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空みたいな色の瞳が、好き。
太陽のようなあの笑顔が、好き。
………。
後者は私に向けられることは、無かったけど。
私に向けられるのは、嫌そうな顔。
分かってる。彼は私のことが嫌いなんだと。その理由も分かってる。こればかりはどう頑張っても私はどうしようもないけど。
今日もあまり高さのないパンプスを履いて道を歩いていると、すれ違った男性が囁いたのが聞こえた。
「今の女、デカくね…?」
そう…。
私は身長が大きいのだ…!!
もうすぐ百八十センチになりそうな程…!!
私が好きだった彼、ヒヨシ君はどちらかというと低めの身長だったから私みたいに身長の高い女は嫌いだったんだろう…。
風の噂では吸血鬼退治人になって。今では引退して、吸血鬼対策課にいるらしいけど…。
私だって好きで大きくなったわけじゃない。どちらかといえば母は身長低めだ。
だけど、父は身長高い。
二人の遺伝子を受け継いでればちょうどよくなるかと思ったら、父の遺伝子が強過ぎたらしい。ウケる。草生える。そのせいかで可愛い服着ようにも、着れば宝○みたいになるから着れず…。可愛い靴もヒールがあれば履けず。挙句の果てに好きな人には嫌そうな顔を向けられる学生生活を送るハメになり…。
ようやく到着した新横浜警察署の前で私は溜息を一つ吐いた。私は別に悪いことをしてここにいる訳では無い。少し遠目の親戚の人が今日新横浜警察署に来ていて、その人に届け物をしてほしいと頼まれたのだ。
……、その人の親から。
親から渡せばいいのに、何で私使う?と思ったけど、別に私はその人嫌いじゃないし、向こうも前親戚の集まりで会ったとき良い印象だったし、良いかなぁなんて思ったら、まさかの警察署。
なんだか少し緊張しながら、警察署内に入った。
ら。
「あ、」
「ん?」
「おっ」
好きだった人と、親戚の人が何やら顔を合わせて話しているところを発見した。というか、入口付近で止めてほしい。びっくりして自分で目を見開いたのが分かった。
「おー、メイデン」
「こんにちは、カズサさん」
カズサさんは何やらスマホを持っていて、ポケットにしまうと私に片手を挙げて挨拶した。私は必死に視界からヒヨシ君を外して、二人に近づいた。
学生の時好きで…。今会って、今でも好きだと再認識したのに嫌な顔を見てしまったらもうショックで立ち直れないから。
「これ、おじさんとおばさんから」
持っていた紙袋を渡す。カズサさんは悪いなと言いながら紙袋を覗き込むと固まった。え、私中身までは見てないけど、ヤバいものでも入ってた?
「お、おま………これ…!!?」
そう言ってカズサさんが紙袋に手を突っ込んで取り出したのはガチャガチャのカプセル。あー…、それ?
「前、カズサさんが教えてくれたゲームで推しとか言ってたキャラクターだよ。思い出してガチャしたら出たから、あげるね」
「あげるねって……!?」
え、ダメだった…?
「あー、本部長…」
「なぁ、メイデン…!一回だけでいい…、ここをポチっとしてくれ…!!」
ここをって…。
そう言ってカズサさんはズイッと私に見せてきたのはスマホ画面。画面にはスマホゲームが映し出されていて、ここをと言われたのは10連ガチャというボタンだった。
「おい、本部長……」
カズサさんの後ろから地を這うようなヒヨシ君の声が聞こえてくる。それに私はビクリと体を震わせた。それに対しカズサさんはちょっと待てって、と言って私に早くボタンを押すように急かしてくる。
はぁ…、まぁ、所詮ゲームだしね…。
というか、ヒヨシ君にこれ以上嫌われる前に早くここから去りたい…!!
私はじゃあ押すよ、と言って、ポチッと推す。少し画面がロードで止まり、ガチャ画面に変わるとカズサさんがパッと画面を食い入るように見始めた。
よく分からないけど確か、カズサさん就職してからゲームとか推しとかにハマったって言ってたし。
「スマンな、なんか…巻き込んで…」
そう言いながらヒヨシ君が近づいてくる。その顔は呆れやら、怒りやら…。少なくともいい感情はない。
「……いえ、」
私は顔を逸して、ヒヨシ君を視界から外すとカズサさんに帰るね、と言って踵を返した。
いつまでも、セピア色に染まりつつある恋心にしがみついてるのもいい加減しないと。溜息を一つ吐く。入り口をくぐって外に出ると背後からカズサさんの雄叫びのような歓喜の声が聞こえた。きっと推しが出たのかも知れない。すると背後から早足で近付いてくる足音。
「ッなぁ!」
腕を掴まれた。
振り返ると、そこには少し息を荒らげたヒヨシ君がいた。
「また、会わんか…?」
「、え」
それに私は驚いた。
また、会わないかって…。
「ははぁーん、なるほどねぇ」
どおりでお前がメイデンの写真を隠し持ってるわけだ、とヒヨシ君の後ろから後を追ってきたのかカズサさんがニヤニヤしながら言った。
え、どゆこと…?
写真って、私ヒヨシ君と写真なんて撮ったことないよ…?
一人混乱していると、目の前でヒヨシ君とカズサさんが何やら言い合いを始めていた。
後日、ヒヨシ君とご飯を食べに行くことになったんだけどその前にカズサさんとご飯に言ったら、
「お前の写真見てる時、顔が緩むんだよ。俺に向ける顔とはえらい差だ」
と言われ、ついでにガチャも回した。
カズサさん、また雄叫び上げてた。
