バクテン!!
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七ヶ浜君は、背が大きい。
いや、別に身長が2mあるとかそういうわけではない。そりゃあ私よりは身長は大きいけど、背が大きいというのはちょっと語弊があるかもしれない。
正しくはがっしりしてる、と言うべきなのかもしれない。
新体操部って意外とハードだし、男子新体操部が出来て部活をして、筋肉がついてきたからなのかな。なんか、がっしりしてる。
元々明るい性格だし、リーダー気質で、優しいし…。良いところを挙げだしたらきりがない。更に背が高くて、運動も出来て、身体もがっしりしてるなんて言ったら、まぁ、言わなくてもわかると思うけど、女子が放っておかないわけで。
今日も、廊下で陸上部の女子と楽しげにカラカラ笑っているところを私は教室で机に突っ伏しながら、眺めている。
今は中間テスト。もうすぐHRが始まる。それが終われば、七ヶ浜君は女川君や築館君、そして後輩君達と一緒に寮に帰るのだろう。
ジクジクと不毛に燻る胸の奥にある、恋心。
自分では叶わない。不毛な恋。
だって、クラスの人気者な七ヶ浜君と漫画やゲームならすれ違うだけの名前さえないモブキャラ、ドラマならエキストラな私。
そんなモブキャラに希望を持たせるような恋愛漫画みたいな展開になる筈が、
「好きだ」
あった。
放課後になって七ヶ浜君に呼び止められた。友達と一緒に帰ろうとしていたが、呼び止められて友達はちょっと興奮気味に先に帰るね、と言って行ってしまった。
教室は中間テスト前だからあっという間に人が居なくなって、私たちだけになっていた。七ヶ浜君の金色の目が私を射貫く。
そして、言われてしまった。
「え、っと…」
「メイデンが好きだ」
それには私が驚いた。
名前、きっと覚えてないと思っていたから。
きっと驚いた表情をしてしまったのだろう。七ヶ浜君はキョトンとして首を傾げていた。
「なんでそんな顔するんだ?」
「いや、名前…」
「名前?」
「知らないと、思ってたから…」
「んなわけあるか!」
大きな声を出されて私の身体は驚いてビクッと跳ね上がる。それを見た七ヶ浜君は申し訳なさそう「悪い…」と言った。
「何かの、罰ゲームとか…?」
そう。
主役級の彼が私にそんなことを言う筈がない。いきなり言われて、私も好きですなんて本心を簡単にさらけ出せるほど私は頭の中がお花畑ではなかった。だからそう言うと七ヶ浜君は不思議そうな顔をした。
「罰ゲームってなんの?」
どうやら罰ゲームではないらしい。七ヶ浜君は嘘を吐くのが苦手だから。
「何でもない」
…………、少しぐらい、夢みたいな時間を過ごしても、良いのだろうか?
「私も、好きです」
少し俯きながらそう言う。七ヶ浜君からは反応がない。え、無視…?チラッと七ヶ浜君を見ると、七ヶ浜君は頬を赤らめて嬉しそうに笑っていた。
「だっ、抱き締めても、いいか…?」
恐る恐るといった様子で七ヶ浜君はそう言ってきた。なんか、意外だ。七ヶ浜君って誰かと付き合っていそうだったから、ハグでこんなに緊張しているなんて思わなかった。
「う、うんっ…!」
グイッと抱き寄せられて、強く抱き締められる。七ヶ浜君、良い匂いがする。香水とかじゃない、柔軟剤とかの匂いかな。私も恐る恐る七ヶ浜君の背中に手を回す。
暖かい、人肌。
ドクドクと鼓動が聞こえる。強くて早い鼓動が。七ヶ浜君が緊張してるのがよく分かった。
あぁ、人に抱き締められるってこんなに暖かで満たされる気分なんだなぁと思った。
「ヤバイ、キスしてぇ…」
………は?
七ヶ浜君が熱に浮かされるようにそう言った。というか、は?キス?!
驚いて顔を上げると、なんか色気が大爆発してる七ヶ浜君が獣みたいな目で私を見ていた。
「しちが、んっ…」
あっという間に顔を近づけてきた七ヶ浜君が、チュッと私に口付けた。七ヶ浜君の顔が近くにあって、心臓が保たなくて、目を閉じる。一度触れるだけ。触れただけなのに私の心臓は大爆発寸前だった。顔が熱い。
一度唇が触れて、また触れる。今度は先程よりも長く確かめるように押し当てられる。少しがさついてて、七ヶ浜君らしいなって思った。
ぬるっ、
「?!」
唇じゃない感触に、驚いて目と口を開けると七ヶ浜君が少し目を開けた状態で私を見ていた。ぬるっとしたのはどうやら七ヶ浜君の舌らしい。その舌は少し開いた私の口の隙間から私の口腔内に入り込んでくる。驚きやら恥ずかしいやらで私はぎゅっと目を閉じる。
縮こまった舌を七ヶ浜君はいとも簡単に見つけ出し、ぬるりと絡まり、唾液を送り込んでくる。歯列を舐められ、舌を絡み付けられ、私の口の中が七ヶ浜君でいっぱいになる。
ゴクン、と溜まった唾液をようやく飲み込むと七ヶ浜君はやっと唇を離してくれた。私の唇の端から飲みきれなかった唾液が溢れ、七ヶ浜君と私の唇を銀の橋が繋いで、ぷつんっと落ちた。
獲物を喰らう獣みたいな目をして私を見下ろしていた七ヶ浜君がごくんっと唾を飲み込んだ。
