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「あ、あの……、ヒヨシ君…」
「あぁ、起きてきたんか。まだ寝てなきゃだめだにゃーか」
うぅ……。
不甲斐ない…。
痛む腹を押さえながらキッチンを覗き込むと、ヒヨシ君が手際よく料理をしてくれていた。おそらくお粥だと思われる。私に気付いたヒヨシ君は、近付いてくるとチュッと音を立てて額に唇を寄せてくる。
いわゆる、私は今絶賛女の子の日。しかも出血量やらお腹の痛みが最高潮にキツイ時。
私は特に生理痛が酷くて、薬やらで痛みを誤魔化していたが、耐性ができてしまったのか最近あまり痛み止めが効かなくなってきていた。更に女の子の日で情緒不安定になっていた中、まさかの本日ヒヨシ君とのデートだった。
のに!!
朝から目眩、吐き気、ネガティブ、その他諸々で泣きながらヒヨシ君に体調悪くてデート出来ないことを伝えた。
これは私が完全に悪い。
だからヒヨシ君が機嫌を損ねてしまったり、他の……女の子に気をやってしまっても仕方がない。それを分かっていて何度も何度も謝ると、ヒヨシ君は仕方にゃぁなと言って呆れもせず、そう言って電話を切った。なんだかそれが縁を切られてしまった気がして涙が止まらなかった。
ホント、この情緒不安定どうにかしたい。
グズグズと鼻を鳴らしながら何とか薬だけ飲んで布団の中で身を縮こまらせながら、痛みに耐える。しばらくして眠気と痛みで起きたり寝たりを繰り返しているとピーンポーンとインターホン。
なにか頼んだっけ?それにしたってタイミング悪すぎる。
何とか布団から這い出し、玄関まで壁を伝いながらやっとやっと行く。ちらっと鏡を見ると酷い顔の私が映っていた。グシャグシャの髪を手櫛で少し直して、一回深呼吸。ドアスコープから外を眺めた。
「え」
慌てて扉を開けるとそこにはヒヨシ君。
「よっ、大丈夫か?顔色真っ青じゃな」
ボロっと涙が溢れた。
そんな私を見てヒヨシ君は泣くな泣くな、と言って私の部屋に入ってきた。会えるなんて思ってなかった。今回のデートだって忙しいのにわざわざ休みを取ってくれた。でもそれを潰してしまった。申し訳無さや自分の不甲斐なさ、会えて嬉しい気持ちがぐちゃぐちゃに混ざって涙しか出てこない。
「なんか食ったか?」
「た、べて…な、い……。痛み止め、だけ…」
「胃を痛めるぞ?どれ、なんか作ってやるから、良い子に寝てろ」
そう言って、ヒヨシ君は私を布団に押し込むとキッチンに立って料理をしていて、冒頭に至る。
私はヒヨシ君にまた布団の中に強制送還される。
ヒヨシ君に、酷い顔やら見られて恥ずかしいやらみっともないやら…。羞恥で死ねる…。
「お粥なら食えそうか?」
そう言って、ヒヨシ君は鍋とお椀を持ってきてくれた。私は起き上がって頷くと、ヒヨシ君は嬉しそうに笑ってよしっと言った。
お椀に湯気の上がるお粥。蓮華と一緒に渡されるかと思ったら、ヒヨシ君がスイっと蓮華でお粥をすくうとふーふーと冷まして、
「ほれ、あーん」
としてきた。
「あ、あの…、ヒヨシ君…。私、自分で食べられるよ…!」
「食べないなら口移しになるが、」
「あ、あーん…!」
何、ヒヨシ君は私に、羞恥プレイをしに来たの…?
もぐもぐとお粥を頬張る。美味しい。
結局、ヒヨシ君におわん一杯分あーん&ふーふーをして食べさせてもらった。
「よしよし、食べれて偉いのぉ」
そう嬉しそうに言ってヒヨシ君はお椀やらを手早く片付けると戻ってきた。
「ほれ、カイロ」
腹に当てとけば少しはマシじゃろ、と言った。
「……、ごめんねヒヨシ君。せっかくデートだったのに…」
そう言うと、ヒヨシ君はまだそんなこと言うとったんか、とツンっと額を突いてきた。
「これも世間一般からすればお家デートじゃろ?」
ヒヨシ君は、それに…と言葉を続けた。
「お前は昔から我慢しすぎるからの。少しは頼れ、じゃないと寂しい」
頬を撫でられた。
その手が気持ち良くて、手を重ねる。
「ヒヨシ君、私が寝たら、帰るの…?」
「帰らんよ。俺の可愛い可愛いお嬢さん」
顔に掛かった髪をサラリと撫でられる。
「お前さんが目を覚ましても、そばにいる」
あぁ、眠くなってきた。
ヒヨシ君、ありがとう。
瞼が重くて、目を閉じる。
ヒヨシ君にお礼を言いたいのに、言葉が出ない。
そのまま私は睡魔に身を任せてしまった。
「こんな俺に呆れもせず、愛想も尽かさず側にいてくれるお前は、本当に…バカじゃなあ」
スウスウと寝息を立てる彼女を見ながらヒヨシは呟く。学生時代からの付き合いで、もちろんレッドバレッド時代で女遊びが激しかった時も、そばにいてくれた。お前は他の男に狙われていたのを知らないだろう。
俺がそんな虫達を追い払った。
こんな俺に好かれてしまったお前は本当にバカで、愛おしい。
「好きじゃよ。だから早く良くなれよ」
ヒヨシの呟いた愛おしそうな声は部屋の静寂に吸い込まれていった。
