感じの人かな。それはもちろん好きだ。でも安易に"好き"を振り撒きたくない。安っぽい好きを亘理くんに言うのは何だか失礼な気がした
「憧れた人だからこそ、簡単に好きなんて言いたくないのかもね」
顔を上げて、栗駒ちゃんにそう笑いかけた。
パシャッ。
………撮られた。
「今回のお代」
あ、お金…!そうだよね、ただで貰えるなんて思ってないから今日はお小遣い多めに持ってきたんだった。財布を鞄から引っ張り出して「いくら払えばいい?」と聞こうとしたら栗駒ちゃんはもう既に教室から出ようとしていた。
「え、栗駒ちゃん…?」
「また明日」
え、お代…。
教室に取り残された私は知らない。私の写真も何枚か既に撮られていたことを。
そして、
「マ、マネージャー…」
「可愛いの、撮れたよ」
「あざっす!!」
その撮られた写真が推しである亘理君の元に渡っていたなんて。
