バクテン!!
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高瀬亨の初恋は随分昔だ。
昔から体格がよく、知らぬ間に相手を威圧してしまうことから女の子に好かれることはなかった高瀬。別にその事に関しては別に気にしていなかったし、友達である陸奥がいたから別に女の子に好かれなくとも困らなかった。
だがとある日。
高瀬の実家に、はとこなる親族がやって来た。高瀬は陸奥とちょうど遊んでいたが、両親に誰か聞くと遠縁の人よと言われたのを覚えている。ふーん…、と思いながら優しそうな遠縁の人達を見てると、その人達の足元に自分達と同い年ぐらいの女の子がいるのに気がついた。
その時点で、高瀬は苦手意識を持っていた。女の子は自分を怖がる、そう思っていたから。
遠縁の人達は何やら大人達で話をするから、と言って女の子にあっちで遊んでおいでと言って離れていってしまった。
女の子はどうして良いか分からないようで、困っているのが窺えた。そして、しょんぼりして縁側に腰掛けてしまう。
正直言うと、助けるべきなんだろうと高瀬は思っていた。だが、もし、声をかけて怖がられたらそれこそ自分もショックを受ける。
高瀬はそれが嫌だった。
だから、怖がられないように、どうにかするしかない。
「おい」
「ッッッ!?」
女の子はとても驚いた様子で、近づいてきた高瀬と陸奥を見た。幼い女の子特有の大きな目は不安に揺れている。知らない場所で知らない人間に声をかけられれば不安にもなるだろう。高瀬は背中に隠していたそれを女の子に差し出した。
「うちのりんごだ」
「……りんご」
「高瀬のうちのりんごは美味しいよ」
陸奥もニコニコしながらそう話しかける。女の子は二人の顔を見て、林檎を見た。そして、小さな手を伸ばして林檎を受け取る。二人も女の子の隣に座ると持っていた林檎に噛み付いた。シャリッと音を立てる林檎。二人の食べる姿を見て、女の子も受け取った林檎を眺め噛み付いた。
口、小さい。
高瀬はそんな事を思いながら女の子を見ていると、女の子が、笑って高瀬を見た。
「おいしいね」
ピシャァアアアンッ!!
高瀬の中で凄まじい音を立てて雷が落ちた(ような気がした)。顔が赤くなる。自分がかじりついた林檎を落としそうになった。
これが、高瀬亨の初恋の話である。
女の子は親に連れられてきては、三人で遊んだりした。男子新体操の映像を見たり、林檎を食べたりもした。にこにこ笑う女の子で初めて自分を怖がらず、且つ自分を好いてくれる女の子に高瀬は最初、どう関わったら良いか分からなかった。だが、両親に相談したところいつものお前で良いと言われたためいつも通りに関わった。それでも、女の子はにこにこ笑っていた。
「亨くん、陸奥くん、カッコいいねぇ」
それはとある日。
陸奥と一緒に男子新体操の演技の真似をして遊んでいた時のこと。その日に来たのだろう女の子は演技の真似をして遊んでいた二人のを見て、そう言った。
カッコいい。
女の子にそんな事を言われたのは初めてだった。茹で蛸のように赤くなる高瀬を放置して陸奥は男子新体操の映像を見せて「これを真似てたんだよ」と説明した。
三人で遊んで、彼女が帰ったあと。
高瀬は胸の内で先程決意したことを口にした。
「陸奥」
「なに」
「俺、あの子を嫁にする」
「ぶはっ!!」
陸奥いわく、高瀬の初恋拗らせ伝説はここから始まったらしい。
